評価制度の評価項目と職の資格制度の能力要件の違い(No.2)
コラム「評価制度の評価項目と職能資格制度の能力要件の違い(No.1)で
ご紹介した発揮能力と保有能力の関係について、もう少し考えてみたいと思い
ます。
昇給・賞与の評価としての「発揮能力」では、実際に行った業務上の行動
(含む発言)、すなわち「仕事ぶり(プロセスや結果)」そのものを評価しま
す。
極端な言い方をすれば、能力が「ある・なし」に関係なく、事実として行った
仕事ぶりそのものを評価します。
例えば、「問題解決力」を例にとって説明しますと、問題解決力という能力
そのものが低くても、実際に発生した問題が解決できていれば、その問題解決
といった仕事ぶりそのものを評価します。
もちろん現実的には、能力がないと良い仕事はできない(成果は出ない)と
いった関連性はありますが、一方で、その時々のモチベーションの状態にも
左右されます。
能力は低くても、その時のモチベーションが非常に高く、結果として素晴ら
しい仕事を行うことも十分考えられます。
能力に関係なく事実としての仕事ぶりそのものをキチンと評価するということ
が人事評価の原則です。
これに対して昇格は、様々な経験の中でどの程度当該能力を習得(保有)して
いるかを評価します。
極端な言い方をすれば、実際の仕事でその能力を発揮する・しないに関係なく
保有してほしい能力です。
もちろん、発揮されることを前提とした能力であることは間違いありませんが、
仕事を通じて(経験して)保有してほしい能力であり、この能力があれば、
他の業務もこなせるといった能力です。
仕事が “できる・できない” は、その仕事をやった経験があるか・ないか、
知識や情報を持っているか・いないか(知ってる・知らない)に影響されます
が、中長期的には、その業務を遂行するためのベースとなる能力をいかに保有
しているかどうかがポイントになります。
先ほどと同様に「問題解決力」を例にとって紹介しましょう。
問題解決力があまりなくても、当該業務の経験が長いと少々の問題発生に対し
ては、今までの経験からある程度は対処できます。
しかし、条件や環境が異なったり、複雑な事情が絡んでくると対処ができなく
なります。
一方で、本来の問題解決力といった能力を十分に持っていれば、条件・環境等
が異なっても対処できます(対処できる可能性は高まります)。
例え、初めて経験する業務であっても、少し時間をかけて知識や情報を得るこ
とで、保有している問題解決力を大いに発揮することができるのです。
このように、様々な仕事や課題に普遍的に求められる能力をいかに保有したか
を昇格(降格)の基準として判定・評価するのです。
ちなみに、能力の保有度合はどのように評価すればよいのでしょうか。
やはり、ベースになる評価視点は実際の行動や発言といった仕事ぶりです。
しかし、仕事ぶりは上述のとおりその時々のモチベーションに影響されます。
ですから、単年度だけで評価するのではなく複数年度で評価する必要があります。
複数年である一定の評価を獲得すれば、当該能力を保有していると見なすと
いった考えです。
そして更に、これらの仕事ぶりと共に、教育受講歴、レポート作成、面接など
の審査を通じて能力の保有度合を判定します。
能力の保有度を科学的に正しく判定することはできませんが、より納得性の
高い昇格を行うために能力をできるだけ多面的に判定するのです。
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山藤 茂(サントウ シゲル) 経営支援部 取締役
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