変化と人のこころ➁
現代社会は、情報化、グローバル化が進み、常に変化しています。
企業においても、それに伴って事業の多様化、組織統合など、
多くの変化が起こっています。
変化を受け入れ、適応していくことが、今の私たちには求められていると
言えます。
変化には、外的変化と内的変化があります。
外的変化とは、現実の出来事が変わることを指し、一方、
内的変化とは、自分自身の内面(こころ)が変化することを指します。
ウィリアム・ブリッジズの「トランジション理論」では、トランジション
(変化)には、①何かが終わる段階、②ニュートラルゾーンの段階、
③何かが始まる段階、があるとしています。
前回は①の時期について、説明しました。今回は➁と③の時期について、説明します。
①の段階を過ぎると、②の中立の段階へと進み、
変わりたいけれど変わりたくないという両極端な感情の間を
行ったり来たりする時期となります。
変化を受け入れる準備段階である混乱(モラトリアム)状態とも言え、
不安感や無力感の増大、自分を見失う、自身の存在価値の否定、
あきらめ、やる気を失うといった状態となります。
うつ状態や身体症状に表れることや、周囲の意見を聞かない、孤立する、
時に会社を休みがちになったり、転職を考えたりするといったこともあります。
つらい時期ではありますが、この時期を経ることで③の開始期へと進み、
変化を受け入れることができるようになるのです。
③の時期は、エネルギーが満ち、新しいことへチャレンジしたり、
新しい人間関係を構築したりするなど、積極的な行動が見られるようになります。
上記のように、外的変化が起きる(外的変化を起こす)と、私たちの心では内
的変化が起こります。
そして、この内的変化のプロセスを踏むことで外的変化を受け入れることが
できるようになるのです。
よって、例えば、ストレスチェック後の組織改善などのプラスの変化を起こす際も、
変化を成功させるためには、社員の内的変化に焦点を当てることが大切となります。
具体的には、普段より少し多めのコミュニケーションを取って
社員の状況・状態を確認し気持ちをただ受け止めること、
外的変化の状況、その意味や目的、計画・見通し、各々の役割を伝えていくことが
内的変化のサポートに繋がっていきます。
目まぐるしく変化する現代社会だからこそ、
人の心・内的な変化を大切に扱っていく必要があるのではないでしょうか。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/キャリアコンサルタント/CEAP(国際EAPコンサルタント)
【専門領域】産業精神保健、危機介入
医療機関や教育機関にカウンセラーとして従事。その後、EAP事業会社にて、人事・管理職・産業保健スタッフへのコンサルテーションや組織介入を中心に企業のメンタルヘルス支援に携わる。他、大学のハラスメント相談員、再就職支援会社のスーパーバイザー。
永田 有希子(ナガタ ユキコ) シニアコラボレータ―
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所在地 | 渋谷区 |