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明日から使える、未経験エンジニアの見極め方と育成のポイント
確実に戦力化するためのステップとは

  • 峰 ゆかり氏(FOX HOUND株式会社 事業推進部 事業部長)
特別講演 [M-2]2023.06.22 掲載
FOX HOUND株式会社講演写真

IT人材不足や経験者エンジニアの採用難という課題を抱えている採用担当者が、次に打つ手は「優秀な未経験者の採用と育成」だろう。しかし、経験者だけでなく未経験者の採用も競争が激化している。また、入社後の技術研修において、現場で活躍するレベルまで育成するにはどうすればよいのかに悩む担当者は多い。これまでWEBエンジニアの採用から活躍に関わる問題を解決に導いてきたFOX HOUND株式会社 事業推進部 事業部長峰 ゆかり氏が、エンジニアとしての優秀さを見極めるポイントと、効果的な育成のステップを紹介した。

プロフィール
峰 ゆかり氏(FOX HOUND株式会社 事業推進部 事業部長)
峰 ゆかり プロフィール写真

(みね ゆかり)バックオフィス部門である事業推進部を立ち上げ、特に人材採用、労務を中心とした人事部門の確立に尽力。現在も事業部長を務めつつ、10年以上にわたるWEBエンジニア未経験者採用~研修のノウハウを基に、ポテンシャル人材の見極め方や現場で稼働できる研修の手法を提案する活動を行う。


根拠を持ってエンジニア未経験者を分類し、採用の可能性を広げる

2011年の創業後、システム開発だけでなく数多くの未経験者をエンジニアへと育成してきたFOX HOUND。企業向けのコーチングサービスでは、システム的学習と人的な学習の2つの側面からアプローチした人材育成により、将来プロジェクトを背負って立てる“本物”のエンジニアを育成している。

一般向けとしては、全国どこでもプログラミングの学習を進めることができる無料のIT学習プラットフォーム「SLスタジオ」を提供。初学者のエンジニアが案件に参画した際に、担当することの多い業務に必要なカリキュラムが詰まっている。FOX HOUNDがWEBエンジニア未経験者の採用から育成までを一気通貫で行ってきた実績によるものだ。

オリジナルのカリキュラムは、10年以上蓄積されたノウハウを生かして作成。深く広いプログラミング知識の中から、開発現場においてまず習得しておくべきスキルを中心に学習し、すぐに実務で活用できる内容となっている。

また2023年6月には、「SLスタジオ」を通して、企業が求めるスキルを習得した求職者を採用できるリクルーティングサービス「SLスタジオコネクテッド」をリリースしている。

峰氏は前段として、未経験のWEBエンジニア採用の理想とゴールは「長く勤めて会社に貢献してくれる人材を採用すること」「自ら成長するため、また仕事のために自己研鑽(けんさん)ができる人材を採用すること」であると説明。また、プログラミング研修の理想とゴールは「研修後すぐにプロジェクトへ配属されたとしても、活躍できる人材を育成すること」だと語る。

経済産業省が2016年に発表した推計によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると言われている。年々IT人材の需要は高まっているが、供給数は2019年をピークに微減。今後より人材不足の傾向が強まっていくと見られている。

「少子高齢化でIT人材に限らず労働人口の全体数が減少していることもあり、優秀なIT人材やエンジニア経験者を採用するのは非常に困難な状況です。経験者エンジニアが採用難であれば、次に打つ手としてはポテンシャル採用として未経験者の採用が考えられます。しかし、採用条件を甘くすることで人材確保につなげようとしても、結果的に満足のいくマッチングにならない可能性があります」

では、実際にIT人材の採用時に人事が見ているポイントはどこなのだろうか。全国のIT企業の人事担当者へのアンケートによると、重要視しているものは上位から「面接時のコミュニケーション力」「業務実績」「面接の印象」と続く。IT人材を、面接というわずかなアピールの場で判断している側面がうかがえる。

「IT人材に限らず優秀な人材は、面接の場で自らを魅力的に見せることがうまい。しかし、本来WEBエンジニアは技術職です。今は少々スキルが乏しくても、『これから自己研鑽し、努力し続けられる人材かどうか』を見極めることが重要です。そうでなければ、優秀な人材を自社に囲い込むことは難しいでしょう。採用基準を変えるのではなく、採用基準を判断する視点を変えていくことが必要です」

ここで峰氏は、WEBエンジニア未経験者の候補者を「求職者ヒエラルキー」の図を提示しながら説明。ヒエラルキーの最上は、高学歴や高スキルで豊富な経験を持つ高キャリア人材層だ。能力の高さを見極めやすいため、引く手あまたで競争が激化する層でもある。高キャリア人材層以外から人材を探そうと思っても、「その他大勢」から採用するには、工数もかかるうえミスマッチなリスクも高い。

