2019年度の従業員給与・賞与、約4.1兆円増加と試算。賃金改善理由、「労働力の定着・確保」が初の80%台に上昇 ~『2019年度の賃金動向に関する企業の意識調査』:帝国データバンク
2018年の景気は「回復局面」とする企業が2年ぶりに1割台に低下した一方、「悪化局面」は2ケタ台に上昇し、回復傾向から一転して、厳しさの増した一年となった(帝国データバンク「2019年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。また、2019年10月には消費税率引き上げを控えているほか、人手不足が深刻化するなかで賃金改善の動向は大きく注目される。
このようななか、帝国データバンクは、2019年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年1月調査とともに行った。
※調査期間は2019年1月18日~31日、調査対象は全国2万3,035社で、有効回答企業数は9,856社(回答率42.8%)。なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で14回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HPに掲載している
※賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない
<調査結果>
- 2019年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は55.5%と、3年連続で5割を超えた。賃金改善について「ある」が「ない」を9年連続で上回ると同時に、その差も36.4ポイントと非常に大きな状態が続いており、2019年度の賃金動向は概ね改善傾向にある
- 賃金改善の具体的内容は、ベースアップが45.6%(前年度比0.2ポイント増)、賞与(一時金)が30.3%(同1.5ポイント減)。ベアは3年連続で4割台の高水準、賞与(一時金)も前年に続き3割台で推移
- 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が初の8割台となる80.4%で過去最高を更新。人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。「自社の業績拡大」(40.9%)が前年から大きく下回った一方、「消費税率引き上げ」は7.0ポイント上回った。改善しない理由は、「自社の業績低迷」(52.6%)が4年連続で低下。「人的投資の増強」(22.0%)が過去最高を更新し、「消費税率引き上げ」(17.5%)が8.0ポイント増
- 2019年度の総人件費は平均3.02%増加すると見込まれ、人件費伸び率は前年度よりやや上昇すると予想される。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約4.1兆円(平均2.82%)増加すると試算される
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(株式会社帝国データバンク http://www.tdb.co.jp/ /2月14日発表・同社発表より転載)