きちんと教えたいだけなのに・・・
皆さんこんにちは。
組織コンサルティングを行う、株式会社ソリューションの濱川桃子(はまかわももこ)と申します。
このコラムは、以前弊社に頂いた組織構築や人材育成に関するお問い合わせに対して、
お答えさせて頂く形で、掲載させて頂いております。
今回は、経営者さまから頂いたお悩みに対して。
心をこめて、お答えさせて頂いた内容です。お目通し頂いた最後に、
何か気付き、発見があれば幸いです。
【今週の議題】千葉県 経営者 K様より
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設立:匿名/社員数:約15名/業種:製本業
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製本を営む会社です。
入社半年未満の社員との関係が
どうもうまくいかないので、悩んでいます。
以前の私は工場長と営業を
掛け持ちしていた時代もありましたが、
ここ6年ぐらいは右腕社員に
作業全般と作業指示、新人職人育成を任せ、
私は、現場作業以外をやっています。
新しく入ってきた人間は、
私が作業をやっていた時代は知りません。
また古参社員を中心に、私は「現場を知らない」と言われます。
そんな中で
右腕社員に、新人の作業を教えさせるんですが、
自分の目から見ると作業の教え方が雑で、
いろいろ目についてしまいます。
外出から戻った時などに、たまたま目にし、
新人に指導をするんですが、
すごくムッとし、
なぜか新入社員の私に対する態度が、
日に日に悪くなります。
曰く、
「ポッと来て、いろいろ怒ってすぐ帰っていくのが気に入らない。」
とのこと。
それで、そうかと思い、新人ではなく、
新人に教えた右腕の教え方を注意すると、
右腕社員は悪くないと、新人がかばいます。
結果、なぜか私一人だけが悪者扱いになります。
作業をよく知らないし、教えているところも知らないくせにと。
しかし私が言わなければ、
効率が悪いやり方なので、初めに直したいのですが、
言うとなぜか頭ごなしに怒っているという風に映り、
教えた右腕の肩ばかり持つようになります。
そういう社員は、如実に態度が悪くなり、
早々に退職してしまいます。
不思議なんですが、私の事ややり方が嫌いになるだけで、
右腕やその他の社員は嫌いでないし、
作業そのものも嫌いではないらしいのです。
自分は製品をきちっと早く正確に作りたいので、
教えるべきことは、教えたいと思います。
なのでどのように接すればいいのか、
私自身が教えたほうがいいのか。
それともその効率の上がらないやり方を、
新人社員との関係性や右腕との関係性を重視し、
黙認したほうがいいのでしょうか。
(※表記や改行などを編集部で若干変えております。ご了承ください)
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ご質問いただき、ありがとうございます。
また状況を詳しくお書きいただき、ありがとうございます。
率直に申し上げると、
「あなたと新人社員さま」「右腕社員さまと新人社員さま」の
“関係性”云々、“効率”云々ということが問題ではないと思います。
色んな感情や出来事があるせいで、本当の状況について
きちんと捉えづらくなっているのではないかと、
この文章を通して感じます。
さて、新人社員さまに、あなたが直接教えた方がいいのか、
もしくは今の状況を黙認した方がいいのか。
こちらのご質問に関しては
『どちらもNOです』
なぜ、NOなのか。
その背景をお伝えする前に、
失礼を承知の上で感じたことをお伝えさせていただければと思います。
失礼ながら、あなたは昔から、そして今もずっとご自身のことを
【被害者】だと思っているのではないでしょうか?
何度読んでも私にはこのご質問の文章からそう感じてしまうのです。
「なぜか私一人だけが悪者扱いに・・・」
「なぜか頭ごなしに怒っているという風に映り・・・」
「右腕の肩ばかり持つように・・・」
「不思議なんですが、私の事ややり方が嫌いになるだけで・・・」
このような言葉の一つひとつから、
あなたからの寂しさの感情や
「否定されている」という感情が
うずまいていらっしゃるのだと見受けられます。
就任時期はこちらの文章からは分からないですが、
工場長と営業を掛け持ちされていたということから
おそらく社歴は長いのだろうと、想像しますが、
あなたはずっと嘆き続けているのだと思います。
もちろんあなたが努力していないとは、一切思いません。
ただ、あなたの置かれている環境に対して、
そして、あなたの周りの人に対して、
「なんで認めてくれないんだ!」
「なんで効率の悪いやり方しかできないんだ!」
「なんで・・・」
きっと常にネガティブな感情を抱え、
相手の悪いところばかりに、つい目がいき、
自分自身がこんなに頑張っているのに・・・。と。
それをもう何年もずっと繰り返し続けているのではないでしょうか。
ちなみに、今回のご質問である回答はとってもシンプルです。
あなたは6年も前から、
作業全般と新人教育を右腕社員さまに任せているのですよね?
