賃貸物件の「仲介手数料」有無について

こんにちは、プレニーズの秋口です。

不動産の賃貸借契約では仲介手数料の支払いが発生します。こちらは不動産会社に対して、契約内容に関してのトラブルが無いように貸主・借主の間を取り持ちながら、取引を成立させてくれた対価として支払われる費用です。

しかし実際に募集されている物件を見てみると「仲介手数料あり」「仲介手数料無し」どちらの条件も出てきます。今回はこの「手数料あり」「手数料無し」の違いについてお話しさせていただきます。

──────────────────
はじめに 仲介手数料はだれが払う？
──────────────────

民法上は「貸主または借主が支払うこと」となっておりますが、業界では原則借主が100％支払うのが一般的で、貸主と借主で折半するケース、あるいは貸主が100％負担するというケースは少ないです。

1つの契約での仲介手数料の上限は「賃料の1ヵ月分以内」＋消費税です。仮に10万円の物件を契約する場合は10万円+消費税(10％)＝11万円が上限になります。そのため万が一これを超える金額を提示されたら断って問題ありません。

もし支払いが折半となっている場合は「貸主と借主合わせた額が1ヵ月分以内」なので、貸主が0.5ヵ月分払っているなら借主は残り0.5ヵ月分の支払いだけで済みます。

では、手数料無料で募集している物件にはどんな思惑があるでしょうか。

──────────────────
無料に隠された理由(１)
空室期間を短くしたいから
──────────────────

例えばあなたがお部屋を紹介されたとき、広さや駅までの近さは同条件で、

物件A：仲介手数料無料
物件B：仲介手数料1ヵ月分

の2件を提案されたとしましょう。どちらを契約したいかと言われたら、Aを選ぶのではないでしょうか？

このように借主目線では当然、手数料無料の方が魅力的に見えるため、興味を持ってもらえる＝契約してもらえる可能性が上がります。つまり貸主が「仲介手数料が全額自分(貸主)の負担になってでも早く入居してほしい」と希望すれば無料になるのです。

──────────────────
無料に隠された理由(２)
転貸借の物件だから
──────────────────

こちらは不動産会社が貸主からお部屋を借り上げ、それを入居者に転貸しているやり方です。この場合最終的な借主(実際の入居者)から見て、貸主は「不動産会社」になります。

貸主である不動産会社が直接紹介することで間に他の不動産会社が入らないため、仲介手数料は発生しません。

─────────────
無料に隠された理由(３)
他の条件でまかなっているから
──────────────────

クリーニング代を必須にしたり、引っ越し業者の指定があったり、敷金を2か月分にしたり……、他の費用である程度まかなえている物件では、仲介手数料が無料になる事があります。

仮に「クリーニング代必須」の場合、クリーニング代は一般的にワンルームで3万円程度なので下記のような比較ができます。この部分だけ比較したら、借主側は物件Cを契約するのがお得ですね。

物件C：仲介手数料無料 / クリーニング代必須
→ 負担額：3万円
物件D：仲介手数料1ヵ月分 / クリーニング代無し
→ 負担額：賃料1ヵ月分

次に「敷金2か月分」も一見支払いが多くなるように見えますが、以下の物件で比較してみましょう。

物件E：仲介手数料無料 / 敷金2ヵ月分
物件F：仲介手数料1ヵ月分 / 敷金1ヵ月分

項目は違えど足せばどちらも「2か月分」です。
ただし正確に言うと仲介手数料は消費税がかかるので、やはり手数料無料である物件Eの方がややお得です。

このように、仲介手数料無料の代わりに他の費用の支払いを必須にすることで、借主はお得に、貸主もある程度の収入を見込んで契約できます。

──────────────────
無料にこだわりすぎないことも大切です
──────────────────

仲介手数料無料の物件はたしかに契約費用を抑えられますが、条件を一つ一つ整理してみれば、意外と「そんなに支払い額が変わらないな」と気づけるかもしれません。すると仲介手数料無料にこだわる必要がなくなり、お部屋の選択肢が広がります。

たとえ仲介手数料が無料でも、あまりに気に入らないお部屋しか出てこないのならいつまでも部屋探しは終わりません。費用が安くて、駅から近くて、周辺環境は完璧で、賃料も希望範囲内で、設備が充実していて……そんな物件はなかなか見つからないでしょう。

そんなときは条件を変えてみるのが得策。一旦仲介手数料の条件を外してみて、気に入ったものをピックアップしてから一番仲介手数料が安い物件に決める方法もオススメです。