デザイン思考と5つのちから①
課題解決策のイノベーション手法として注目を集めているデザイン思考。本コラムではデザイン思考のそれぞれのステップでどのような能力を育て、磨き、向上させていくことができるのか考察していきたいと思います。
【デザイン思考のステップ】
デザイン思考では 1) 共感、2) 問題定義、3) 創造、4) プロトタイプ、5) テストの5つのステップを踏みます。それぞれのステップでは❶傾聴力、❷分析力、❸創造性、❹主体性、❺成長力を活用することが求められます。もちろん上記以外の能力も必要となりますが、今回のコラムでは5回シリーズでこの5つの能力に焦点を当てていきます。
【傾聴力】
1つ目の能力は「傾聴力」。デザイン思考のステップ1、共感のステップではユーザーの声に耳を傾けニーズを聞き出すということが求められます。
では、具体的にどのようにすると傾聴力を向上させることができるでしょうか。
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共感の定義
「共感をする」という表現はよく使われていますが、意外とその意味するところが曖昧である場合があります。そこで、改めて共感とはどういう意味かを定義してみることで気付くことが沢山あります。「共感」の意味とは何か。例えば、「相手の心情に共鳴し寄り添うこと」、「想いや感情を共有すること」など、さまざまな定義が考えられます。そして、共感をするとどのような感情が喚起されるのか。どのような目的で相手にその感情を伝えるのか。逆にそれがなかった場合どのような結果となるのか。そのように考えを巡らすことで傾聴の重要性がより明確になってきます。
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意識的に、無意識のうちに表出するサイン
皆さんが思っている以上に多くの表情やボディランゲージが「共感するつもりがある」または「共感するつもりがない」ことのサインになります。意図的に相手に共感しているということを伝える場合、どのようなサインを出すか、また、無意識のうちであったとしても、自身が共感をするつもりが無いことが相手に伝わってしまうサインはどのようなものがあるかを考えてみると、コミュニケーションをとる際にしっかりと意識をすることができるようになります。誰かと話しているときに、「たくさん喋りたい」と思う時と「あまり喋りたくない」と思う時に相手がどのようなサインを見せているか、観察してみると新たな発見があるかも知れません。
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「理解を押し付ける」のではなく「真意を引き出す」
「あなたはこう考えているのでしょう」と自分なりの理解を相手に伝えることは時に効果的ですが、ほとんどの場合、相手に自分の言葉で真意を言ってもらった方が建設的なコミュニケーションをとることができます。傾聴力を高めるためには「合意事項をまとめて効率的に処理をする」、という姿勢ではなく、「例え時間がかかったとしても相手の口から本当の気持ちを言えるように誘導・ファシリテートする」、という姿勢が大切です。どのような発言をしたら相手が守りの姿勢に入り、心を閉ざしてしまうか。また逆に、どのような質問を問いかけたら相手が心の内に秘めた真意を打ち明け易くすることができるか。それらを考えながら日々のコミュニケーションをとってみるだけでも大きな変化があると思います。
【傾聴力を向上させることの利点】
意識的に傾聴ができると、コミュニケーションの際に相手の言いたい事を親身に、じっくりと聞く、という姿勢を保つことができます。「自分の意見を受け入れてもらえた」という認識は相手に対する信頼感を高めます。そして、信頼に裏付けられたコミュニケーションは建設的な結果をもたらすことが多くなります。ですので、傾聴力は仕事においても、私生活においても欠かすことのできない能力であると言えます。
デザイン思考は課題解決策をイノベーションするための手法であるとともに、その過程を通し、取り組む人の人間力そのものを向上させることができるものでもある、と言えます。
次回のコラムでは分析力に焦点を当てます。お楽しみに!
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