であれば、効率が悪い云々の話は
今、出てきたことでしょうか?
・・・きっと違いますよね。
ずっと思っていたのに、
なぜ、まだ解決出来ていないのでしょうか?
解決できておらず、
ずっと不満に思っているのに、それでも
【任せる】ということをされてきたとしたら、
残念ながら、あなたが6年間されてきたのは、
“任せる”ではなく、ただの【放任】です。
何も認めていない人に「任せたから」
という言葉だけをかけていたとしたら、
相手からしたら、とても悲しいことだと思いますよ。
なぜならそこには、あなたからの【信頼】がないからです。
現状であれば、
あなたとあなたが右腕社員だと思われている方とで
新人教育について、今の作業について、
ぜひもっと議論してみてください。
まずは、そこからです。
そしてその右腕社員さま本人のことを
ちゃんと見て差し上げてください。
6年も作業全般を頑張ってくれているのであれば、
もしかしたら、あなたよりも出来ている部分も
実はたくさんあるのではないですか?
そこを、あなたは見ようとされていますか?
どんなことに拘りをもって今、作業をしているのかを
あなたは、ご存知ですか?
確かに効率云々に関しては実際に改善出来るところは
多々あるのかもしれません。
しかし、ご自身で
6年も前から任せていると言っているのであれば、
あなたがやっていることは、いくら正しくても
「重箱の隅をつつくようなことだけを言う人だな」
という印象しか、社員さまには残らないと思います。
新人の方の反応も別段驚くようなことではなく、
この状況から察するに「そうなるだろうな」と私も思います。
あなたからすれば、
右腕社員さまと新人社員さまが結託しているように
見えてしまうかもしれませんが・・・
恐らくそうではありません。
改めて、質問させていただきますが、
新人社員さまから、右腕社員さまを
どう思ってもらえることがいいとお思いですか?
「頼りになる上司がいて仕事がしやすいな!」
そんな風に思ってほしいと思いませんか?
であれば、経営者のあなたがするのは、
右腕社員さまがいないところで、
新人社員さまに、右腕社員さまについて
「あいつについていけば安心だから、頑張ってね!」
といった、そんな声かけではないでしょうか。
そして右腕社員さまに対しては
作業全般や新人教育について、任せっぱなしにするのではなく、
しっかり定期的に方向性を固めていくような場を持ったり、
色々とリクエストなどを伝え合えるような場を持ったりすることが
重要かと思います。
会社の問題が尽きることはないと思います。
しかし、まずはご自身について、
そして、ご自身のコミュニケーションの取り方について
ぜひ、見直してみてください。
あなたからのご質問にあった、
“一人だけ悪者になる”“嫌われる”
もちろんそれは、
人である限り心地よいものではないと思いますし、
傷つくことですので、できれば感じたくないことかと思います。
しかしそんなことが、あなたの経営者としての判断基準となり
行動に影響するとしたら良くはないと思います。
あなた自身がどう見られているかよりも、
問わせていただきたいのは、
あなたが社員さまに対して【愛情】を持って関われているかどうか。
そこが一番気になることです。
大変失礼なことを申し上げてしまったかと思いますが、
心を込めて書かせていただきました。
また挑戦後の変化などをお聴かせいただければ、嬉しいです。
- 経営戦略・経営管理
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
- チームビルディング
二歩先を見て半歩前進する
『共に』というスタンスであり続けます。
自分自身の成長がお客様の勇気や刺激になると考えておりますので、私は私自身の自社での実践の中で得た経験、そこからの気づきを伝えられるコンサルタントとして、皆様の組織変革のお手伝いをさせていただきます。
濱川 桃子(ハマカワ モモコ) 株式会社ソリューション 東京拠点責任者
対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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