デザイン思考と5つのちから⑤
課題解決策のイノベーション手法として注目を集めているデザイン思考。本コラムではデザイン思考のそれぞれのステップでどのような能力を育て、磨き、向上していくことができるのか考察していきたいと思います。
【デザイン思考のステップ】
デザイン思考では 1) 共感、2) 問題定義、3) 創造、4) プロトタイプ、5) テストの5つのステップを踏みます。それぞれのステップでは❶傾聴力、❷分析力、❸創造性、❹主体性、❺成長力を活用することが求められます。もちろん上記以外の能力も必要となりますが、今回のコラムでは5回シリーズでこの5つの能力に焦点を当てていきます(初めてこのシリーズを読む方は「デザイン思考と5つのちから①」からご覧下さい)
【成長力】
5つ目の能力は「成長力」。デザイン思考のステップ5、テストのステップではユーザーのフィードバックを元に改善点を反映していくということが求められます。
では、具体的にどのようにすると成長力を向上させることができるでしょうか。
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満足の定義・「自己超越の欲求」を満たすには
「欠乏している状態」と「満足している状態」とを比べてみると、一見、前者の方が負の状態で後者の方が正の状態、と考えてしまいがちです。しかし、表現を変えると、前者の方は現状に満足しておらず、改善に向けて行動を起こしている状況であり、後者の方は成長への意欲もなく、停滞している状態とも言えます。成長力を向上するためには「自身が満足するのは何を達成した時か」ということをじっくり考え、常に上を目指し軌道修正を繰り返す、という姿勢が大切です。有名なアブラハム・マズローの欲求5段階発展説では最上層の「自己実現の欲求」のさらに上に「自己超越の欲求」が存在する、と提唱しています。自己を超越して成し遂げられることは無限にありますので、そこを目指せば成長に終わりは無いのです。
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「ビジョン」と「ゴール」の確認
よく「仕事におけるビジョンを共有する」とか「皆で一緒のゴールを目指す」など、同じような文脈で使われがちな「ビジョン」と「ゴール」ですが、厳密に言うと違うものを指す言葉です。前者は「実現したいと思い描く理想」を指し、後者は「理想の実現に向けた到達目標地点」を指します。ですので、ビジョンで思い描く理想が発展すれば、ゴールもそれに応じて新たに生まれます。成長を続けていくためには常にビジョンとゴールが何なのか確認をし、必要があれば修正していく姿勢を保つことが重要です。
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知的好奇心の刺激
ソクラテスは自身を「自分の無知を知っている」ことで他者よりも「知恵者」である、と言いました。「知っているつもり」になると知的探求は滞り、果たしては慢心に陥ってしまう可能性があります。しかし、常に自身の無知を自覚し、知的好奇心を意識的に刺激することで、新たな発見に満ちた日々を送ることができます。
【成長力を高めることの利点】
成長力を高めると、現状に満足せず、常に改善策は無いか考えながら切磋琢磨する姿勢を保てます。関係性が構築され、自身のスキルや能力が磨かれると、さもすると慢心に陥り、保守的になってしまいがちです。慢心や保守的な姿勢により向かう方向性は停滞しかありません。ですので、成長力は仕事においても、私生活においても欠かすことのできない能力であると言えます。
デザイン思考は課題解決策をイノベーションするための手法であるとともに、その過程を通し、取り組む人の人間力そのものを向上させることができるものでもある、と言えます。
5回シリーズで一連のコラムを書かせていただきましたが、ご紹介できたのはデザイン思考の素晴らしさのほんの一部に過ぎません。これをきっかけに皆様がデザイン思考にご興味を持ち、日々の課題解決の手法として少しでも取り入れていただくことができたら幸甚です。日々予測不能な変化を続けるVUCA時代と呼ばれる昨今。新しい時代に適した課題解決法をデザインしていきましょう!
- グローバル
- コミュニケーション
- プレゼンテーション
- ロジカルシンキング・課題解決
- 語学
「伝えたい」という思いを「伝わった!」という喜びに。語学研修の枠組みを超え、皆様の悩みの解決、目標達成を全力でサポートします。
第2言語習得、異文化理解、コミュニケーション力向上など、さまざまな研修を提供させていただくことで皆様のお力になりたいです。英語に関すること、英語資格に関することなど、ご質問がございましたらお気軽にお問合せください。
横山 悠規(ヨコヤマ ユウキ) 株式会社ヒューマン・ブレーン 国際事業部 法人研修Gリーダー
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