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なぜ職場の「感謝・称賛」は形骸化するのか──違和感を乗り越え、組織文化に根づかせる設計論

注目の記事福利厚生[ PR ]

組織力や人と人とのつながりの重要性が、あらためて語られるようになっている。一方で、効率化が進み、一人ひとりが多忙を極める職場では、それらを日々の行動として育むことは難しい。そこで注目したいのが、身近なコミュニケーションである「感謝・称賛」だ。なぜ感謝や称賛は、単なる雰囲気づくりにとどまらず、人の行動を変え、組織の力を引き出すのか。感謝・称賛の施策を会社として導入することへの違和感を乗り越え、組織文化として定着させるには、どのような設計が必要なのか。東京女子大学の正木郁太郎さん、株式会社コミュニティオの石川暁さん、小林稚菜さんにうかがった。

正木 郁太郎さん
正木 郁太郎さん
東京女子大学 現代教養学部 心理学科 准教授

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会心理学)。専門は社会心理学と産業・組織心理学で、組織のD&Iや、職場で感謝を交わす意義などの職場マネジメントの研究を行っている。主著:『強い組織は「感謝と称賛」でつくられる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『感謝と称賛――人と組織をつなぐ関係性の科学』『職場における性別ダイバーシティの心理的影響』(東京大学出版会)。

石川 暁さん
石川 暁さん
株式会社コミュニティオ プロジェクトマネージャー

ディスプレイ・半導体材料のRDに従事した後に、コミュニティオに参画。日本が誇る素材産業の最前線で培ったプロジェクトマネジメント経験を活かし、UI/UX設計と新機能開発を担う。『TeamSticker』や『NewCommunicator』の特許を複数出願すると共に、心理学や統計学を活用した科学的な効果検証で成果創出を支援する。

小林 稚菜さん
小林 稚菜さん
株式会社コミュニティオ TeamSticker事業責任者/カスタマーサクセス

国内大手メーカーで営業を経験後、2023年にコミュニティオに入社。サンクスカードアプリ『TeamSticker』の営業・カスタマーサクセスとして大手企業を中心に組織風土改革プロジェクトを支援。現在は事業責任者として、事業戦略の推進と、顧客伴走を通じた活用定着・効果創出支援の両面を担う。

効率化の陰で細る「余白」と「組織力」

現代の企業の組織づくりには、どんな課題があるとお考えですか。

石川:日本企業はこれまで、階層型の組織構造や指示・命令の徹底によって、業務の再現性と効率性を高めてきました。ところが最近、多くの企業の方々とお話しするなかで、従来のやり方が限界を迎えているという声をよく聞きます。効率を追求するあまり、社員の主体性や挑戦する意欲が弱まっているのです。

これからの組織づくりには、社員一人ひとりの主体性を引き出すマネジメントが欠かせません。エンゲージメントの向上やダイバーシティの推進、個性を生かす取り組みが注目されている背景には、こうした構造的な課題を解決したいという企業の切実な思いがあります。

小林:特に、エンゲージメントの向上は、規模を問わず多くの企業にとって共通の課題となっています。一方で、「具体的に何を変えればよいのか」までは見えていないケースが少なくありません。制度を整えるだけでなく、日々の行動やコミュニケーションをどう変えていくか。その具体策を求める相談が当社に寄せられています。

正木さんは、こうした変化を研究者の立場からどう捉えていますか。

正木:二つの視点があります。一つ目は、働く現場が「きつくて大変になっている」という現状です。さまざまな企業の方にお話をうかがうと、業務が徹底的に合理化され、時間や人間関係の余裕が切り詰められている実態が見えてきます。利益を生み出すための合理化は重要ですが、「関わり合い」や「コミュニケーションの余白」までそぎ落とされてしまっている。タスクだけを回す環境では、人は心理的に追い詰められ、「このままでよいのだろうか」と悩みを抱えやすくなるのです。

二つ目は、「組織力」という言葉が以前ほど聞かれなくなったことです。近年は人的資本経営やエンゲージメント向上の文脈で、「一人ひとりの従業員を健康に、幸せにしよう」と個人に焦点が当たっています。個人を大切にすることは重要です。ただ、かつての日本企業が得意としていたとされる、チームや組織全体で生み出す力についての議論が、相対的に薄くなっている。そのことに、集団における心理を扱う研究者として疑問を感じています。一人ひとりの状態を良くすることに加え、組織としてのつながりをどう再構築するかを考えるべきではないでしょうか。

