逆説12, 「人を育てる」のではない
皆さんの会社は、管理職に対して「人を育てる」ことを強く推奨してはいないだろうか。強い組織をつくるために「人を育てる」ことは重要そうに見える。 しかし、私が多くの会社をコンサルティングしてきてわかることは、「人を育てる」ことに一生懸命になっている会社ほど、人が育っていないという事実である。
では、「人を育てる」のではなくて、何をすれば良いのだろうか。それは、「人 が育つ」組織づくりをすれば良いのである。「人を育てる」組織と「人が育つ」 組織には大きな違いがある。
人を育てる組織では、例えば管理職の部下指導力が弱いという話を聞くと、 安易に部下指導力を高めると銘をうった研修を探しにいく。そして、コーチング研修など、一定のスキルを教える。こうやって「人を育てる」ことに一生懸命になっているのだが、なかなか効果がでてこない。どうやら、「育てる」対となっている研修受講者自身に成長したい意欲がない。このようなケースは多い。
一方、人が育つ組織では、若いうちは研修も何も受けさせてくれない。その代り、リーダーシップを発揮できなければこなせない仕事をする機会が沢山与えられる。すると、本人は必然的に自身のリーダーシップスキルやコーチング スキルの不足を思い知る。そして、ある時期から自発的に勉強するようになる。 また、勉強したことをすぐに実践したくなる。
さて、上記事例であげた「人を育てる」組織と「人が育つ」組織では、どちらが強い人材をつくれるだろうか。答えは自明である。人が育つには、経験を させることが一番なのである。経験をすることでスキルの欠如を知り、自らス キルを身につけたい意欲がわき、自らスキル習得の機会を探し始めるのである。 そして、身に付けたスキルを活かし高める機会も沢山ある。そのような組織で は本当に「人が育つ」のである。
人事部門は「人を育てる」ことばかりに注力していないか。自己点検してほ しい。
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「人事の大学」を運営する株式会社JIN-Gの社長です/
ビジネス・ブレークスルー大学で准教授も務めます/
組織人事戦略コンサルタント
・株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
・ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科准教授
三城 雄児(ミシロ ユウジ) 株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
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