“伝える”から“伝わる”へ。採用広報におけるPRと販促の違い

採用広報の重要性がかつてないほど高まっています。
今の求職者は、給与や福利厚生などの条件面だけでなく、企業の姿勢・文化・社会的な信頼性に強く関心を持つようになりました。
その中で、単に「情報を伝える」だけでは不十分です。
本当に採用力を高めるには、相手の心に“伝わる”発信が欠かせません。
ところが現場では、「PR」と「販促」という言葉を聞いても、その違いや役割を明確に区別できていないケースが少なくありません。
この記事では、採用広報におけるPRと販促の違いを整理し、両者をどう組み合わせて“伝わる採用活動”を実現するかを解説します。
1. 採用広報が抱える課題“伝わらない”理由
多くの企業が、採用活動で「発信はしているのに成果が出ない」と感じています。
説明会やSNS投稿を重ねても、応募数や反応が伸び悩む。その原因は、発信の目的と受け手の期待がずれていることにあります。
「応募を増やしたい」「イベントに来てほしい」という短期的なゴールに偏ると、どうしてもメッセージが“販促的”になります。
一方で、求職者が求めているのは「どんな人が働いているのか」「会社の価値観に共感できるか」といった情緒的な情報=PR的発信です。
採用広報における「伝わらない」発信は、以下に原因があります。
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行動を促すメッセージばかりになっている
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“共感を育てる”ストーリーが不足している
つまり、応募を生む前に“信頼を育てる”視点が欠けているのです。
2. 採用文脈で整理する「PR」と「販促」の違い
採用広報で成果を出すためには、「PR」と「販促」を正しく理解することが第一歩です。
どちらも発信活動の一部ですが、目的も時間軸もアプローチもまったく異なります。
【PR(Public Relations)】
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目的:企業や社員の魅力を伝え、信頼・共感を育てる
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期間:中長期的(半年〜数年単位)に効果を発揮
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成果指標:ブランド好感度、共感度、企業理解度など
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対象:求職者・社員・社会・メディアなど幅広い層
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発信内容:理念、カルチャー、働く人のストーリー、社会的価値
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トーン:ストーリー性・誠実さ・等身大の言葉
【販促(Promotion)】
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目的:応募や説明会参加など具体的な行動を促す
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期間:短期的(数週間〜数か月)に成果を狙う
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成果指標:応募数、クリック率、エントリー率など
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対象:応募候補者やイベント参加者など行動直前層
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発信内容:キャンペーン、エントリー特典、募集情報など
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トーン:具体的・行動喚起型・成果指向
つまり、PRは“心を動かす”活動であり、販促は“行動を促す”活動です。
どちらか一方だけでは採用広報は成り立ちません。
まずPRで「共感」を生み、販促で「行動」へとつなげる流れを設計することが重要です。
3. 採用における「PR」とは?信頼と共感を育てるブランディング活動
3-1. PRの目的

採用PRの目的は、求職者・社員・社会との長期的な信頼関係を築くことです。
単なる求人告知ではなく、企業の「存在意義」や「働く人の姿」を伝えることで、
“この会社で働きたい”と思える土台を作ります。
3-2. 主な手法と実例
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社長メッセージ動画・ブランドムービー
企業の理念や想いをストーリーとして伝える。リーダーの言葉が信頼を生む。 -
社員インタビュー・座談会記事
現場のリアルな声を届けることで、社風や人間関係を可視化する。 -
SNS発信・オウンドメディア運用
日常の出来事を通じて、等身大の社風を継続的に発信する。 -
CSRや地域活動の紹介
社会と関わる姿勢を示し、企業への好感や信頼を醸成する。
3-3. 成果の見方
PRの成果は数値化しにくいものの、応募者の質や共感度の高さに反映されます。
「社員の雰囲気が伝わってきた」「価値観が合いそう」という反応が得られれば成功です。
PRは“すぐに応募を増やす”ためではなく、未来の採用力を育てる活動なのです。
4. 採用における「販促」とは?応募を後押しする行動設計
4-1. 販促の目的
販促の目的は、PRで生まれた関心を「行動」に変えることです。
「この会社いいな」と感じた求職者に、応募・説明会参加という一歩を踏み出してもらうための設計です。
4-2. 主な手法と実例
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キャンペーンLP
「限定イベント開催」など、短期間で行動を促すページ設計。 -
採用DM・スカウトメール
個別の興味層に合わせたパーソナルなメッセージで応募を後押し。 -
ノベルティ・イベント出展
リアルな接触体験を通じて印象を強化。 -
動画広告・SNS広告
興味を持った層に再アプローチし、応募導線へ誘導。
4-3. 成果の見方
販促は即効性のある施策であり、クリック率や応募数など定量的な成果指標で効果を測定できます。
ただし、PRでの「信頼形成」がなければ、一時的な応募に終わることも多く、
PRとの連携によってこそ成果が持続するという点が重要です。
5. PRと販促をどう連携させるか?採用広報の成功設計
5-1. フェーズごとに目的を分ける
採用広報はフェーズごとに役割を分けることで最大化します。
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認知フェーズ:PRで「信頼・共感」を築く
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検討フェーズ:販促で「応募・行動」を促す
5-2. 連携の実例
たとえば以下のように、PRから販促への“ストーリー設計”を組み立てます。
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社員インタビュー(PR)→ 説明会LP(販促)→ エントリー導線
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ブランドムービー(PR)→ 採用キャンペーン(販促)→ スカウト配信
発信内容に一貫性を持たせることで、求職者が「共感→行動」へ自然に移行します。
5-3. チーム連携の重要性
広報・人事・マーケティングが連携することで、採用体験全体が統一されます。
“企業らしさを一貫して伝える”ことが、長期的なブランド形成につながります。
6. まとめ:採用広報は“伝わる体験”をデザインする時代へ
採用広報は、単なる求人告知ではなく「共感を育てる活動」へと変化しています。
PRで“信頼を育て”、販促で“行動を促す”。
この両輪をバランスよく回すことで、「この会社で働きたい」と思われる採用ブランドが生まれます。
ホープンでは、採用PRのためのコンテンツ制作などの、コンテンツ制作をサポートしています。ブランドムービー、社長メッセージ動画、採用パンフレット、LP制作、DM設計など、
「伝える」を「伝わる」に変える仕組みづくりをご支援しておりますので、ホープンにお気軽にご相談ください。
このコラムを書いたプロフェッショナル
澁沢 舞
株式会社ホープン 次長
営業・制作経験と人事目線を武器に採用・研修・社内広報をホープンはトータルでサポート。採用・教育・社内施策を実現し「人事の悩み」を企画力とクリエイティブで解決。採用担当のリアルも踏まえながらお客様の課題を解決すべく専門チームを作り提案します。

澁沢 舞
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得意分野 | 人材採用、コミュニケーション |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 世田谷区 |
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