正木 郁太郎さん インタビューの様子

そこで感謝・称賛に目を向ける必要があるのですね。

正木:与えられたタスクを機械的にこなし、「できた・できなかった」だけで評価される環境では、人は次第に摩耗してしまいます。そのなかで、「自分の行動を認めてもらう」「良い部分を具体的に伝えてもらう」という行為は、一見すると業務とは関係なく、余計なものに思えるかもしれません。しかし、人間にとって極めて重要な意味を持ちます。

エンゲージメントやモチベーションという言葉はスマートに聞こえますが、その本質は、人間の根源的な欲求に関わる泥臭いものです。「誰かに見てもらえる」「貢献を認めてもらえる」という実感は、技術が進歩しても変わらない人間の根本に働きかけます。昔から大切にされてきた感謝や称賛が、現代の組織課題に向き合う手段として見直されるのは、自然な流れだと思います。

感謝・称賛が、つながりと行動変容を生む仕組み

組織づくりの施策として、感謝・称賛にはどのような強みがありますか。

正木:最大の強みは、「誰にでも実践できる」ことです。たとえば組織風土改革を大々的に進めようとすると、現場にも相応の負担がかかりますし、主導できる人も限られます。一方、感謝や称賛は日々のコミュニケーションのなかで今すぐ始められます。

最初は劇的な変化が表れなかったとしても、ラジオ体操のように、まずは日常の習慣として取り入れてみる。組織づくりの第一歩として、始めやすい取り組みだと思います。大きなコストや負担を伴うものでもありません。

石川:おっしゃる通りだと思います。さらに付け加えるなら、「感謝・称賛」は繰り返し実践しやすい。組織風土の変化は、人々の集合的な動きから生まれるため、偶然の要素に左右されます。しかし、すべてを運任せにするわけにはいきません。組織の空気を前向きにする行動として一定の再現性を求めていくと、感謝や称賛に行き着くのだと思います。

小林:感謝や称賛は「良いこと」「大切なこと」と理解されている一方で、人事施策として予算をかけて推進するとなると、「本当に組織成果につながるのか」という論点が必ず出てきます。実際に私たちも企業の担当者から、その効果をどのように説明すればいいのか相談を受けることが少なくありません。だからこそ、「なんとなく良さそうだから」ではなく、感謝・称賛が人や組織にどのような影響を与えるのかを、学術的な知見やデータに基づいて捉えることが重要だと考えています。

正木 郁太郎さん、石川 暁さん、小林 稚菜さん インタビューの様子

感謝・称賛は、職場の関係性をどのように変えていくのでしょうか。

正木:「つながりを良くする」プロセスに大きく関わります。いわゆる関係性の質とは、「いざというときに助け合える信頼関係」(個人と個人のつながり)や「この組織なら大丈夫だという安心感」(個人と組織のつながり)のこと。感謝を伝え合うと、相手の認知や感情に働きかけ、「また協力しよう」という行動のサイクルが生まれるのです。

つながりが強まると、「この人たちになら意見を言っても大丈夫だ」と感じやすくなり、心理的安全性が高まります。さらに、「自分は受け入れられている」という実感が、エンゲージメントにもつながる。つながりの強化という根の部分から、さまざまな効果が枝葉のように広がるイメージです。

さらに重要なのは、感謝の効果が当事者同士の関係だけにとどまらないことです。感情が周囲に伝わっていくことを、心理学では「情動伝染」と呼びます。周囲でそのやり取りを目にした人にも、前向きな感情が波及するのです。こうしたムードの広がりが定着すると、やがて組織の文化や風土へ発展していくと考えられます。

金銭的な報酬は、受け取った本人と会社の間で完結します。それに対し、感謝はもらった人だけにとどまらず、周囲へと広がっていく。この波及のしやすさも、大きな利点だと考えています。

感謝・称賛施策への違和感はなぜ生まれるのか

感謝や称賛そのものを否定する人は少ない一方で、施策として推進することに対しては、違和感の声が上がることもあります。こうした反応はなぜ生まれるのでしょうか。

石川:否定的な意見の背景には、「すでに自分は、十分感謝を伝えている」という認識のズレや、「会社が後押しする必要があるのか」という疑問があります。伝えているつもりでも、相手には届かないケースも少なくありません。

正木:仕事という環境は、基本的に「義務と命令」のルールで動いています。専門用語では「交換的規範」と呼びますが、指示を受けてタスクをこなし、その対価として報酬を得る仕組みです。その合理的なシステムに、感謝などの「感情」を持ち込まれると、「今さら何を言っているのか。そんな場ではない」と違和感を覚える。ある意味では自然な反応です。

