住宅手当を廃止し、借上社宅化するトレンド
今、住宅手当制度を廃止して、借上社宅制度を開始する企業が出始めている。これまでは、社宅管理の手間を軽減するために、社宅制度から住宅手当に移行する流れが主流であったが、逆方向の動きである。
たとえば、住宅手当3万円を支給し、社員は10万円の賃料の住宅に入居する。それを会社が10万円の賃料の住宅を借り上げて、使用料6万円を給与控除するのである。会社、社員とも負担は従来と変わらない。
このようにする理由は、社員の住宅管理負担の軽減にある。大家との賃料交渉、退去時の現状復旧の交渉、敷金精算等の負担の軽減である。さらに、副次的に、社保負担の軽減につながることも、それを後押ししている。
住宅手当3万円(年間で36万円)は、社保、所得税等の対象となる。社宅制度では、現物で住宅を提供するので、基本的には社会保険料・税の対象とならない。※
社会保険料率は、年金・医療・介護を合計して、会社負担・従業員負担とも14%前後である。会社は36万円×14%=5.04万円の負担軽減につながる。社員の社保5.04万円の軽減に加えて、所得税率、住民税率をそれぞれ10%と仮定すれば、36万円×20%=7.2万円の税軽減、社保と合算して12.24万円の軽減となる。
社員の給与が伸び悩む中で、実質手取り増につながるため、副次的効果とはいえ、手当の社宅化の動きは社会保険料負担が増加する時代環境とも相まって、今後も増えていくのではないか。
※所得税基本通達および告示で定める以上の社宅使用料を徴収することで、非対象となる。
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可児 俊信(カニ トシノブ) 株式会社ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所 所長 千葉商科大学会計大学院 教授
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