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『日本の人事部』HRクラブ 開催レポート

【第15回テーマ】

伊藤忠商事のキャリアカウンセリング室の取り組み
~人と組織が共に成長できるような関係づくりに人事がどうかかわれるか~

2012年1月26日(木)に、第15回『日本の人事部』HRクラブを開催いたしました。

今回のゲストは、伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 キャリアカウンセリング室 シニアアドバイザーの浅川正健氏。前半は、浅川氏が2001年に「人事部 キャリアカウンセリング室」を開設して以来、どのようにして社員のキャリア形成に関わってきたかについて説明していただいたほか、キャリアカウンセリングに関する課題や、今後のご自身の目標などについてお話しいただきました。後半は参加者から浅川氏への質問コーナーのほか、数名ずつのグループに分かれたディスカッションを実施。過去15回のHRクラブの中で最多となる参加者によって、活発な意見交換が行われました。本レポートでは、当日の模様をダイジェスト形式でご紹介いたします。

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【第15回 開催概要】

■ テーマ
伊藤忠商事のキャリアカウンセリング室の取り組み
~人と組織が共に成長できるような関係づくりに人事がどうかかわれるか~
■ 開催日時
2012年1月26日(木) 18:30~20:30
■ ゲストスピーカー
伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 キャリアカウンセリング室 シニアアドバイザー
浅川正健氏

<浅川正健氏 プロフィール>(あさかわまさたけ)1973年慶大卒、伊藤忠商事に入社。エネルギー本部で海外駐在を含めて17年営業活動。1990年人事部に異動。総括・研修・厚生を担当。1997年か らディビジョン・カンパニー制のもと、カンパニーの人事・総務チーム長を4年経験。2000年12月キャリアカウンセラー資格(CDA)取得。2001年 7月キャリアカウンセリング室創設。以来現職。

なぜ今、「キャリアカウンセリング」が重要なのか

浅川氏はまず、今回は伊藤忠商事の取り組み事例について話すだけではなく、ご自身が2001年 7月にキャリアカウンセリング室を創設して以来、約10年に渡って体験してきたことや学んできたことを、参加者の方たちとシェアしたいと話されました。キャリアカウンセリングの導入を検討していたり、運用について迷っていたりする方々を、お話を通じて支援したいとのこと。浅川氏のこの“想い”を土台に、今回のHRクラブは進められていきました。

今や、社員に対するキャリアカウンセリングは、企業にとって重要課題の一つとなっています。しかし、浅川氏がキャリアカウンセリング室を創設した約10年前には、その重要性について理解を得るのが困難だったそうです。浅川氏は、社員がストレスを感じずにやりがいを持って働くことが組織・経営にとってプラスになること、また、そのためには、社員がキャリアやストレスに関する悩みを相談できる場が必要であることを説明するなどして、キャリアカウンセリング室の創設に尽力。創設以降は、社内の大勢の人たちの相談を受けてきたと言います。また、キャリアカウンセリング室を立ち上げたいと考えている外部の企業からも、これまで数多くの相談を受けてきたそうです。

Photo浅川氏は参加者に対して、社会環境や職場の「変化」にどれだけ気付けているか、問いかけます。仕事に追われる中で見逃しがちですが、職場では日々、さまざまな出来事が起こっています。結果を求められ、常に緊張やイライラを強いられている社員。また、その影響で、いつもギスギスしている「不機嫌な職場」。人事部の状況を考えてみても、「人材育成」や「ダイバーシティ」「ワークライフバランス」などが重要視される中、それらをうまく運用していくことが求められていますが、経営や業績との連動を考えた時、どうバランスをとっていけばいいのか。また、本当に社員や組織を元気にしていく上で効果があるものなのか…。人事部は会社の「今」を深く理解していなければならないと、浅川氏は言います。

続いて、伊藤忠商事のキャリアカウンセリング室がどのように活動しているかについて、設立の経緯から始まり、現在の体制や今後の課題などについて、詳しくお話しいただきました。キャリアカウンセリング室に寄せられた具体的な相談の事例などもご紹介いただきましたが、若手社員、女性社員、キャリア採用社員など、その立場や置かれている環境によってさまざまな悩みがあることが理解できました。また、大変興味深かったのは、浅川氏のキャリアカウンセリングに関する考え方。キャリアカウンセリングとは、相手の話を丁寧に聴くだけで終わるのではなく、それに加えて、良い質問を相手に投げかけることで、今まで考えが及ばなかったことに気づいてもらうこと。つまり、相談者が自ら行動し、苦手なことや課題を解決していくこと――。参加された方々も、キャリアカウンセリングとは何かについて、改めて考えることができたのではないでしょうか。

