新卒には「ストレス」のトリセツが不可欠
10年程前から「ストレス」を理由に保健室に行く小学生が増えているのをご存じだろうか。
2002年 財団法人日本学校保健会は、
「近年児童の保健室への来室状況は” 体の問題や悩み” から” 心の問題や悩み”に移行している。」と報告している。
それから10年経過した今、もうこの世代が新卒として入社してくる時代になった。
私たちの世代には小学校時代、「心の問題」で保健室に行くなどはちょっと考えられない。
思い出してみても「最近ストレスが多くて」と保健室に行った同級生などはいなかった。
仮に当時先生にそう言ったとしても「なに甘ったれたこと言っているの」と一喝され、
即教室に戻されたことだろう。
しかし、上記の報告にもあるようにこの世代は大人たちにそれを認めてもらってきた世代なのだ。
この世代には「ストレス」のトリセツ(取扱説明書)が必要なのかもしれない。
特に必要な教育は、必ずしも ストレス = 悪 では無い。 という点だ。
※過剰な「ストレス」が体に与える悪い影響については十二分に意識している世代だろう。
1935年にカナダの医学者ハンス・セリエ氏によって初めて「ストレス」という言葉が医学に取り入れられた。
同博士は、著書で「ストレスは人生のスパイスである」 また「ストレスの欠如は、死である」
と、ストレスには有害なものだけでなく有益なものもあり、いずれにしても生きていく上で避けて
通ることが出来ないものなら、悪と善の区別することなく、丸ごと受け入れて、乗り切ることが大切だ
ということを説いている
また博士は当時すでに、「ストレス対策」として、次の3点を挙げている。
<ストレスへの対策>
第1.性格のタイプ、ストレスのレベルを知り、これに応じて生活すること。
第2.自分の目標を選んで、その達成をはかること。
第3.自分の分野で出来る限り実力をつけ、他人に有益、必要な存在になり、他人からの愛を勝ち取ること。
上記の第2は「目標達成」。第3では「自己の成長」をストレスの対策としている。
しかし、現代の多くの人はこの第2第3の対策についての認識が薄いのではないだろうか。
第1の対策は苦労なくできるために小学生にまで浸透し、
残りの2つは「自助努力」が必要な点で、世の中に浸透しなかったのか。
しかし、当時から、3種類のストレス対策の内の2つは「努力」によるものとされていたのだ。
同じようにストレスの有用性について、世界的生理学者でノーベル賞を受賞した
アレキシス・カレル(カナダ)は、ストレスが病人のデータのみに基づいている事
に疑念を呈しこう言っている。
「例えば、足の悪い人に駆け足をさせれば当然マイナスの効果しか生じませんが、
正常に機能する人は「負荷」を与えるほど足の筋肉は強化され、走る能力が向上し、
かつ以前と同じ負荷がかかっても実感する「負荷」は軽減されます。」
さらにアメリカ心理学会の会長だったマーティン・セリグマン教授は、
近年の心理学・精神医学の最も悪かった点として、このような「反省」を告白している。
「60年にわたり、心理学・精神医学は、病理モデルを基本としてきました。その結果、普通の人を考えなくなってしまった。」
「普通の人たちをより充実させ、より生産的にすることを忘れていた。」
私達が生きていくうえで、適度な「ストレス」は必要であり、その中でも特に仕事のストレスを
真に解消するにはハンス・セリエ博士の学術的提言のとおり、
「目標を達成する」
「他者から必要とされる実力を養う」
「人に愛される」
事が必要な事は、我々社会で経験を積んできたものにとって、実に納得できる対策である。
適度なストレスが、仕事の達成に喜びや充実感を与え、自己を成長させ、次のより大きな壁に
挑むメンタリティーを育んでいく。 遊びでもスポーツでも真の醍醐味は努力して、壁を超える
事にある。
健康な若者までもが、ただストレスから逃げていてもストレスを解消する事はできない。
新卒者が「ストレス」と対峙する入社数か月の内にこのような教育できれば、
充実した社会人生活を送るには「何が必要か」をメッセージでき、
かつ新卒者の「リアリティショック」を軽減できるではないだろうか。
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従業員30,000人規模の企業の人事部長を務めた人事のプロ。
1,000件を超える労働問題・訴訟・外部労働組合との団体交渉、100件を超える労働基準行政対応などを責任者として直接対応し、企業負担を最小限に抑え解決に導いた実績を持つ。
今溝 敏彦(イマミゾ トシヒコ) 株式会社Human&Society 代表取締役
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