コロナ禍を経てハイブリッドワークが定着した現在、多くの企業が「オフィスに出社する意義」や「希薄化したコミュニケーションの再生」などの課題に直面しています。ネスレネスプレッソ株式会社は、単なるオフィス飲料の提供にとどまらず、コーヒーを起点とした組織変革に挑戦。同社が提唱するのは、オフィスコーヒーを「コスト」としてではなく、従業員のエンゲージメント向上や組織活性化のための「人的資本への投資」と捉える視点です。コーヒーによるオフィスコミュニケーションの活性化、担当者を悩ませるメンテナンス問題の解決、サステナビリティへの貢献など、多角的なお話を伺いました。

- 本嶋 貴之さん
- ネスレネスプレッソ株式会社 業務用営業部 部長
(もとじま・たかゆき)2007年に入社後、ホテル・レストラン業界向けの営業領域で実績を重ね、2024年より現職を担当。外食産業で培った業界知識と営業経験を基盤に、法人市場におけるシェア拡大を戦略的に推進している。

- 中西 栄滋さん
- ネスレネスプレッソ株式会社 業務用営業部 オフィスセールスマネジャー
(なかにし・えいじ)2013年に入社以来、一貫してオフィス領域を対象とした営業業務に従事。オフィス環境の変化を現場で捉え続け、第一線で営業活動を牽引してきた。2019年より現職。

- 奥田 玲奈さん
- ネスレネスプレッソ株式会社 業務用営業部 オフィスアカウントマネジャー
(おくだ・れな)2018年に入社後、オフィスとカスタマーケア分野における法人営業を担当。顧客課題の解決に向けた提案活動を展開。

- 桜井 亜由美さん
- ネスレネスプレッソ株式会社 業務用営業部 オフィスアカウントマネジャー
(さくらい・あゆみ)2018年に入社後、一貫してオフィス向けの営業を担当。お客様の視点に寄り添いながら、オフィスの変化を支える営業。
ハイブリッドワーク時代における「出社する理由」と「偶発的コミュニケーション」の創出
昨今のオフィス環境におけるコーヒーの役割について伺います。企業がオフィスにコーヒーを導入するメリットについて教えていただけますでしょうか。
本嶋:コロナ禍を経て、ハイブリッドワークが定着し、在宅勤務のメリットとデメリットの両方が理解されるようになりました。一方で、企業は「顔を合わせるコミュニケーション」の重要性を再認識し、出社率を上げたい意向を持つ企業が増えています。大手のIT企業でも、出社回帰の流れが顕著です。
在宅勤務では、決まったミーティングや画面越しのコミュニケーションは効率的に行えますが、オフィスで偶然誰かと出会って会話が弾む、いわゆる「雑談」からアイデアが生まれる機会が減少してしまいました。
私たちは「コーヒー」を単なる飲み物ではなく、職場のツールとして「偶発的なコミュニケーション」が生まれる場所を提供したいと考えています。オフィスで手軽においしいコーヒーが飲める環境があれば、それが「出社する一つの理由」になり得ると考えているのです。

