「プール人材」は大人しくプールされないのでは?
人材の流動化が進むこのご時世、以前に比べて「プール人材」という言葉を頻繁に耳にしなくなった気がします。
私が英会話スクールの運営会社で英語研修や人材育成のコンテンツ作りに関わり始めた2014年までには、すでに「プール人材」というワードが使われていました。
現在「プール人材」が指す事柄は会社ごとに異なっていたりするかもしれませんが、当時は一般的に「英語で業務が回せる人材のストック」といった意味でした。
普段は日本で仕事をしているけど、海外赴任枠が空いたらすぐに投入できるような英語力・異文化対応力・業務処理能力を併せ持ったような人材のことです。
こうしたプール人材を育成し、増やして行く方針の企業が増えているから、英語研修や異文化理解研修を提供するんだ、と同僚や上司から聞いた時、
まだ人材育成について浅学ながら、「立派なプール人材を育成できたとして、そのプール人材は大人しくストックされたままでいるだろうか?」と思いました。
日本でも海外でも安心して仕事を任せられるような能力を持っているのに、海外赴任枠や海外事業部の席が空くまでその他の同年代の社員と同じ待遇で、いつ来るかわからない辞令があるまで、海外とほとんど関わりのない業務を続けてもらう。
他の日系企業や外資系企業、海外でも活躍できる能力を身につけた人材が、そのような状況に「プール人材」として甘んじ続けるだろうか、と疑問に思いました。
現職の文脈でキャリアアップの目処が立っていない状態であれば、能力が活かせ、待遇がより良い企業からヘッドハンティングを受けた瞬間に、せっかく会社が投資して高めた英語力やスキルと共に、去って行ってしまうのではないでしょうか。
プールする ⇒ ひとつなぎの仕組みの中で流動させる
昨今は人的資本経営の概念が浸透し始め、人材育成が人事部や各部署単体の取り組みではなく、
「会社の○ヶ年計画を達成するための重要パーツ」
「会社の○ヶ年後のあるべき姿から逆算して社員の育成・研修計画を立てるべき」
という認識が色濃くなってきているようです。
英語の文脈で言えば、英語研修の目的は、社員の英語力アップを達成することではなく、
[研修参加者のキャリアアップ & 海外拠点や海外事業を任せられる人材の育成]という、
研修参加者側・会社側一挙両得の実現が目標であるべきではないでしょうか。
そう考えると、たとえば英語のe-ラーニングの仕組みを導入しているだけの状態ではダメですよね。
研修参加者は英語を話したり使ったりする練習をしていないのですから、英語が求められる業務や役職へのキャリアアップに研修が結びついていません。会社が将来必要な人材の育成にも結びついていません。
オンライン英会話など英会話レッスンの仕組みを導入すれば、
研修参加者に英語を話す練習をさせることができるので、理想像に向けて大きく前進しますが、やはり英語を使った業務を実際に経験していないのですから、まだ頼りないです。英語がペラペラに話せる=業務を滞りなく執り行えるわけではありません。
(英語がペラペラに話せれば仕事がうまく行くのならば、英語圏に住むほぼすべての人がスーパービジネスパーソンということになってしまいます)
海外出張を経験させる、海外研修に参加させる、願わくば海外拠点や海外事業部に配属する、といった方法で英語を使った業務を実体験させることで、初めて、「海外でも安心して仕事を任せられる」人材になります。
また、研修参加者本人も、自らの能力開発とキャリアアップが結びつき、組織の外への関心は薄れるでしょう。英語研修に選抜されるような将来有望な社員はプールせずに、英語研修からキャリアパス、人材配置、ひいては会社の戦略目標達成までひとつなぎとなった仕組みの中で流動させるイメージが良いのでは、と考えることがあります。
…続きはまた次回のコラムで!
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日本のビジネスパーソンに圧倒的に支持される、ビジネス特化型オンライン英会話
大手英会話スクールで英語教師として10年勤めた後に、同社や出向先の大学院で英語コミュニケーションコースのカリキュラムと教材開発を担当。
その他、著書として理系英会話アクティブラーニング書を二冊出版。
竹原 悠介(タケハラ ユウスケ) ビズメイツ株式会社 プロダクトスペシャリスト
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