就活に関する政府の要請の問題
毎年4月に政府から経済団体等に対して「就職・採用活動に対する要請」が出されています。その要請に書かれている内容は、採用の早期化・長期化あるいはインターンシップの状況に対して不満を訴えているだけでなくそのトーンが厳しくなっています。
つまり、大学や政府が要請しているにも関わらず、実際の就職・採用活動の現状は彼らから見ると悪くなっているということだと思います。
私はそもそも、政府の要請は企業による採用環境の違いや企業にとっての採用の重要度を理解していない要請になっていると思います。長年、要請の中心は採用スタート時期に関してです。最近ではインターンシップのやり方の規制等も加わっています。つまりわかりやすく言えば、全企業が同じ時期に採用活動をスタートして、採用手法に一定の規制を要請していることになります。
私は長年 採用業務に関わっていましたが、優秀な人材を採用するには、自社よりも人気がある企業と同時にスタートしても勝てません。人気のある企業と同じ手法では負けてしまいます。
つまり、政府の要請は人気があり採用環境の良い企業にしか受け入れられない要請になっているのです。このような企業が受け入れられない要請を毎年続けていても意味がないと思います。
要請内容は時期の要請だけでなく多岐にわたっていますが、重要なポイントは就活が学生の学業を阻害しないということのはずです。つまり、就活がいつから始まろうが「学生は学業に力を入れることが必要だ」という認識を学生間で定着することだと私は考えています。
その為には、政府の要請の中心は採用選考において学業に着目してもらうことにすべきだと考えています。課外活動でのアルバイトやクラブ・サークル活動で「意図・目標、そのためにどのような行動をして、どのような成果を残したのか?それを通して発揮している強みはなんなのか?」を確認するのと同様に、学業場面での「意図・目標、そのためにどのような行動をして、どのような成果を残したのか?それを通して発揮している強みはなんなのか?」ということ確認してもらうことです。
大学の出席管理の厳正化の努力によって、現在では授業への出席は当たり前になっています。大学生活の一番長い時間が日常の学業になっています。その中で学業場面に学生の多様な強み・ポータブルスキルが表れていることも明らかになっています。(下データ参照)
つまり、学業場面の行動、そこで伸ばされた強み・ポータブルスキルを確認することは企業にとっても有益なことなのです。
政府の要請は、就活問題を解決するために効果があると同時に、企業が受け入れられない要請から企業が受け入れやすい要請に修正するべきだと思います。

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学びがキャリアに繋がる社会を創る
日本の大学生が課外活動ばかりに注力し、学業活動に力を入れない現在の大学環境は社会的な問題です。当社は企業の採用場面で履修履歴を活用した学業活動の適切な評価を促進することで、大学生が学業に力を入れることが報われる社会の実現に努めています。
辻 太一朗(ツジ タイチロウ) 株式会社履修データセンター 代表取締役

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