オンライン研修で気づきを促進する「打ち役」「拾い役」
ミーティングプラットフォームを使ったオンライン研修で、受講者の「気づきに繋げるにはどうするか」という声をいただきます。
これまでのようにリアルの集合研修の場合は、講師からの情報提供に始まり、問いに対して自分の考えと他者の考えを共有しながら自分の考えを整理、ふりかえりによって職場での行動変容に繋げていくというのが一般的な流れです。
そしてこの一連の流れの中で、どの場面に最も「気づき」が起きやすいかを考えてみたときに、人それぞれではありますが、自分の考えを自分の口に出し、それを自分の耳で聞き、そこから「自分の思考が深化した瞬間」に気づきは起きるのではないかと感じています。(いわゆるオートクラインというものです)
このとき重要なのは、自分の最初の発言が気づきになるというよりも、たくさん話した後の深めていった先にある、その人特有の「ワンワード」に気づきが潜んでいるような気がしています。
では、このワンワードをオンラインライブ研修で導き出すためにどうすればよいかといえば、先に述べたように相手に大量に話すことによってオートクラインを引き起こすことが効果的です。
しかし、オンラインではリアルの集合研修のようにその微妙な空気感やノンバーバルなコミュニケーションの効果を期待することは難しいため、なかなかオートクラインが起きにくい状況があります。
そういった場合、例えば大量に話すのではなく、大量に打つ(文字にして書く)ことによって思考の外化が促進され、オートクラインに繋がることが多々あります。これは実際に試してみると実感していただけるのですが、とにかく自分の内面で思ったことをチャットに打ちこんでいくやり方です。(ペアで「話し役」「聴き役」のような、「打ち役」「拾い役」を決めておくとよいです。野球の練習みたいですね。)
ポイントは打ち役は「思ったことを躊躇せず打つ」という点です。最初は抽象的な言葉や借り物のワードが続くときもありますが、やがて打ちながら少しずつ「修飾語に」自分らしさが加わり、「単語の掛け合わせに」持論が生まれ、「メタファー(比喩)に」イメージが集約されてくるのが実感できます。(拾い役は上記の3点を意識し、キャッチし、返球するとよいでしょう。)
これまでもオンラインでは、アウトプット機能を使った学習効果は認められていますが、今後はそのアウトプットの「質と量」「目的と手段」の観点から受講者の行動変容に繋げていくための工夫がオンライン特有のグラウンドにおいて求められてくるはずです。
そのヒントの一つに、大量の言葉の打ち込みから生まれるワンワードのホームランがあると私は感じています。
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