株式会社プラスアルファ・コンサルティング:ソフトバンクと考える！人的資本時代における企業成長のカギとは～科学的人事戦略に向けた人材データ活用～ [講演レポート]

日本の人事部「ＨＲカンファレンス2023-春-」開催レポート

ソフトバンクと考える！人的資本時代における企業成長のカギとは
～科学的人事戦略に向けた人材データ活用～

野村純也氏（ソフトバンク株式会社コーポレート統括人事本部人事企画統括部統括部長）
鈴村賢治氏（株式会社プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長）

特別講演 [Q-8]2023.06.22 掲載

働く環境や市場のニーズが変わっていく中、企業が提供する既存事業の成長や新規事業の創出に取り組みながら、社員の成長も実現させて企業成長し続けることを戦略として掲げているソフトバンク。人材を資本として捉え、各人が最大限に能力を発揮するための環境を見極めるためにどのようなデータ活用をしているのだろうか。ソフトバンク人事統括部長の野村氏とプラスアルファ・コンサルティングの鈴村氏が、その手法や考え方について事例を交えながら議論した。

プロフィール

野村純也氏（ソフトバンク株式会社コーポレート統括人事本部人事企画統括部統括部長）

（のむらじゅんや）2016年よりソフトバンクの人事企画部門に着任、2021年より現職。人事制度などの企画を中心に、役員報酬設計や労務問題対応などガバナンス、HRシステムや各種サーベイ企画・分析、女性活躍推進・健康経営等を担当。2023年1月からは人事サービスを内外展開するSBアットワーク(株)社長を兼任。

鈴村賢治氏（株式会社プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長）

（すずむらけんじ）野村総合研究所に入社し、データマイニングの分析コンサルティングを多数経験。2007年当社に入社し、取締役副社長に就任。データ活用の知見を活かしたタレントマネジメントシステム「タレントパレット」事業を立ち上げ、社員のパフォーマンスを最大化する「科学的人事」を考案。その方法論の確立と啓蒙活動に尽力中。

人的資源の管理から、人的資本の活用へ。人材データの重要性が高まる理由

プラスアルファ・コンサルティングは、高度なデータ分析技術を用いて、企業が持つビックデータを見える化するクラウドソリューションを提供する企業だ。2006年の設立以来、マーケティング・顧客管理・人事などのさまざまな領域において、ソフトウェアの開発・提供からコンサルティングまでを行い、企業を支援している。

主力となるソリューションは、人材戦略に必須となる採用から育成、配置、評価、抜擢、活躍までを一気通貫で行うタレントマネジメントシステム「タレントパレット」だ。労働力不足が深刻化する今、企業において人的資本経営やリスキリング、ジョブ型雇用が注目されている背景から、事業は急速に成長を続けている。2016年9月のサービス提供開始より、導入法人数は2,700社を突破した（契約者数1,200社、2023年3月末時点）。とくに、社員数1,000名以上の大企業への導入割合（契約件数ベース）が約40％となっており、マーケティング思考の活用法やオールインワンの機能群をはじめとし、きめ細やかなニーズに応える機能開発や高度なコンサルティングが評価されている。

ソフトバンクは、情報通信領域で、インターネット・モバイル通信事業をはじめとした幅広いソリューションサービスを提供するソフトバンクグループの中核企業だ。年間売上高は5兆を超え、約19,000名の従業員を有する。時代や顧客のニーズが変化するなかで事業を成長させてきた同社は今、「Beyond Carrier」と称した成長戦略を掲げている。主力となる通信事業に加え、ヤフー・LINE事業、金融事業、DXソリューション事業やその他の新規事業も含めた多角的なサービス展開に注力している。

ソフトバンクでは、掲げた成長戦略のもと、経営戦略と連動する形で人事戦略を位置づけている。2000年代から従来の日本型雇用の限界がうたわれ、さらに昨今のコロナ禍における構造変化が進むなかで、とくに着目しているのは「個人と会社の関係性の変化」だ。ソフトバンクにて人事制度企画立案から労務管理、HRテクノロジーの導入などをけん引する人事統括部長の野村純也氏はこう語る。

「企業は今、人的“資源”管理から人的“資本”活用へ、視点を切り替える必要性に迫られています。企業と個人の関係性はフラットになりつつあり、企業が人材を囲い込む時代から、選び選ばれる時代へと変化しているのです。選ばれる会社になるためには、社員一人ひとりの潜在能力を最大限に引き出し、成長と挑戦の機会を提供することが欠かせません。個人の成長とともに企業も成長し、中長期的な企業価値向上を実現する狙いで成長戦略を掲げています」