精神科の受診や治療に難色を示す社員への関わり方(2)
前回は、精神科の受診や治療に抵抗を示す背景にある不安について、以下の3点をあげました。
1.メンタル疾患の診断に対する不安
2.薬物治療に対する不安
3.休職に対する不安
今回はその対応について、述べていきたいと思います。
「1」がある場合、“自分はメンタル疾患ではない”という態度(否認)
で表現されることも多くあります。
この態度の裏側には、後述の「2」や「3」の不安が背景にあったり、
メンタル疾患と診断された時の周囲の見る目や反応を気にしていたりすることもあります。
このような場合、まずは、そうした不安な気持ちを持つのは自然であると受け止めつつ、
今の勤怠や健康状態を改善するために、一度専門医に診てもらうことの必要性を、
繰り返し伝えていくことが大切になります。
もし体調面の不調の訴えがある場合は、まずは産業医につなげたり、
内科や総合外来など精神科以外の受診を勧めたりしていくとよいでしょう。
「2」を抱えている場合、社内外の専門家の力を借りて、薬物療法のあらましについて
説明する必要があります。
治療のプロセス、服薬の効果と副作用の表れ方やその対処方法、
主治医とコミュニケーションを取るコツ等について丁寧に情報提供を行います。
また、実際に早期治療で良くなったケースについて話をすることで、
薬物治療に対する不安も軽減されることが多くあります。
「3」の場合は、休職中の収入はどうなるのか、自分の担当業務は大丈夫か、
家族に心配や迷惑を掛けてしまうのではないか、
復帰できなくなるのではないかといった様々な気持ちが混在していることが多いです。
傷病手当金制度や復帰に向けた手続きの説明、
場合によっては、ご家族を交えて話し合うなど、
一つひとつの不安材料を解消し、本人が安心して休める環境づくりをしていくことが求められます。
以上のように、受診や治療に抵抗を示す社員は、様々な不安を抱えています。
まず、本人の感じている不安に十分耳を傾け、丁寧に情報提供を行い、
「今の自分に必要なことは、治療や療養であること」を本人が自然に受け入れられるよう
粘り強く支援していく姿勢で臨むことが大切です。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士/社会福祉士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
2009年度日本うつ病学会奨励賞受賞
精神科クリニック、障害者職業総合センター等で集団精神療法、デイケア、就労支援の他、スクールカウンセラー、千葉県医療技術大学校非常勤講師、千葉県庁健康管理室相談員を歴任。その後、EAP事業会社にて復職支援を中心にメンタルヘルス対策支援に従事。
中田 貴晃(ナカダ ヨシアキ) エグゼクティブコラボレータ―
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所在地 | 渋谷区 |