復職後の支援で重要となるポイント〜業務負荷のかけ方〜②
メンタル疾患による休職者が職場復帰となった際、
対応で難しいことの一つが業務負荷のかけ方です。
復職してすぐに高ストレスの業務を依頼してはいけないのはわかるけれど、
どれくらいの業務負荷から始めて、
どれくらいのタイミングでレベルアップさせていったらよいのか、
復職者をかかえる部門の上長から相談を受ける人事の方も多いのではないでしょうか。
前回のコラムでは、復職後の業務負荷のかけ方について、
復職前から計画的に考えておく必要性をお話しました。
計画を立てる際には、
主治医の診断書、復職者本人の希望、産業医による就業制限や意見、職場の状況などを参考とし、
会社として取りうる配慮をふまえた上で、
職場の上長と人事担当者とで復職後1週目〜6ヶ月目までの具体的な業務内容を検討し、
「復職支援計画書」などを用いて作成していきます。
業務負荷については、
仕事を量的なものと質的なものに分類し、
「量少→量多→質少→質多」の順、もしくは「量少→質少→質多」の順に
レベルアップさせていく内容となっているかどうかを確認できるとよいでしょう。
なお、仕事の「量」とは、定常的な仕事で、
進める上で判断や複雑なコミュニケーションを必要としないものを言います。
一方、仕事の「質」とは、判断を要する状況対応的(不確実性のある)な業務や、
人との対応が複雑化するものを言います。※
レベルアップの順番において重要なのは、
「質少→質多」の過程を必ず経るということです。
状況判断力や周囲とのコミュニケーション力が必要となる質的業務をこなすことは、
復職者にとって大きな関門となることが多く、復職後のフォロー面談で話を伺う中でも、
このレベルアップの段階において、不安や緊張を話される方が多いように思います。
「質少」の段階において、ある程度成功体験をし、
上長からのフィードバックを受けて自信を持って「質多」に進むことが
復職を成功させるポイントの一つとなります。
次回は、復職後、業務内容をレベルアップさせるタイミングについてご紹介していきたいと思います。
※【参考文献】
小沼美智子:「メンタル不調者の回復期における仕事配分の適性化」
日本労務学会第40回全国大会研究報告, 2010
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
【専門領域】産業精神保健、ストレスマネジメント、認知行動療法
公立大学付属病院精神科デイケア、心療内科クリニックデイケアを経て、精神科クリニック外来業務、教育相談課スクールピア事業に従事。その後、EAP事業会社にてカウンセラーとして従業員からの相談、研修業務に携わり、企業のメンタルヘルスケアを支援。
佐川 由紀(サガワ ユキ) シニアコラボレータ―
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