おいしいコーヒーが飲めるから会社に行こう、という動機付けは非常に分かりやすいですね。
本嶋:実際にお客さまからも、ネスプレッソを導入したコーヒーエリアに従業員が集まり、出来上がりを待つ数十秒の間に会話が生まれる、という声をよく伺います。そのような場面からイノベーションの種が生まれたり、生産性が向上したりすることこそ、私たちが提供できる大きなメリットだと考えています。
いわゆる“井戸端会議”のようなコミュニケーションが生まれるのでしょうか。
本嶋:その通りです。会議室でのミーティングは、上意下達のレポートラインに沿ったコミュニケーションになりがちです。一方、コーヒーマシンの前では、役職や部署を超えたフラットな会話が生まれやすい。当社でも、社長がコーヒーを淹れに来て、その場にいた若手従業員と雑談をする、といった光景が珍しくありません。
桜井:お客さまからも、「おいしいコーヒーが飲めるから出社したという従業員が増えた」「コーヒーコーナーに自然と人が集まり、以前よりも社内のコミュニケーションの量が増えた」など、変化を実感したという喜びの声をいただいています。オフィスのコーヒーコーナーが、コミュニケーションハブとしての役割を果たしているのです。
奥田:従業員満足度の観点からも、効果が見られます。オフィス内でおいしいコーヒーが飲めれば、休憩時にコンビニやカフェに買いに行く手間が省けます。その分、社内のコーヒースペースでリラックスしながら同僚と談笑する時間が増えます。人事や総務の方にとって、従業員が笑顔で過ごす姿を見られることは大きな喜びであり、「ネスプレッソを導入して良かった」という声につながっています。
「隠れた業務負荷」を解消する。メンテナンス性と衛生管理の革命
一方で、運用する担当者の視点に立つと、「メンテナンスの手間」は避けて通れない課題です。特に、コーヒーメーカーは掃除が大変で汚れやすい印象があります。この点について、貴社のマシンにはどのような特徴があるのでしょうか。

桜井:おっしゃる通り、他社製のマシンから切り替えをご検討されるお客さまの多くが、日々のメンテナンスに課題を感じていらっしゃいます。従来の豆をひいて抽出するタイプのマシンだと、コーヒーオイル(油分)や粉が内部に付着して汚れてしまいますから。
毎日掃除をしないとマシンの不具合の原因になりますし、衛生的な問題も発生しかねません。しかし、忙しい業務の中で毎日分解洗浄を行うのは現実的に難しく、手入れがおろそかになってしまうケースが非常に多いのです。
その点、ネスプレッソのカプセル式システムは、構造的に汚れにくいのが特徴です。コーヒーの抽出はカプセル内のコーヒー粉と専用の抽出ユニットで行われるため、マシン内部に粉やオイルが直接触れて汚れることがほとんどありません。
日々のお手入れは、使用済みカプセルがたまるコンテナと排水トレーを軽く洗うだけで完了します。導入されたお客さまからは、「想像以上にお手入れが楽で、負担が劇的に減った」というお声を多数いただいています。
中西:豆を挽くタイプでは分解洗浄に時間がかかりますが、ネスプレッソのマシン(ミルク機能なしのタイプ)であれば、水回りの洗浄を含めても5分程度で完了します。業務の合間や帰宅前に、さっと終わらせることができるレベルです。
奥田:「誰が掃除をするのか」という押し付け合いは、オフィスの人間関係にも影響しかねません。
また、ネスプレッソでは高品質なコーヒー豆の鮮度を守るため、アルミニウム製カプセルに密閉しているので、いつでも本格的で美味しいコーヒーを提供できます。味のクオリティーとメンテナンスの簡易さ、そして衛生面での安心感を同時に提供できる点が、支持されている大きな理由です 。
本嶋:衛生面は、特に今の時代において重要です。粉の飛び散りやオイルの付着がないということは、マシンだけでなく周辺も清潔に保てる、ということです。清潔感のないマシンや、汚れたコーヒーコーナーでは、誰もコーヒーを飲みたいとは思いません。マシンの稼働率や従業員の利用満足度を維持するためにも、清潔さを容易にキープできる構造は非常に重要だと考えています。
「コスト」から「投資」へ。人的資本経営におけるコーヒーの役割
従業員満足度の話が出ましたが、オフィスコーヒーに対する経営層の意識にも変化は見られるのでしょうか。
中西:この10年で、社会的な変化とともに経営者の意識は劇的に変わりました。労働力人口が減少し、経済損失や人材不足が深刻化する中で、「人的資本経営」の考え方が浸透してきています。従業員を「コスト」ではなく「資本」として捉え、いかに投資をして価値を高めるかという視点が、今の経営者には不可欠です。
オフィスコーヒーに関しても、以前はお客さまに出すコーヒーは上質なものを用意し、従業員は安価なインスタントや業務用コーヒーを飲む、という会社が多かったように感じます。しかし最近では、社長自身が「自分が飲んでおいしいと思うものを、従業員にも飲ませてあげたい」とおっしゃるケースが増えています。これは単なる福利厚生の拡充にとどまらず、経営者から従業員への「あなたたちを大切に思っている」「良い環境で働いてほしい」というメッセージでもあります。上司と部下のコミュニケーションだけでなく、経営層と現場をつなぐ“縦”のコミュニケーションツールとしても機能しているのです。

