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『日本の人事部』HRクラブ 開催レポート

【第14回テーマ】

いかに組織風土改革を実現したのか~ビジョン共有、文化醸成のための施策とは~

2011年12月9日(金)に、第14回『日本の人事部』HRクラブを開催いたしました。

今回のゲストは、NECシステムテクノロジー株式会社 経営企画部 マネージャーの角野幸子氏。前半は、NECシステムテクノロジーが行っている組織風土改革に関して、事例を交えながら角野氏が説明。後半は参加者から角野氏への質問を受付けた後、グループに分かれてディスカッションを行いました。今回も活発な意見交換が行われた「HRクラブ」。本レポートでは、当日の模様をダイジェスト形式でご紹介いたします。

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【第14回 開催概要】

■ テーマ
いかに組織風土改革を実現したのか~ビジョン共有、文化醸成のための施策とは~
■ 開催日時
2011年12月9日(金) 18:30~20:30
■ ゲストスピーカー
NECシステムテクノロジー株式会社 経営企画部 マネージャー
角野幸子氏

<角野 幸子氏 プロフィール>(かどの さちこ)愛媛県松山市出身。愛媛大学卒業後四国日本電気ソフトウェア(後にNECシステムテクノロジー(株)に合併)入社。通信事業者向けシステム開発、流通業事業者向けシステムエンジニア、等ソフトウェア開発の経験を経て日本電気(株)へ出向。日本電気(株)では、製造業・通信業など業種ソリューション営業、販売促進や新規事業企画等に携わる。自社(NECシステムテクノロジー(株))復帰後は、通信・メディア事業者対応の部門に配属となり、現場をバックアップするスタッフとして「勝つんや活動」を立上げ組織文化の変革を実現した。2011年7月に経営企画部に配属となり、現在は全社の組織活性に挑戦中。

「勝つんや活動」とは

今回角野氏にご説明いただいたのは、NECシステムシステムテクノロジーで、主にキャリア系事業者の大規模システム構築を行っている、第一ブロードバンドシステム事業部の「組織風土改革」に関する活動事例。具体的に何を仕掛け、現場とトップにどのように関わってきたのか、また、どのようにして活動を大きくしていったのかについて、お話しいただきました。

角野氏が実践してきたのは、「勝つんや活動」というもの。まずは、自分たちのチームの活性化を目指し、将来的にはNECグループのビジョン2017(人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー)を目指していくという活動です。

同事業部では、この活動を「強く 楽しく 挑戦する個人と組織作りの活動」と定義。事業部のメンバーが全員参加し、それぞれが何かしらの役割を持った上で、現場改善活動を自発的且つ継続的に行っていくことを目指しました。

フェーズ1(現場改善活動定着までの道)活動に際しては、実現に向けたロードマップを、フェーズ1からフェーズ3として設定。フェーズ1(2006年~)では「意識改革と行動改革による現場改善活動の当たり前化の実現」、フェーズ2(2009年~)では「ビジョン共有と文化醸成による土壌つくりと他組織への発展を実現」、フェーズ3(2012年~)では「NECグループビジョン実現に向けた活動への落しこみ」を目指しました。

2006年度のフェーズ1では、社員がお互いを知らず交流のない状態だったので、まずはお互いを知ること、集団活動の意義を感じてもらうことから始めました。横断的なチームを編成し、業務改善活動の定着のため、「残業ゼロ」「分散開発」をテーマに活動をスタート。その結果、目的通りにお互いを知ることや、集団での活動の意義を感じることができるようになったそうです。

2007年度には、テーマもチーム編成も社員の自主性に任せることで、「やらされ感」を払拭し、交流や行動の促進、相互理解を深めることを目指しました。すると、実際に社員の活動は積極的になり、交流が活発化。楽しむという文化が定着していったそうです。

