管理職研修は未来への投資#1 経営と連動する設計4ステップ
不確実性が高く、多様な働き方が浸透する現代のビジネス環境において、経営陣の意図を現場に翻訳し、組織を牽引する「管理職」の役割は極めて重要性を増しています。しかし、多くの人事・人材育成担当の皆さまからは、「従来の管理職研修が形骸化している」「自社の課題に適合したカリキュラムの作り方が分からない」といった悩みの声が絶えません。
プレイヤーとしての優秀さが、必ずしもマネージャーとしての成果に直結するわけではありません。管理職に必要なスキルやマインドは、体系的な計画と意図的な学習機会があって初めて獲得されるものです。
本コラムでは、真に意味のある管理職研修を企画するために、伸ばすべき「4つの力」を整理したうえで、自社に最適な研修を設計するためのロードマップを体系的に解説します。
管理職研修の定義:一般社員との本質的な違い
管理職研修とは、企業の意思決定を担う「課長」以上の役職者を主な対象とした能力開発プログラムです。一般社員と管理職には、求められる役割、決裁権、労働基準法の適用、給与体系など、以下のように多方面で明確な一線が引かれています。
- 一般社員:
- 指示に従い、個人として直接的な成果を上げる
- 原則として、社内ルールや人事上の決裁権はない
- 管理職(課長・部長など):
- 経営視点に立ち、組織と人材を管理して成果を出す
- 人事や組織運営、予算など一定の決裁権を持つ
この決定的な役割の違いを認識しないまま管理職に登用されると、「プレイヤーとしてのやり方に固執する」「部下に仕事を任せられない」といった機能不全が現場に生じてしまいます。
通常の業務だけでは学習困難な「管理職としてのあり方」を体系的に習得し、自社のミッションやビジョンを体現できるように促すことこそが、管理職研修の主たる役割です。
管理職研修で高めたい4つの力
ビジネスリーダーとして、組織を動かすために管理職研修で高めるべき土台は、「経営の定石」「考える力」「人を巻き込む力」「志(こころざし)」の4点です。年間約3,600社(2026年4月現在)、42万名の方に向けて研修を実施してきたグロービスの知見から、これら4つの能力がなぜ求められるのかを解説します。
- 経営の定石(ビジネス知識)
経営に関する問題を解決するのに必要な思考・分析の枠組み(ヒト・モノ・カネの分野)や考え方のことです。経営の定石は「知っていれば必ず勝てる」というものではないですが、これらを踏まえることで、自社・自組織の課題解決に向けて論理的に考え抜くための共通言語になります。
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考える力
複雑な問題の本質を捉えて、最善の解決策を導きだす力です。過去の成功パターンが通用しない現代、ビジネスで価値を生み出すには「課題の発見・解決」や「相互の正確な意思疎通」といった高度な思考・対話スキルが欠かせません。これらは頭で理解するだけでなく、現場で使えるレベルにするための徹底的な反復トレーニングが必要です。
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人を巻き込む力
関係する人々に対して分かりやすく説明をし、周囲を鼓舞し、リーダーシップを発揮して巻き込んでいく力です。どれほど優れた戦略があっても、周囲を巻き込んで実行できなければ成果にはつながりません。
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志
自身が何を大事にし、何を達成しようとしているのかという、リーダーとしての判断軸です。「志」はリーダーが直面する困難を乗り越えるための原動力になります。また、ステークホルダーを巻き込むためにも欠かせません。仮に能力が同等であっても、「会社から言われたから行動する管理職」と、「自身の志を語り、周囲に働きかけながら行動する管理職」では、後者の方が周囲の巻き込み度合いを高め、成果を挙げることは容易に想像がつくでしょう。
対象者・目的別に見る管理職研修の3大カテゴリ
さて、管理職と言っても、そのキャリアステージや特性によって直面する課題は異なります。大きく以下の3つに整理してアプローチを設計します。
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新任管理職研修
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対象: 新たに管理職に任命された、あるいは任命予定の層
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目的: プレイヤー思考からマネジメント思考への脱却、管理職として知っておくべき労務管理やハラスメント対策、人事評価などの共通ルール・基礎知識の習得
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中間管理職研修(課長・部長など)
