新入社員を職場でがっかりさせないために
こんにちは、シンスターの曽我です。4月は、多くの会社においては新入社員の配属や、組織変更でのメンバー変更など、新しい顔ぶれも増えて、職場の雰囲気も変わる時期なのではないでしょうか。
先日ある会社の人事の方からこんな話を聞きました。
本社で新入社員研修を行った後、部署に配属されていった新入社員と久々に会って「職場はどう?」等の近況を聞いたところ、とても残念な話が耳に入ったそうです。
どこの会社でも新入社員研修では同じようなことはやられていると思いますが、その会社でもカリキュラムの中で挨拶をはじめとした基本的なビジネスマナーや、職場でのコミュニケーションの重要性など、いわゆる「社会人としての心得」を教えています。ですが、研修後、新入社員が配属された職場にいってみると・・・
◆朝出社して入口で挨拶しても、返事がパラパラとしか返ってこない・・
◆始業直前にひっそり入って来て、おもむろにパソコンを立ち上げオニギリをかじっている人・・・
◆なんでもかんでもメールで送って済ませてしまい、まったく話をしてくれない人・・・
◆職場に着くと、挨拶もそこそこに、歩きながら「あの件どうなった?」部下に対して話し始める上司・・・
その新入社員の方は、社会人の心得がひっくり返される状況を目の当たりにして、正直「ガッカリ」してしまったそうです。その話を聞いて、人事担当者の方も、同じく「ガッカリ」。せっかく新入社員が「社会人としての心得」を学び、意識を高く持っても、いざ配属された職場がそんな状況だと、きっと研修で学んだことをいずれは実践しなくなり、研修も無意味なものになってしまうのだろうな・・・と、かなりヘコまれていました。
実は、こういった「ガッカリ」は、新入社員だけの話ではなく、研修を受けた人の多くが、職場に戻った時において、同じような「ガッカリ」を味わっているんです。
例えば、ロジカルシンキングの研修を受けた若手社員が、「ロジカルに物事を考えること・説明することの重要性」を理解し、非常に高いモチベーションを得て職場に帰ります。早速、上司へ業務を報告する際に、少し論理立てて説明してみようと習ったピラミッドストラクチャーを使って説明を試みようとしたら、「なんだこりゃ?そんな細かい話はいいから、要はこれをやればいいんだよ」と一蹴されてしまったり・・・。(極端な例ですが・・)新任マネージャーがコーチングスキルを学び、さっそく部下と話をしてみようと張り切っていたら、先輩マネジャーから「そんなことに時間とる暇あったら、これやってくれない?」といわれてしまったり・・・
研修でいい講師に出会い、新しいことを学び、「よし、さっそく実務で使ってみよう!」と気持ちが前向きになっていても、職場に戻ってみると、それを実践する場もなく、実践できる雰囲気ではない。そうしているうちに、研修で学んだことも「知ってはいる」レベルで終わってしまい、いつかはその知識すらあやふやに・・・・。皆さんも一度くらいはこんな経験あるのではないでしょうか?
仕事の時間を割いて参加した研修で、新しいことを学び、気づきを得て、モチベーションが上がって研修の効果を実感して職場に戻った受講者。ですが、それを実践しようにも、職場側に理解がないと、研修効果は半減どころか、がっかりした分だけ逆にマイナスに働いてしまうこともあります。研修の学びを職場で活かすためには、本人の意識だけでなく、いかに職場の周りの人に理解して協力してもらえるか、というのも非常に重要な要素になってくるのです。
このような研修と職場との連動は、いつも人材育成担当者を悩ませる課題です。この課題を解決するために、ある企業で「研修後に職場に戻ったら必ず報告会を実施して受講内容を共有して、更に具体的なアクションプランや周りの人が協力することについて話し合う場を作る」という取組みをしてもらうことにしました。最初はその活動そのものに否定的な人もいて、なかなかうまくいきませんでしたが、色々な仕掛けを作り、皆さんに参加してもらうようにしました。旨く回るまでは少し時間を要しましたが、その取り組みを始めてから、研修の効果が少しづつ目に見えるようになり、職場全体で、研修に対する姿勢が変わりはじめました。
ただ、こういった組織的な取組みをするのは現実的には難しいことも多いので、まずできることとして、研修を受けた人が学んできた内容を実践しようとしたり、今までと違ったことをやろうとしている際は、温かく見守る事くらいはしてもいいのではないでしょうか?また人事の方であれば、そういった職場での協力を、研修受講者の上司にお願いする事もすぐにできることの一つですよね。少なくとも、研修を受けてきた人が研修の内容を実践しようとすることの邪魔をしたり、やる気を削ぐような発言をしないように、気をつけていきたいものです。
さて話は戻りますが、みなさんも、おそらく新入社員の時には研修も受けていて、どんなことを学んだかは、うっすら記憶の片隅くらいには残っているのではないでしょうか。(正直、私もだいぶ怪しいですが・・)職場にフレッシュな風が吹くこの季節、私たちも初心に帰るよい機会でもありますので、新入社員研修で学んだ事を少し思い出しながら、新入社員の方々がよいスタートを切り、「ガッカリ」しないように、ぜひみんなで協力していきましょう!
最後にお知らせです。
シンスターでは、研修と職場での連動させていくための研修後のフォローのあり方や、具体的事例をみなさんにご情報提供させて頂いております。日本の人事部のサイト内の『無料ダウンロード』のコーナー、『レポート・調査データ』に、【研修効果を最大化する研修後フォローの具体的事例】というタイトルで、無料レポートを公開させて頂いておりますので、ご興味ある方はぜひご一読ください。
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『理屈だけでは現場は動かない』大企業とベンチャーでの豊富なビジネス経験をネタにした現場感あふれるセッションが好評
「巻き込み力研修のシンスター」にて、若手から管理職までのスキル研修・営業力強化研修の講師を担当。事業会社での実務経験を活かし、理論と組織力学を押さえたリアリティのある講義・ファシリテーションに定評がある。
曽我 充貴(ソガ ミツタカ) 株式会社シンスター シニア・マネジャー
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