あらゆる業務を完全にマニュアル化し、AIですべてを管理できるなら、感謝は不要かもしれません。しかし、現実の仕事をそこまで定義し尽くすことは困難です。急な依頼や、役割分担の境界にある曖昧な業務など、定義しきれない「穴」が必ず生じます。だからこそ、その穴を埋める助け合いや主体性、信頼関係が必要です。

石川:同じ業務でも、信頼関係が十分でない相手との作業では、コミュニケーションコストが増えますよね。感謝は単なる美徳ではなく、業務を円滑に進め、コミュニケーションコストを下げる「ビジネス上の作法」のようなものだと考えるべきではないでしょうか。

正木:おっしゃるとおりです。だからこそ、施策を導入する側には、「なぜ感謝が大事なのか」を理論やデータを用いて説明する責任があります。単に「ありがとうと言いましょう」という精神論だけでは、現場は納得しません。仕事を進めるうえで、なぜ必要なのかも一緒に伝える工夫が必要です。

感謝や称賛は、後から身につけられるスキルなのでしょうか。

石川 暁さん インタビューの様子

石川:身につけられると考えています。当社には、ソーシャル・アンド・エモーショナル・ラーニング(社会情動的学習)の専門家がいて、「非認知能力」の観点からアプローチしています。

単に「ありがとう」という言葉を投げるだけでは価値を生みません。自分の気持ちを整理し、相手の立場に立って、具体的な事実とともに伝える必要があります。このプロセスを繰り返すことが、他者理解や自己認識といった非認知能力を高めるトレーニングになります。

個人の非認知能力が高まれば職場のコミュニケーションが円滑になり、それが職場の資源となって、エンゲージメントの向上にもつながっていきます。

小林:特にマネジャー層にとって、こうしたスキルを磨く機会は重要だと感じています。管理職になると、求められる役割は、個人で成果を出すことから、メンバーの力を引き出し、チームとして成果を生み出すことへと変わります。相手の行動を丁寧に観察し、その価値を言葉にして伝えることは、他者理解や関係構築の実践そのものです。「ありがとう」の背景には、相手への関心や認識が必要になります。その意味で感謝・称賛は、職場の雰囲気を良くするためだけのものではなく、マネジャーが人を育て、チームを導く力を高めるための実践的なトレーニングとしても大きな意味を持っていると思います。

正木:リーダーシップの理論では、集団の目標達成を促す機能と、集団の人間関係を維持する機能の双方が必要だとされています。しかし、人間関係を維持する力は抽象的で、どう伸ばせばよいのか迷う方は少なくありません。

そこで、「感謝」や「称賛」という、わかりやすい行動を入り口にすることが有効です。入り口が明確であれば、実践と振り返りを重ねて、自分の関わり方を客観視することもできます。以前、ある大企業の人事担当者が「管理職に必要なのは『徳』のトレーニングだ」とおっしゃっていました。組織はプレーヤーとして実績を上げてきた人にこそ、立場が変わった後に求められる人間関係構築のスキルを、意図的に育む必要があります。

施策を形骸化させない「目的設計」と運用

サンクスカードとはどのような取り組みなのでしょうか。

小林:サンクスカードは、日々の感謝や称賛を言葉にして伝え合う取り組みです。一見シンプルな施策ですが、組織風土づくりの観点では奥が深い取り組みです。最大の特長は、誰もが気軽に参加できること。役職や立場に関係なく、現場で起こる小さな助け合いやフォローを、現場の目線ですくい上げられます。

規模にかかわらず、一人ひとりにとって職場の最小単位となるのは、自分の所属するチームです。感謝を送り、受け取るというやり取りを通じて、その「半径5メートル」の身近な関係性を前向きなものにしていくことに価値があります。

小林 稚菜さん インタビューの様子

近年は、エンゲージメント向上やD&I、組織風土改革といった経営課題の解決手段の一つとして、全社的に導入する企業が増えています。現場の小さな貢献をすくい上げる動きを、「自社をどんな組織にしたいのか」という会社全体の目的と結びつければ、経営課題を解決する文脈でもご利用いただけると思います。

サンクスカードが形骸化しないために気をつけるべき点はありますか。

小林:サンクスカードの運用のポイントは、二つの側面をうまく両立させることです。一つは、誰もがすぐに参加できるというボトムアップの側面。もう一つは、経営課題の解決につなげるというトップダウンの側面です。現場の自発的な動きと、経営・人事側のねらいをどう接続するかが重要です。

