タレントマネジメントと行動評価

最近、日本でもタレントマネジメントへのとりくみが普通になってきていると感じる。まずは人材の棚卸とタレント情報管理のしくみをということでタレントDBを整備されている会社も多いと思う。しかしながら問題はここから先である。ここまでやって壁に当たる会社も多いと想像する。

ポイントは3点くらいあるだろうか。1点目は、何のためにタレントマネジメントをするかということがあいまいであるため情報を活かしていくしくみや、多くの場合企業文化がついていっていないと思われること。2点目は、DB化している情報そのものの価値の問題。3点目はメンテナンスしていくプロセスが新たな負担になっていることと考えている。

-

タレントマネジメントをやってきた経験から言えば、一番難しいのはコンピテンシー作りだと感じている。タレントマネジメントは人材管理であると同時にコンピテンシー管理であるということを忘れてはならない。タレントとは、企業が求めるコンピテンシーを備えた人材である。企業は成功の鍵あるいは特定ポジションの要件としてどんなコンピテンシーを求めているのだろうか。これが明確でないとタレントマネジメントはそもそも成り立たない。組織としてこれらのコンピテンシーが強化されるように、採用、育成、処遇、配置などを統合的に運用して人材層の厚みを作ることがタレントマネジメントの重要な側面である。もちろん、個々のタレントに注目した側面もあるが。(リテンションやトップタレントの登用など)

ここで登場するのが、最近は多くの企業で評価の一部になっている行動評価である。行動評価は実際のところ、総合評価の調整弁としてきわめて主観的に評価されているという感が強い。ところが、これがタレントマネジメントの入り口になる。行動項目自体はコンピテンシーではない(というかそこまで細かくコンピテンシーを作ってはいけない)が、これらはコンピテンシーを測るものさしであることが意識されていないのは残念であるし、日本のローカル企業の共通の弱点であると思う。

-

タレントマネジメントは中期的に組織のCapabilityを高めていく作業であることが見えていないと、人事全体のしくみとの兼ね合いが適切に築けないのである。また、コンピテンシーが作れないならアセスメントはピンボケするのが落ちである。欧米の人事コンサルではコンピテンシー構築がメインテーマのひとつになっている。

 

組織開発コンサルティング事業部
中松 雅利

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • 人材採用
  • 人事考課・目標管理
  • ロジカルシンキング・課題解決

私たちは成果創出に寄与する活性化施策を提供することを通して、躍動感溢れる未来を創造していきます。

株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長
株式会社日本アウトソーシングセンター 代表取締役社長

大野順也(オオノジュンヤ) 株式会社アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長

大野順也
対応エリア 全国
所在地 千代田区

このプロフェッショナルのコラム(テーマ)

  • 参考になった0
  • 共感できる0
  • 実践したい0
  • 考えさせられる0
  • 理解しやすい0

プロフェッショナルコラム

心の距離を超える技術 │ 話し方ひとつで組織文化は変えられる

坂田 和則(株式会社ナレッジリーン(旧 知識経営研究所) マネジメントコンサルティング2部 部長 改善ファシリテーター・マスタートレーナー)

伝えるだけでは、届かない  ~“心の距離”を超える技術~ ある晴れた春の朝、私は20代の若手メンバーを対象とした安全...

2025/06/16 ID:CA-0006092 コミュニケーション