続く2008年度はベテランと若手の乖離の解消、文化醸成と現場改善という二つの目的の両立のため、成果の注力にこだわる活動を実施。ただし、実態に合った改善活動を定着させるため、プロセス評価としました。その結果、若手とベテランの壁がなくなり、現場改善活動が当たり前になっていったそうです。

結果、フェーズ1では、「組織全体でベクトルが合い一体感が出た」「現場改善活動が当たり前となった」「強く楽しく挑戦する文化が定着した」「事業部内浸透率50%を超えた(3指標:楽しさ、獲得、気付きで評価)」「現場改善の効果が出始めた」などの成果があったそうです。

続くフェーズ2では、改善活動が定着したものの、その成果を実感できない中、忙しさはそのままで、先の見えない不安があったため、何のために「勝つんや活動」を行っていくのか、改めてゴールを確認。「ビジョン共有」「文化醸成」「組織を超えた発展」に向けて、活動を開始しました。

フェーズ2(活動の成果)さまざまな活動を経た上での成果は、右の図表の通りです。

この後の講演では、「勝つんや活動」を通してわかったことや、今後の戦略などについて、角野氏が解説。参加された皆さんは、熱心に耳を傾けていました。引続き実践されていくという、この「勝つんや活動」。勤務地も業務もバラバラなメンバーが、数年に渡って実践してきたこの活動は、今では大きなうねりとなり、全員が共通のゴールに向けて動き続けていることがわかりました。

今回の「HRクラブ」には、自社で「組織風土改革」を担当している方が多く参加されていましたが、同じ課題や悩みがあると認識できたこと、また、成果を上げている企業の具体的な活動事例を聞けたことは、大きなプラスとなったのではないでしょうか。

参加者は「組織風土改革」をどう考えているのか

Photo以上で、1時間におよぶ講演は終了。この後は、角野氏への質問タイムを経て、3~4人ずつのグループによるディスカッションが行われました。また、ディスカッション終了後は、グリープの代表が、ディスカッションの内容を簡単に発表しました。

最後は、角野氏が今回の「HRクラブ」を総括。「勝つんや活動」について、改めて振り返りました。角野氏は、これまで行ってきた組織風土改革活動を、子育てと同じだと感じているそうです。社員を信じることが大事。活動に冷めている人や活動が嫌いな人がいたとしても構わないとのこと。社員一人ひとりが輝いて、イキイキしていれば良いのだそうです。そのための仕掛けを、角野氏はこれまで行ってきたのです。

目的を明確にし、長期に渡るスケジュールをしっかりと描きながらも、ある程度は柔軟に進めていこうとするその姿勢に、共感する参加者の方々は多かったようです。

Photo以上で、2時間に渡る「HRクラブ」は終了。この後は、懇親会となり、お酒を飲みながら、リラックスしたムードで、引き続き「組織風土改革」について話し合いました。今回も、多くの学びが得られた「HRクラブ」。これからも素晴らしい学びの場をご提供できるよう、事務局一同努力して参ります。次回もどうぞご期待ください。

【参加者の声】

≪講演の感想≫

  • 具体的かつ論理的なお話で、非常にわかりやすかったです。同じ立場の方のお話だったので、とてもやる気が出ました。私もがんばります。(コンサルティング/採用担当)
  • 組織風土改革活動の目的は、「社員一人ひとりが輝いて、イキイキできれば良い」という考え方に大変共感しました。(家電/事業推進担当)
  • 施策を実現するためのロジック作りと具体的な取り組みが、とても参考になりました。(コンサルティング/人事企画担当)

≪ディスカッションの感想≫

  • 同じ問題意識を持った方々とお会いできる場を作っていただき、感謝しています。アドバイスもいただくことができ、とても良い機会になりました。(広告・デザイン/経営企画担当)
  • 風土改革を行いたい企業が、いかに多いのかを実感することができました。(信販・クレジット/人事担当)
  • 他社の方々も同じことで悩み、いろいろな対応を行っていることを知り、心強く感じました。情報交換の大切さを、改めて感じました。(情報処理・ソフトウェア/人材開発担当)