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働き方改革の時代に必要な勤務管理システム活用術 システム選定のポイントと導入までの道筋を解説!

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2019年4月より大企業に対する適用がスタートした「働き方改革関連法」。2020年からは中小企業でも対応が必要になってきます。また、東京オリンピック開催や新型コロナウイルスへの対応をめぐり、テレワークや時差出勤といった柔軟な勤務制度にも関心が高まっています。そこで重要になってくるのが「勤務管理システム」。今、勤務管理システムには何が求められているのか、どんなシステムを選べばいいのか、導入にあたってどんな注意が必要なのか……。NTTグループの勤務管理を30年以上にわたってサポートし、400社以上の顧客に勤務管理サービスを提供するNTTコムウェア株式会社エンタープライズビジネス事業本部の山本達哉取締役に、人事が知っておくべき勤務管理システムのポイントを詳しくうかがいました。

山本達哉さん
山本達哉さん
NTTコムウェア株式会社 取締役 エンタープライズビジネス事業本部 ビジネスデザインソリューション部長

1988年NTT入社。入社以来一貫してシステム開発に従事。1997年NTTコムウェア設立にあたり人事・育成業務を担当。その後、多様な業種の大規模人事システム導入プロジェクトの責任者を歴任し、2018年より現職。人事業務の経験を活かしつつ、HCMソリューションビジネスの第一人者としてNTTの人事システムを始め、大手金融機関の人事システム、官公庁の人事DBシステムなど、巨大なERP導入プロジェクトを数多く成功に導く。働き方改革関連法施行後の勤務管理ソリューションの動向について造詣が深い。

多様化する働き方に対応し、正確なデータを記録できること

2019年4月に働き方改革関連法が施行されましたが、勤務管理システムに対する企業のニーズには変化があったのでしょうか。

もともと勤務管理といえば、タイムレコーダーを使ってタイムカードに出勤・退勤の時間を打刻する方法が一般的でした。勤務管理システムを導入した企業でも、最低限それができればいいというところもありますが、近年はよりきめ細かく、労働実態を把握したいという要望が強まってきています。具体的にいえば、みなし労働制社員の勤務管理や、営業職などオフィス外で活動することが多い社員の労働時間の把握などです。

【図】主な働き方改革の制度対応

このような働き方改革関連法以前からあった動きに加えて、関連法施行以降はフレックス制や裁量労働制、テレワークなど、あらゆる勤務形態に対応し、より厳密に労働時間を把握できる仕組みが求められるようになっています。その背景には残業時間の抑制という法令対応の問題がまずありますが、あわせてワークライフバランスを適正化し、社員に健康に働いてもらおうという考え方が広まってきていることも大きいと思います。

従来型の勤務管理のままだと、具体的にどのような問題やデメリットが発生するのでしょうか。

働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制が大企業だけでなく、中小企業にも義務づけられています。月間100時間以上の時間外労働があった場合はペナルティが科せられますが、その内容は「6ヵ月以下の懲役または対象者1名あたり30万円以下の罰金」というかなり重いものです。年次有給休暇の取得についても、年間5日以上が義務づけられ、違反すると同様にペナルティの対象となります。そのため、より厳密な労働時間や有休取得の状況把握が不可欠になってくるわけです。

しかし、タイムカードに出勤・退勤の時間を記録していくアナログな方式では、あってはならないことですが、実際とは異なるデータを残すこともできます。これからの勤務管理システムは、正確なデータを記録すると同時に、意図的な改ざんができない仕組みであることも重要です。公正な勤務管理ができていないという評判が広まれば、企業にとって大きなイメージダウンとなります。人材採用の成否や株価への影響も考えられるでしょう。

勤務管理システムを時代の要請にあったものに更新していきたいと考えた場合、どのように進めていくことがもっともスムーズでしょうか。

まずトップダウンで意思決定し、実際の運用ルール策定からマニュアル作成、導入研修の企画・実施といった実務を人事・総務が担当するのがもっともスムーズだと思います。特に重要なのは、経営者が勤務管理をしっかりと行っていくという強い意思を示すこと。勤務管理システムを入れ替えるのが目的ではなく、きちんとしたルールにもとづいて社員が健康に働ける仕組みをつくる。そのためのシステム導入なのだというメッセージを、トップから発信していくことです。それができていないと導入しても使われない、正確なデータが記録されない、といった事態になりかねません。

新しいシステムに切り替わると、勤務開始・終了の時刻を記録することや、残業や有休を申請して上長に承認をもらうといった作業を負担として感じる人も出てきます。現場の上長が勤務把握や承認の作業が増えることを嫌がるケースもあるでしょう。そういう場合は、新しい勤務管理システムを導入することで何が良くなるのかをしっかり説明することが効果的です。たとえば、オフィス外で働いた場合も、きちんと勤務表に反映されるので直行直帰やテレワークがやりやすくなる。あるいは、有休を時間単位で取得したり、仕事の途中に少しだけ抜けたりするなど、新しい働き方ができるようになる、といったことです。ただし、そのためには導入研修や運用ルールの徹底が重要になってくるでしょう。

山本達哉さん(NTTコムウェア株式会社 取締役 エンタープライズビジネス事業本部 ビジネスデザインソリューション部 部長)

運用・活用のカギとなる「職場環境にあわせた使いやすさ」

システム活用には導入目的を全社で共有することが大切とのことですが、現場の負担を減らすために何かできることはあるのでしょうか。

最新の勤務管理システムは、出退勤を記録する方法が非常に進化しています。一般的には、オフィスに着いたらPCを起動し、さらに勤務管理システムを立ち上げて出勤情報を入力する、というイメージがあると思いますが、今はさまざまなバリエーションがあります。たとえば、PCを起動した時刻をもって自動的に出勤とみなしたり、顔認証システムと連動させてビルのゲートを通過した瞬間に出勤としたりすることもできます。オフィス外で働く人の場合、スマートデバイスからの打刻や、顔認証によって勤務開始とすることも可能です。