逆に、うまくいかないパターンは、ボトムアップとトップダウンのどちらかが欠けていることがほとんどです。

具体的にボトムアップの側面が欠けるとは、「現場目線を欠いた設計」で運用することです。例えば、感謝をすべて可視化し管理しようとして全社に公開すれば、現場の社員は「全員に見られるなら立派な文章を書かなければ」とプレッシャーを感じ、送るハードルが上がってしまいます。また、日々の業務に追われるなかで、どうしても後回しになってしまったり、そのまま伝える機会を逃してしまったりするのも現実です。だからこそ、気軽に送れる仕組みや、「あの人にお礼を伝えよう」と自然に思い出せるきっかけを運用のなかに組み込むことが重要です。

トップダウンの側面が欠けるとは、目的が曖昧なまま運用してしまうことです。導入当初はエンゲージメント向上や組織風土づくりを目指していたはずが、運用するうちに「全社で送信枚数を増やすこと」自体が目的になってしまうケースは少なくありません。本来は、感謝や称賛を通じてより良い関係性をつくるための施策なのに、数字だけを追い始めると、「もっと送信数を増やそう」といった運用になりがちです。何のために取り組むのかという目的を見失わず、現場が自分たちなりの意味を見いだせる余白を残しておくことが重要だと思います。

正木:人は「これをやりなさい」と強制されると、納得してくれません。大枠の目的を経営層が示すことは非常に重要ですが、具体的な使い方や楽しみ方は現場で模索してもらうことが大切です。一部の有志から小さく始め、自分たちなりの意味づけを見つけていくほうが、納得感を持って定着しやすくなるでしょう。

石川:おっしゃる通り、組織から強制されて形式的に感謝を送り合うだけでは、関係性は深まりません。「メッセージの質」が重要なのです。具体的な事実が添えられた「心に残る一枚」をもらえたら、誰だってうれしいでしょう。

そうしたすてきな一枚を受け取った人は、自分の感謝の伝え方の意識も高まり、より多くの人に送ろうとする。質が量を呼ぶ好循環です。量を増やす段階から、質を高める段階へと重心を移せないまま続けてしまうことには、注意が必要です。

小林:私たちが提供する「TeamSticker」でも、こうしたトップダウンとボトムアップの両立を重視しています。導入時には、まず経営層の言葉で「なぜこの取り組みを行うのか」「どのような組織を目指したいのか」を全社に伝えていただきます。感謝や称賛を単なるコミュニケーション施策としてではなく、組織づくりの一環として位置づけることで、取り組みの意義を共有するためです。

一方で、現場に対して使い方まで細かく指示することはしません。各部署に推進役となるアンバサダーを設け、自分たちの職場に合った活用方法を主体的に広げてもらうことを大切にしています。経営層が方向性を示し、現場が自分たちなりの意味や楽しみ方を見つけていく。その両輪がそろうことで、無理なく定着しやすくなると考えています。

サンクスカードの定着に対してはどのような支援を行っていますか。

小林:私たちは、単にツールを提供するのではなく、「感謝や称賛が組織に定着する状態」をつくるための支援を重視しています。

大切にしているのは、プロジェクトの設計部分です。特に最初は、当社のカスタマーサクセスチームが伴走して、導入目的の明確化に取り組んでいただきます。さらに、導入して終わりではなく、企業ごとの課題や目指す状態を整理し、「なぜこの取り組みを行うのか」「どのような変化を実現したいのか」を一緒に言語化します。感謝・称賛はあくまで手段です。その先にある組織づくりの目的を共有することからスタートします。

次に重視しているのが、継続的な「きっかけづくり」です。感謝を伝えることの大切さを理解していても、日々の業務に追われる中で、つい後回しになったり忘れてしまったりすることは誰にでもあります。そこで、定期的なリマインドや周年イベント、異動のタイミングに合わせた企画などを通じて、「あの人にお礼を伝えてみよう」と自然と思い出せる機会をつくっています。

例えば、期間限定でデジタルギフトを添えられるキャンペーンでは、普段は照れくさくて参加しない人の背中を押し、感謝を伝える最初の一歩を後押ししています。

ポイントは、会社が社員にお金を配るのではなく、「誰かに贈る権利」を渡していることです。コーヒー1杯分程度の少額であっても、人は自分のために使うより、相手から「ありがとう」と言ってもらえる体験に大きな価値を感じます。私たちはそうした心理を活かしながら、感謝を伝える行動そのものが自然に生まれるきっかけを設計しています。