講演の最後には、浅川氏が考える今後の課題や、将来の夢についてお話しいただきました。企業内のキャリアカウンセリングの普及が夢だと語る浅川氏。「相手の目を見て、心を聴く。褒めて、叱る」。こうしたことが当たり前の社会になって欲しいそうです。また、それは、従来の日本の姿に戻ることだと言います。若手社員がキャリア形成の支援を受けることで、イキイキと活動し、素晴らしい日本になっていって欲しい、そんな浅川氏の熱い想いをお聴きし、第一部の講演は終了となりました。

参加者の「キャリアカウンセリング」に対する想いとは?

続く第2部は、浅川氏への質問コーナーと、3~4人ずつのグループによるディスカッションが行われました。また、ディスカッション終了後には、それぞれのグループの代表が、ディスカッションの内容を簡単に発表しました。

質問コーナーでは、「キャリアカウンセリング室が必要であることを、社内にどのようにして認識してもらえばいいのか」「キャリアカウンセリング室を、部課長クラスにも利用してもらうにはどうすればいいのか」など、実務の悩みと直結した相談が多く挙がりました。浅川氏は、質問に対して丁寧に回答し、参加者の方々も熱心に耳を傾けていました。

Photo今回のHRクラブに参加されたのは、程度の差こそあれ、キャリアカウンセリングについて、課題や悩みを抱えている方々。他の企業の人事担当者の方とそういう気持をシェアできたこと、また、さまざまな課題や悩みを乗り越え、さらにキャリアカウンセリングの普及を目指している浅川氏のお話を聴くことができたことは、とても大きなプラスとなったのではないでしょうか。

以上で、2時間を超えるHRクラブは一旦終了。この後は懇親会となりましたが、引続き浅川氏を囲み、キャリアカウンセリングについて夜遅くまで語り合いました。今回も素晴らしい「学びの場」となった、HRクラブ。次回も人事担当者の皆さまに有益な場をご提供できるよう、事務局一同努力いたします。次回の開催にも、どうぞご期待ください。

【参加者の声】

≪講演の感想≫

  • 浅川さんのキャリアカウンセリングに対する情熱や想いを感じることができて、とても良かったです。参考になるお話も多く、これからキャリアカウンセリング室を立ち上げる際に役立てたいと思っています。ありがとうございました。(株式会社ピーエスシー/金子 千秋様)
  • 4月に発足したばかりの組織にいるので、大変興味深くお話を聴かせていただきました。自社の課題も再認識することができました。(明治安田生命システム・テクノロジー株式会社/小口 香奈様)
  • どうしても直接、浅川さんのお話をお聴きしたかったので、本当に満足しています。(保険会社/採用・育成担当)
  • キャリアカウンセリングの役割について、本質的なことがよくわかりました。今、企業の中で一番難しい問題だと思いますが、期待しています。(家電・AV機器/事業推進担当)
  • ゼロから社内に浸透させるまでの過程をうかがうことができて、大変参考になりました(法律事務所/採用・雇用担当)
  • キャリアカウンセリング室の役割、立場がよく理解できました。昭和の日本人の付き合い方が、今の日本や会社に必要だということを改めて認識しました。(情報サービス・インターネット関連/人事企画担当)

≪ディスカッションの感想≫

  • 参加されている方々の勤務先は、業界や規模などがさまざまだったので、キャリアに関して、また、人と組織に関して、色々な取り組み方や考え方を聞くことができました。(保険会社/採用・育成担当)
  • 少人数で色々な方と話ができるので、大変良かったです。これからも、このような企画を続けて欲しいと思います。私もまた参加します!(コンサルタント、シンクタンク/人事企画担当)
  • 講演だけでは個人だけでの理解に留まってしまいますが、グループシェアの時間があることで、講演への理解をさらに深めることができました。事前に課題をいただいたことも、短い時間で話し合いをするためにはとても有効でした。(情報処理・ソフトウェア/採用担当)

【HRクラブ第16回開催のご案内】

第16回は、2012年2月24日(金)18:30から、ゲストに株式会社富士通マーケティング 取締役兼執行役員常務 飯島 健太郎氏をお迎えして開催する予定です。テーマは「ミドルマネージャーの交流の場をつくる 富士通マーケティングのミドル育成・活性化の取り組み」。参加ご希望の方は、下記から開催概要をご確認の上、お申込みください。皆さまのご参加をお待ちしております!