【障がい者雇用】精神障がい者の採用にあたっての留意点④
昨年4月1日より「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」
が施行されました。
民間企業においても、障がい者に対して「不当な差別的取扱い」は禁止され、
過度な負担のない範囲で「必要かつ合理的な配慮」を行うことが求められます。
このコラムでは、障がい者雇用において、
企業の皆様が抱える現状の課題を検討し、
具体的解決策に向けた手がかりについてお伝えしていきたいと思います。
今年1月号のコラムから精神障がい者の「採用」に焦点を当て、
採用時に確認すべきポイントについてシリーズで投稿しています。
今回はその三つ目のポイントとなる
「疾病・健康管理の状況:日頃から健康維持に向けた取り組みをしているか」という点で
考えていきたいと思います。
厚生労働省による障害者雇用実態調査(平成25年度)によれば、
精神障がい者の主な離職要因の順位は以下の結果となっています。
1位:「職場の雰囲気・人間関係」(33.8%)
2位:「賃金・労働条件に不満」(29.7%)
3位:「疲れやすく体力・意欲が続かない」および「仕事内容が合わない」(28.4%)
4位:「症状が悪化(再発)」(25.7%)
この中で「疲れやすく体力・意欲が続かない」「症状が悪化(再発)」は
健康管理に関わる要因となり、
採用面接では持続的就労の可能性指標として、
健康管理力の確認は欠かせないことがわかります。
健康管理に関わる具体的な項目としては、
睡眠、食生活、ストレス解消法などが挙げられますが、
各項目ごとに確認していきたいポイントを以下にご紹介します。
睡眠:毎日の就寝・起床時間のリズムが一定かどうか、
疲労を回復するのに十分な睡眠がとれているか。
食生活:即席類やコンビニの弁当に偏らない栄養バランスのとれた
食生活を心がけているか。
ストレス解消法:スポーツやウォーキングなど身体を動かしたり、
外出してリフレッシュする習慣があるかどうか。
また、困ったり悩んだりしたときに、
一人で抱え込まず身近に相談できるサポーターがいるかどうか
(特に地域の支援機関とのつながりをもっているかどうか)
以上の内容は、「日頃、健康を維持したり、ストレス解消として
どんなことを心がけたり取り組んだりしていますか?」とオープンな質問から入り、
うまく答えられないようであれば項目ごとに掘り下げて
具体的に確認していくとよいでしょう。
障がいの有無に関わらず、
以上のことを全てクリアできている方は実際少ないと思いますが、
こうした質問を投げかけることで日頃の健康管理にどれくらい意識して
生活をしているかが見えてくるのではないかと思います。
次回のコラムでは採用面談時の確認のポイント④
「業務遂行力:採用後に想定している業務に適応できるかどうか」
について考えていきたいと思います。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士/社会福祉士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
2009年度日本うつ病学会奨励賞受賞
精神科クリニック、障害者職業総合センター等で集団精神療法、デイケア、就労支援の他、スクールカウンセラー、千葉県医療技術大学校非常勤講師、千葉県庁健康管理室相談員を歴任。その後、EAP事業会社にて復職支援を中心にメンタルヘルス対策支援に従事。
中田 貴晃(ナカダ ヨシアキ) エグゼクティブコラボレータ―
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所在地 | 渋谷区 |