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「女性社員」の活躍推進・キャリアデザイン特集

特集記事 「女性活躍」を推進するための人材マネジメントとは

企業が女性社員のキャリアデザインをサポートしていく

企業が現在の厳しい経営環境を乗り切っていくには、自社に優秀な人材を定着させ、その力を十分に発揮できるようにしていかなければならない。そのためには、現在の自社の人事制度や企業文化を、見直していく必要も出てくるだろう。

女性社員の場合、結婚や出産、子育てなど、プライベートで大きなターニングポイントが多数発生する。その際、企業のサポート不足などが原因で、優秀な女性社員が退職してしまうことになれば、企業にとって大きな損失となる。それでは、どのようにして女性社員をサポートし、定着を促していけばいいのだろうか。

まず、考えられるのは、「産休・育休」制度の整備と実践。そのためには、職場での理解を促進していく必要があるだろう。また、同僚からの協力体制もしっかりと築いていかなければならない。

さらには、女性社員それぞれが、今後どのように働いていきたいのかを、企業がしっかりと把握しておくことも重要だ。仕事・プライベートの両面から考えた「キャリアデザイン」について、企業(人事、上司)が女性社員と一緒になって、真剣に考えていく環境が求められる。

女性の管理職登用を促進するには

女性社員の定着率を向上した上で、次の目標となるのが、女性社員の活躍推進。日本生産性本部が企業を対象に行った、「コア人材としての女性社員育成に関する調査」結果概要(2010年1月)によると、「女性社員の活躍が推進されている状態」について、「課長、及び課長相当職以上の職位につく者が増えること」(69.8%)、「職位に関係なく女性社員の仕事に対するモチベーションが高いこと」(67.5%)という回答が上位を占めている。仕事において性別は関係なく、本当に優秀な人材が活躍していくことが重要であると、改めて認識させられる。

実際、多くの企業が、女性管理職の登用を目標として掲げている。しかし、現実を見ると、うまく機能していないケースは多い。企業戦略として、女性管理職の登用を謳いながら、何年経っても進展がないのであれば、企業の考え方や、戦略の進め方そのものに問題があるはずだ。

本当に女性社員の活躍を推進したいのであれば、まずは経営トップが明確なメッセージを社員に対して発信するべきだろう。そして、推進のために専門のチームを作り、現状を分析しながら、具体的な計画を作成し、定期的にチェックしていく。目標が達成していなければ、なぜ達成できなかったのかを分析し、次の行動につなげる。このような動きがなければ、本当の女性社員の活躍を推進することはできない。

実際、ここ数年、同様の取り組みを積極的に行う企業が増えている。一例を挙げると、松下電工は、社長直轄組織によって「女性リーダー(役職者)育成プログラム」を実施するなど、女性が活躍できる職場づくりを推進している。先日は、「2010年に課長以上の女性管理職を1.4倍にする」と発表。今後の展開が注目されているが、同様の動きは、他の企業でもさらに活性化していくことが予想される。

そして「ダイバーシティ」の推進へ

ここへきて、女性活躍推進の動きはさらに広がりを見せ、「外国人」「障がい者」なども含めた「ダイバーシティ」の推進へと発展している。ビジネス環境を見ると、国内のマーケットは頭打ち状態。今後日本企業には、グローバル展開への対応、つまり、ダイバーシティ推進が今まで以上に求められることは間違いない。

日本企業は、グローバル展開に際して、日本特有の男性中心のカルチャーのままで、ビジネスを行っていてはいけない。それでは異質な文化やマーケットに対応することができず、ビジネスパートナーとして受け入れてもらえないからだ。同じ日本人同士が男性・女性という性別の違いだけでうまく通じ合えないのであれば、グローバル展開は困難。日本企業はまず、女性活用推進という身近なテーマを実践し、その上で本格的にダイバーシティを推進していくべきではないだろうか。

その際にも、やはり、経営トップからのメッセージ発信が重要になることはいうまでもない。トップ自らが、その重要性について自身の言葉で説くことで、社員の意識は高まり、考え方が組織風土に浸透していく。その上で、現場の管理職や社員が実際の行動へと移していく。このような人材マネジメント上での「バリュー・チェーン」を構築させ、それを人事部が徹底してサポートしていくこと――。女性活躍、ダイバーシティを推進していく上での最重要課題といっていいだろう。

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