「おいしいコーヒーを提供する」こと自体が、企業姿勢の表れになるわけですね。
中西:その通りです。また、福利厚生費の非課税限度額の見直しなど、社会的にも従業員へのサポートを後押しする動きがあります。現行制度では、企業が従業員へ提供できる食事補助の非課税限度額は1ヵ月あたり3,500円ですが、この金額を引き上げる議論が進んでいるのです。そうした流れを受けて、かつては「コーヒー代は従業員負担」が当たり前でしたが、現在は企業が全額負担するケースが増えつつあります。
人材確保が難しく、採用コストも高騰している今、既存の従業員のエンゲージメントを高め、離職を防ぐことは経営上の重要課題です。そのための投資として考えれば、質の高いオフィスコーヒーは非常に費用対効果の高い施策だと言えます。
本嶋:10年前にはあまり聞かれなかった「エンゲージメント」という言葉が、今は当たり前に使われています。オフィスのコーヒー環境を整えることは、従業員のエンゲージメント向上に直結する具体的かつ有効な手段として、経営層にも認知され始めています。
ミシュラン星付きの品質をオフィスで。「選べる楽しみ」が尊重する多様性
「質」の話が出ましたが、ネスプレッソのコーヒーは具体的にどのような点が評価されているのでしょうか。
本嶋:味のクオリティーには、絶対的な自信を持っています。外部からも高い評価を得ており、ミシュランで星を獲得しているレストランや、多くのラグジュアリーホテルでネスプレッソが提供されています。一流のシェフやホテルマンに認められたクオリティーのコーヒーと全く同じものを、オフィスのデスクで楽しめることは、従業員の方々にとって大きな「特別感」につながります。
これは、私たちが「From cherry to cup(コーヒーチェリー(コーヒーの実)から一杯のコーヒーに至るまで)」の全ての工程に責任を持って事業を展開しているから実現できています。提携生産者から90%以上を直接仕入れるだけでなく、農学者と共に栽培指導を行い、品質の良い豆を適正価格で購入する。そうしたサステナブルに向けた取り組みがベースにあります 。

奥田:ネスプレッソが飲めるからという理由で、当社のマシンを選ぶお客さまも増えています。その理由は、「カフェチェーンのコーヒーはどこでも飲めるけれど、ネスプレッソの味はここでしか飲めないから」というものです。従業員に対して、「会社に来るからこそ味わえる特別な体験」を提供したいと考える企業が増えています。
カプセルコーヒーの種類も豊富に用意されていますが、従業員の皆さんはどのように楽しまれているのでしょうか。
桜井:業務用カプセルは現在20種類ご用意しています。エスプレッソ、レギュラーコーヒー、カフェインレスに加えて、キャラメルやバニラなどのフレーバーコーヒーまで多岐にわたります。
従来の豆を挽くタイプのコーヒーマシンは、基本的に一種類の豆しかセットできません。ネスプレッソであれば、従業員一人ひとりがその時の気分や好みに合わせて自由にカプセルを選べます。多様なニーズに応えられる点は、従業員の多様性を尊重する時代の空気に合致していると思います。
奥田:妊娠中や授乳中の方などカフェインを控えたい方も我慢せずにおいしいコーヒーを楽しめる。「会社が配慮してくれている」と感じられるポイントでもあります。
本嶋:バラエティーの豊富さは、コミュニケーションのきっかけにもなりますね。「今日は何を飲む?」「この新しいフレーバー、おいしかったよ」といった会話が、マシンの前で自然に生まれます。選ぶ楽しみがあること自体が、オフィスの雰囲気を明るくする要素になっているのです。
サステナビリティへの貢献と、未来のオフィス空間のあり方
最近では、企業の社会的責任としてSDGsやサステナビリティへの取り組みが不可欠です。ゴミの問題はいかがでしょうか。
中西:非常に重要だと考えています。ネスプレッソでは、使用済みカプセルのリサイクルプログラムをグローバルで展開しています。お客さまがご希望されたら、当社負担で使用済みカプセルを回収し、アルミニウムとコーヒーかすに分別してリサイクルしています。
アルミニウムは再生アルミニウムとして、産業用のアルミニウム製品、あるいは国外のネスプレッソにて回収されたアルミニウムがボールペンのボディーなどに生まれ変わります。コーヒーかすは剪定枝などと混ぜて発酵させることで堆肥にし、その堆肥を原材料の一部としてできた培養土を農園への還元などに活用しています。

