ソーシャルスキル(社会技能)
ソーシャルスキル(社会技能)とは?
「ソーシャルスキル」とは、社会の中で他者と関係を築いたり、他者と関わり合いながら日常生活を円滑に営んだりするために必要な、人間関係における知識や技術のこと。「社会技能」「ライフスキル」などとも呼ばれます。ソーシャルスキルがあると、その場の空気に適した伝え方で自分の考えを主張することができます。WHO(世界保健機関)では、ソーシャルスキルには、意思決定能力、問題解決能力、効果的なコミュニケーション能力、対人関係スキル、自己意識、共感などが含まれると定義しています。精神科領域、教育領域で使われることの多い用語ですが、昨今はビジネスにおいても注目されている概念です。
「コミュニケーション能力」が指すものとは?
ソーシャルスキルを測る六つのポイント
円滑な対人関係を築く「ソーシャルスキル」が高い人は、周囲から「この人と仕事をしたい」と思われます。その特徴は、相手にとって気持ちのよい言語・非言語コミュニケーションを取る技術を持ち、相手の言動に不快な思いをしない認知過程(物事の捉え方)を備えていること。また、相手の機嫌を取るばかりではなく、主張すべきことはきちんと主張できることも大切な要素の一つです。
現在、ソーシャルスキルは大まかに「コミュニケーション能力」という呼称に包括されていますが、それが指しているものは曖昧です。筑波大学大学院 教授の相川充氏らが提唱した尺度によると、ソーシャルスキルは次の六つに分類されます。
1 関係開始
相手とすぐに打ち解けられる、誰とでも仲良くなれる、知らない人とも会話を始められる、気軽に挨拶ができるなど。
2 解読
表情やしぐさで相手の思っていることがわかる、顔つきから相手の感情を読みとれる、自分の言葉が相手にどのように受け取られたか察しがつくなど。
3 主張性
不愉快な思いをさせられたときにははっきりと苦情を言う、どんなに親しい人に頼まれてもやりたくないことははっきりと断るなど。
4 感情統制
感情をあまり面にあらわさないでいられる、自分の感情をコントロールすることができるなど。
5 関係維持
相手の立場を考えて行動する、その場にあった行動が取れる、相手の話をまじめな態度で聞くことができるなど。
6 記号化
表情が豊かである、身振り手振りをまじえて話すことができる、好感を持ったらそれを素直に表現できるなど。
ビジネスは、人と人との折衝によって成り立っています。どれだけその組織が先進的な技術を有していても、ソーシャルスキルがなければ、クライアントの要望をくみ取ったり業務を円滑に進めたりする際に不具合が生じます。マネジャー職や営業職、面接担当者など、人と関わり行動変容を促すことが求められる職種には必須のスキルといえるでしょう。
ソーシャルスキルは、生まれ持った性格によるものと思われがちですが、技術であり、トレーニングや経験によって鍛えることができます。大人になってからでも十分に身につけられるものなのです。
参考:
LIFE SKILLS EDUCATION FOR CHILDREN AND ADOLESCENTS IN SCHOOLS |世界保健機関
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