そして、もう一つ大切なのが「体験の質」です。組織風土を変えるのは送信枚数ではなく、一人ひとりの体験です。具体的なエピソードが添えられたメッセージを受け取り、「自分の行動を見てくれていたんだ」と感じる体験は、人の意識や行動に大きな影響を与え、次の感謝や称賛を生むと考えています。だからこそ私たちは、利用量だけでなく、どのような感謝や称賛がやり取りされているのかにも目を向けながら、より良いコミュニケーションが生まれるよう支援しています。

サンクスカードアプリ TeamSticker 感謝・称賛を続く仕組みにする3つの支援

こうした運用を支えるのが、日常業務の延長で無理なく使える仕組みです。TeamStickerはMicrosoft Teams上で利用できるため、新しいツールを覚える負担がなく、普段の業務のなかで気軽に感謝を伝えられます。また、リマインドの配信やステッカーといった工夫によって、「感謝を伝えようと思っていたけれど忘れていた」という状態を減らし、自然に行動を後押しできるように設計しています。さらに、送付数だけでなく「どのようなやり取りがされているか」を把握でき、感謝・称賛を組織の状態を映し出すデータとして捉えながら、継続的な改善につなげられる点も特徴です。

正木 郁太郎さん、石川 暁さん、小林 稚菜さん インタビューの様子

感謝・称賛が根づいた先にある、協調的な幸福感

感謝・称賛が根づいた組織では、どのような変化が期待できますか。

正木:感謝が広がると、不必要なストレスや足の引っ張り合いが減り、お互いの強みを認め合いながら、前向きに働ける環境が生まれやすくなります。

最近の社会心理学の研究では、個人としての達成だけでなく、「周囲と調和し、みんなでうまくやっている」と感じられる「協調的幸福感」が重視される研究があります。感謝を通じてコミュニティとしてのつながりを深めることは、こうした幸福感とも親和性があり、組織全体の創造性や粘り強さにもつながると考えられます。

逆に、互いの貢献が見えず、助け合いが生まれにくい環境では人も組織も疲弊するでしょう。感謝・称賛は、そうした状態を防ぎ、関係性を支える基盤になります。

人事に関わる方々には、ダイバーシティやインクルージョンなど、高度な概念にとらわれすぎないでほしいと思います。人間が働く以上、行動を左右するのは「うれしい」「楽しい」「ありがたい」といった原始的でシンプルな感情です。理論に偏らず、人間の根源的な感情に働きかける施策が深く現場に響くことも、心にとどめておく必要があります。

石川:マネジメント層やリーダーの方々には、業務の進捗管理や育成だけでなく、職場の人間関係を支える具体的な手段として「感謝」を活用してほしいと思います。忙しい日々のなかで、後回しになりがちな人と人とのつながりを修復する手段として、感謝の力を取り入れてみてください。

小林:人事担当者の皆さまには、まず自社の課題の解像度を上げ、「感謝・称賛を通じて何を実現したいのか」を言語化することから始めていただきたいと思います。施策ありきで進めるのではなく、どのような組織を目指したいのか、そのためにどのような行動や関係性を増やしたいのかを明確にすることが第一歩だと考えます。

私たちは、「働く人にもっといいコミュニケーションを」というミッションを掲げています。TeamStickerを通じて、まずは半径5メートルの身近な関係性を温かくし、「会社に来るのが少し楽しくなった」「一緒に働く仲間の良さに気づける」―─そんな変化を一つでも多く生み出したい。お互いを認め合い、高め合える組織を増やすことに貢献していきたいと考えています。

石川:効率や売り上げだけでなく、「この職場で働けて良かった」「この人と一緒に仕事ができて、自分が成長できた」と心から思える。人間の根源的な欲求を満たす価値を、これからも提供し続けていきます。

正木 郁太郎さん、石川 暁さん、小林 稚菜さん
サービス概要

感謝・称賛を起点に、メンバーの行動変容を促進し、組織のつながり・関係性を改善するサンクスカードアプリ「TeamSticker」。Microsoft Teams連携を特徴とし、Microsoft Japan Partner of the Year 2024を受賞。自然と送りたくなる仕組みを多数有することで、送り手の主体性が尊重された「ありがとう」「すごい」といった言葉を職場に届け、見逃されがちな貢献を適切に承認します。また、感謝・称賛の循環を通して、心理的安全性の向上と主体的行動の創出を促し、エンゲージメント改善や離職防止に寄与。感謝・称賛の蓄積データは、企業施策と連動した組織状態の把握と改善にも展開できます。

サービス概要

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