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対象: すでに実務を指揮しているマネージャー・リーダー層
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目的: 課長に対しては「経営戦略と現場の結節点」としての行動変容を、部長に対しては「経営方針を組織に落とし込み、矛盾を踏まえた方向性を示す」高次のマインドセットの体得を促す
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女性管理職研修
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対象: 女性リーダー、およびその候補者
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目的: ダイバーシティ推進、女性ならではのキャリア形成支援、役割不安の解消、およびマネジメントスキルの向上
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成果を最大化する計画(企画)設計の4ステップ
場当たり的に外部研修を導入しても、現場の行動は変わりません。自社に最適な研修を組み立てるためには、次の4ステップに準拠する必要があります。
ステップ1.「経営戦略の実行」に必要なあるべき姿を定義する
出発点は自社の経営戦略です。事業計画を達成するために、自社の管理職層にどのような行動や知識・スキル、マインドが求められるかを具体的に定義します。
ステップ2.「あるべき姿」と「現状」の差分(課題)を抽出する
定義した理想像に対して、現役管理職がどのレベルにあるかを比較し、その間にあるギャップ(課題)を正確に見極めます。
ステップ3.ターゲットの確定、ゴールとコンセプトの設計
課題解決に最も優先して取り組むべきターゲット(対象階層)を特定し、「この研修によって何をどう変えるのか」の到達ゴールおよび軸となるコンセプトを絞り込みます。
ステップ4.具体的なプログラムと育成手法の策定
ターゲットと到達ゴールに沿って、どのようなテーマ(「4つの力」のどの比重を強めるか)や手法(研修、スクール通学、eラーニングなど)が適しているかを選択し、具体的なプログラムを確定します。予算や日数などの制約条件も、このステップから考慮していきます。
管理職研修は未来への投資
管理職研修は、単なる階層移行の「儀式」ではありません。自社の戦略を現場の行動に翻訳し、組織の持続的な競争力を決定づける重要な「未来への投資」です。
人事・人材育成担当に求められるのは、前例踏襲で一般的なテーマを並べることではなく、「自社の経営戦略の実現に向けて、管理職にどのような『行動』『知識・スキル』『マインド』を求めるか」という課題に正面から向き合い、逆算思考で独自のカリキュラムを創り出すことです。ぜひ、今回ご紹介した設計の4ステップを手がかりに、自社の求める管理職像の再定義から着手してみてください。
次のコラムでは、管理職研修の対象者選定や効果測定のお悩みにポイントを絞って解説します。加えて、「新任管理職」「中間管理職」「上級管理職」の役割や育成手法についても、今後当コラムにて取り上げていく予定です。
また、弊社では、貴社の経営戦略や組織の課題に合わせた、最適な人材育成・組織開発ソリューションのご提案を行っております。「企業ページ」内のお問い合わせ、または「このプロフェッショナルにお問合せ」より、お気軽にご相談ください。貴社の人材育成・組織開発を共に推進するパートナーとして、全力でサポートいたします。
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このコラムを書いたプロフェッショナル
南 和宏
株式会社グロービス BtoBマーケティング マネジング・ディレクター
研修は本来、企業の戦略を実現するための手段のひとつであるべきです。グロービスはお客様をとりまく外部環境や組織の課題、経営戦略から「今やるべき研修」へと導き、戦略実現への道筋をつくります。
南 和宏
株式会社グロービス BtoBマーケティング マネジング・ディレクター
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研修は本来、企業の戦略を実現するための手段のひとつであるべきです。グロービスはお客様をとりまく外部環境や組織の課題、経営戦略から「今やるべき研修」へと導き、戦略実現への道筋をつくります。
| 得意分野 | 経営戦略・経営管理、人事考課・目標管理、リーダーシップ、マネジメント、ロジカルシンキング・課題解決 |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 千代田区 |
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