女性の強みを活かすの誤解について

ある大企業の女性ダイバーシティ推進室長とお話をする機会があり、
その方の悩みから気づいたことについてご紹介したいと思います。


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■女性の強みを活かすの誤解
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ダイバーシティ推進室長の悩みの中で、

「女性において、自分が思ったことを
そのまま、なんの配慮もなく意見を言ったり、
行動に移したりする。これは女性の強みを
活かすことになっていないと思っている」

と苦言に近い形でお話をしてくださったことが
印象に残っています。

全く、その通りだ!と私も思った次第です。


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■直属の上司を飛び越えることの危険性
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こんな場面を見たり聞いたりして肝を冷やした、
という経験はありませんか?

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直属の上司を提案をしたところ、
「今は実行するの周りのことを考えると難しいと思う」
と言われ、却下されてしまった。

却下された女性社員は納得できず、
それならと更に上の上司の元へ直談判へ。
その上司は許可してしまう。

直属の上司に、「上長から承認いただけました」と報告。

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女性はこの行動のどこがまずいのか
ピンとこない方も多いかもしれません。

ドラマなどでも正義感の強い担当者レベルの
女性キャラクターが社長へ直談判するシーンも
よく見受けられます。

この行動のどこがまずいかというと、
会社組織のヒエラルキーに反するからです。


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■会社のヒエラルキー構造
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会社組織は男性社会の目線で作られており、
ヒエラルキー(階層構造)となっています。

一見やりづらいと感じるかもしれませんが、
ビジネスの観点からすると非常に効率的な
仕組みとなっているのです。

それは、階層構造があるゆえに、階層ごとに
必要な情報が集まり、的確な判断が
できるようになっているからです。

このように、階層構造の仕組みを守った上で、
仕事を進めるのが一番効果的であることは
明らかなのです。

 

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■遠慮なく意見するのが女性の強みを活かすことではない
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先ほどの例から、女性社員が上司の上司に
アポをとるのはヒエラルキーを無視した形になることは
ご理解いただけたかと思います。

では、直属の上司がノーとしたものが
通ってしまうとどうなるでしょうか。

結論からお伝えすると、その業務を進める上で
大きなトラブルになったり、最終的に
成果が上がらないということが発生する
可能性があります。

なぜなら、直属の上司の元には、チームとして
判断するべき情報が集まっています。

その上司の判断を無視している、すなわち
ヒエラルキー構造を無視したやり方になっているので、
結果的に組織全体の足を引っ張ることに
なりかねないということです。

このように、ズケズケと遠慮なく意見を言うことが、
決して女性の強みを活かすことではない、
気づいていただきたいと切に願っています。


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■女性活躍推進は道半ば
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もしかすると、女性部下に自分を乗り越えられて、
意見を通されてしまった経験のある男性上司の方も
いらっしゃるかもしれません。

そんな女性部下に対して、これが女性の強みを
活かすことに繋がる、と遠慮して指導できないというのは、
絶対に間違っていると断言します。

女性活躍推進で大切なことは、女性を枠に
当てはめるのではなく、男性視点の良いところは
そのまま残し、女性の視点を変化として組み込んで
行くことが、女性視点を活かすということに
繋がっていくと考えています。

***

男女の視点を生かし、相乗効果を上げていくことは、
これまで以上の成果に繋がります。

その意味で、私は女性活躍推進は
終わっていないと思っています。

もし、男女共に違和感を感じたことがあるならば、

「これは女性活躍推進なんだろうか?」

とお互い振り返って見直す機会にしていただけたらと
思っています。

このコラムを書いたプロフェッショナル

細木聡子

細木聡子(ホソキアキコ)
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。

得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、リーダーシップ、マネジメント
対応エリア 全国
所在地 千代田区
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