直近ではGPSのデータを活用し出勤を記録する技術も発展しています。これは担当エリアが決まっている営業職などに応用できるでしょう。外勤の人ほど、いちいち出勤・退勤を記録するような細かい作業を面倒がる傾向が強いと思いますが、テクノロジーを使って自動化された仕組みなら、抵抗感も少ないのではないでしょうか。

また、職場環境によっては一人に1台のPCがあるとは限りません。PCがなくてもスマートデバイス、それもなければIDカードや通勤定期で使うSuicaのようなICカードを複合機(コピー機)と連動させて出退勤記録をとるなど、さまざまな手段が可能です。

企業規模や業態などによって、どのようなシステムを選ぶのがいいのか、選定の目安になるものがあればお教えください。

大前提として、法令対応がしっかりできていることです。また、規模や業態ではなく、その企業の「社員の働き方」にいかにフィットしているかが重要です。オフィスワーカーが多いのか、あるいは社外で活動する人が多いのか。勤務形態は定時出社・定時退社なのか、それともフレックスや時差出勤、シフト勤務なのか。そのほかにも在宅勤務、テレワーク、裁量労働、みなし労働など、さまざまなパターンがありますが、それらにしっかり対応できるシステムであることが、選定の基準になってくると思います。

働き方改革では、生産性向上も大きなテーマです。仕事の実態を把握する勤務管理システムを生産性向上に活用することは可能でしょうか。

どの仕事にどれほど時間をかけているのか、「工数管理」が可能な機能を組み込んだ勤務管理システムもあります。業務に無駄がないか、特定の人に負荷が集中していないかといったことを分析したい場合は、そういう機能のある製品やサービスを選ぶべきでしょう。ただし、「どんな仕事をしたか」は、社員が自分で記録する必要があります。これを丁寧に行わないと、データの質は上がってきません。UIを工夫して負担を軽減することはできますが、完全に自動化するところまではまだ至っていないのが現状でしょう。

今後の主流は導入しやすく法令対応が確実なクラウド型サービス

貴社ではクラウド型勤務管理サービス「follow」を提供されています。どのような特徴があるのか教えていただけますか。

「follow」は、もともと社内用の勤務管理システムとして弊社が1989年に開発したもので、すでに30年以上の実績があります。NTTグループの企業で約3万名の勤務管理に利用されているほか、2010年からはNTTグループ会社に限らずクラウド型サービスとして広く提供しています。弊社がIT企業であるため、IT業界ならではのプロジェクト管理機能に強みがあり、業務分析が可能な工数管理機能なども最初から組み込まれています。開発以来、常に働き方の変化に対応するさまざまな機能追加やブラッシュアップを行っているので、導入の際にカスタマイズの必要がほぼないのも特徴です。

また、クラウド型サービスならではの特性ですが、法令改正などに伴うメンテナンスをユーザーが行う必要はまったくありません。すべて弊社で対応します。導入に向けたハードルが低く、タイムカード代わりに使いたいという中小規模の企業から、コンプライアンスをしっかりやっていきたい、経営の意思決定に使えるデータを取りたいという大企業まで、企業規模を問わず全業種で活用することができます。英語にも対応しているので、グローバル企業の海外拠点で導入されているケースも多数あります。

【図】法改正に対する対応

開発以来、さまざまな働き方の変化をキャッチアップするだけでなく、さらに働きやすい環境をつくるための支援ツールでありたいと考えて改良を重ねてきました。オフィスで働く社員だけでなく、テレワーク、サテライトオフィス、在宅勤務など、勤務形態や場所、端末の種類などを選ばず利用できる仕組みを用意しています。また、UIも使いやすさを最優先にきめ細かく徹底的に作り込んでいます。きわめて特殊な勤務制度を持つ企業に導入していただく場合はカスタマイズを行うこともありますが、そこで得た知見をもとに、クラウド版もさらに機能を充実させてきました。

現在取り組んでいるのは「Microsoft Office 365」などのグループウェアとの連携、ERPなど基幹系システムとのAPI連携です。これが可能になると、たとえばチャットツールを使って出退勤を記録できるようになったり、工数管理データを使って販売管理費・一般管理費の割合の把握ができるようになったりします。社員の現状を把握するだけでなく、経営上必要な情報の把握、管理まで一貫してできるようになるわけです。また、社外で活動している社員にERPを利用してもらうのは難しいものですが、「follow」をERPのフロントウェアとして使えるようにすることも予定しています。さまざまな申請業務などもすべて、勤務管理システムを通してできるようになるはずです。

もはや「勤務を管理する」ためだけのツールではありませんね。

そうですね。社員が健康に働ける仕組みをつくるための大切な要素の一つとして勤務管理システムがある、という考え方が今の時代にはふさわしいと思います。働きやすい環境を提供するには、どこで働いていても勤務実態を正しく把握できるツールが欠かせません。働き方改革関連法などの法令遵守は確かに重要ですが、そこからさらに一歩進み、社員目線で考えることが求められていると思います。

山本達哉さん(NTTコムウェア株式会社 取締役 エンタープライズビジネス事業本部 ビジネスデザインソリューション部 部長)
企業概要
NTTコムウェア株式会社

NTTコムウェアは、NTTグループのIT部門として国内最大の通信キャリア事業を支えてきた技術・経験を活かし、お客さまに最適なソリューションを提供してきました。「ICTで社会を変えるビジネスインテグレータ」として、お客さまとともに新たなビジネス価値の協創を通じて、豊かなコミュニケーション社会の実現に貢献していきます

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