奥田:豆からいれる場合、大量のコーヒーかすが単なる生ゴミとして廃棄されがちですが、ネスプレッソであればリサイクルフローに乗せられます。「コーヒーを飲む」という日常的な行為が、そのまま環境貢献につながるのです。サステナビリティ意識の高い企業やホテルにとっては、こうした取り組みに参加し、対外的に発信できることも導入の大きなメリットです。
おいしいコーヒーを飲むことが、環境への配慮にもつながるというのは素晴らしいですね。最後に、これからのオフィスにおけるコーヒーの役割、そしてネスプレッソが描く未来のオフィスの理想像についてお聞かせください。
本嶋:やはり最も重要なことは「おいしいコーヒー」であることです。いくら便利でも、おいしくなければ誰も飲みませんし、コーヒーコーナーには誰も集まりません。本物のクオリティーを提供することで、従業員が誇りを持てるオフィス作りのお手伝いをしたいと考えています。
導入を検討される際は、単にコーヒーを飲むための設備としてではなく、「なぜオフィスにコーヒーを置くのか」「それによってどのような課題を解決したいのか」という目的を明確にイメージすることが、より良いオフィス作りにつながると思います。
中西:私は、オフィスを「従業員が誇れるかっこいい場所」にしたいと願っています。私たちの提供するマシンやアクセサリー、カップに至るまで、デザインには徹底的にこだわっています。
かつては給湯室の隅や古い冷蔵庫の上に追いやられていたコーヒーメーカーが、今ではオフィスの中心、リフレッシュスペースの主役として置かれることが増えてきました。お客さまから「ネスプレッソのデザインに合わせて空間を作りたい」とご相談いただくこともあります。
従業員が「うちの会社のコーヒーはおいしくて、マシンもかっこいいんだ」と友人に自慢できる。経営者は従業員の喜びを見て満足し、人事や総務の担当者はその橋渡しをして感謝される。そのような「三方よし」の状態を作ることが、私たちの目指すゴールです。
コーヒーを通じて、日本の働き方やオフィスのあり方を少しでも良い方向に変えていくことができれば、これ以上の喜びはありません。

(取材:2025年12月1日)
「ネスプレッソ」は、1986 年に発売を開始して以降、カプセル式コーヒー市場のパイオニアとして、常に革新を起こし、世界中の人々のコーヒーの楽しみ方に変化をもたらしてきました。味わい豊かなコーヒーは、上質なコーヒー豆からつくられます。ネスプレッソでは、世界中を旅する専門家が、テロワールといわれる標高、気候、土壌の厳しい条件を満たしたごくわずかな生産地を選択して栽培。さらに、コーヒー豆一粒一粒を大切に、ダイヤモンドを扱うように、収穫や精製、選別を行っています。コーヒーチェリーの栽培から、コーヒーを味わっていただく瞬間まで、そして飲み終えたその先まで、ネスプレッソは情熱を込めて至福の一杯をお届けしています。
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