講演写真

「私たちは長年の面接結果や採用基準の検証の結果、自分で努力してそれを証明し続けられるか否かが、成長できる人材の判断基準になると考えました。その判断基準は『高キャリア人材層』と『その他大勢』という2段階ではなく、『高キャリア人材層』とこれから成長が見込まれる『潜在的エンゲージメント層』、そして不採用にするべき『低エンゲージメント層』の3段階に分けられると考えています」

潜在的エンゲージメント層は、これまで明確な基準がなかったため見極めづらいが、優秀なIT人材を採用できる可能性が高い。根拠を持ってWEBエンジニア未経験者を分類し、採用の可能性を引き上げるということだ。

「エンジニアとして仕事をしたい」という気持ちを行動に表せているかを見極める

では、潜在的エンゲージメント層から優秀なWEBエンジニアになれる人材を見極めるにはどうすれば良いのだろうか。峰氏は、採用の成功には四つのステップがあると紹介。まずは採用計画を立てること(ステップ1)。そして企業ごとに譲れない明確な採用基準や判断基準を決めること(ステップ2)。その基準に当てはまる可能性が高い人材を検討して(ステップ3)、採用する(ステップ4)という4段階だ。

ステップ1の採用計画とステップ2の判断基準を、それぞれ単体で考えるのは望ましくないと峰氏は言う。入社後の研修やプロジェクトに入って実際に働く姿から逆算し、最初にどのような要素が備わっていれば良いのかを考え、計画や基準を定める必要がある。

「どのような要素を持った人材ならば、離職したり管理工数が必要以上にかかったりせずに、ゴールを達成できるのかを考えることがポイントです。採用と育成、実務での活躍は『地続きであること』を意識してください」

続いて、ステップ3の可能性のある人材の見極めには、「WEBエンジニアとして仕事をしたい」という気持ちを、行動に表せているかに注目するべきだという。ある求職者が「WEBエンジニアになりたい」というゴールを設定したとすると、ここからとっていく行動にはいくつか段階がある。

まずは、「WEBエンジニアは格好がいい」「こういう仕事をしてみたい」という「一瞬の感情」の段階だ。次に、実際の仕事内容や、具体的にWEBエンジニアとして何を成し遂げたいのかを具体的に想像し、必要であれば調査をする「ゴールの具体化」に移る。そして、WEBエンジニアになるために必要な勉強は何か、スクールや学校はあるのかどうかなど、「手段調査」へと進む。

次にようやく「行動」のフェーズに移り、実際にプログラミングを勉強したり、目標を達成するために勉強を継続したりする。そして、勉強内容が本当に仕事につながるのか、ブラッシュアップをしていく「行動の改善」へとステップを踏むのである。見極める際は、これらが過去の努力ではなく、直近の行動であるどうかも重要な観点だ。

「私は開発会社の人事として、今までたくさんの候補者を面接してきました。しかし、当社に応募してくる未経験者の約6割は、最初の『一瞬の感情』や簡単そうなプログラミングの本をパラパラとめくってみたところで止まっています。『ゴールの具体化』や『手段調査』、さらに仕事に必要な勉強をしてくる方は、ほんの一握りです。

だからこそ、自分で行動して勉強した人は、自信に満ち溢れていて面接でも自然と言葉が出てきます。このように、仕事に対して自己研鑽できる人材かどうかを見極めることによって、優秀なIT人材を採用できると考えています」

「研修後すぐ仕事は任せられない」という固定概念を捨てる

では、WEBエンジニア未経験者の採用後、仕事で早くハイパフォーマンスを出してもらうために必要な育成のポイントとは何だろうか。峰氏は育成のステップも、採用と同じく4段階あると語る。

まず、WEBエンジニアに対する研修の固定概念を捨てるところがステップ1だ。そして研修終了時のゴールを明確化し(ステップ2)、研修カリキュラムを作成する(ステップ3)。そして育成をしていく(ステップ4)という流れだ。

ステップ1の「研修に対する固定概念」とは一体何を指すのか。峰氏がかつて話を聞いたプログラミングスクール担当者は、当然のように「研修後、すぐに仕事を任せることは難しい」と話していたという。実際に、実務に入る前に追加研修やOJT、自己学習をさせながら業務への準備を行う企業が多数派だろう。

「しかし、それでは事前に研修をさせた意味がほぼ無いと思いませんか。研修後、一人では動けないと考えている人事担当の方は非常に多い印象があります。しかし、そんなことはありません。ぜひこの固定概念を捨てるところから始めてほしいと思います」

本来、研修のゴールは「実務に必要な要素を身につけること」だ。このゴールから逆算すると、具体的に身につけるべき項目として、業務遂行のための最低限の知識の習得とアウトプット、適切な作業見積もりと報告、未知のものへの認知負荷耐性などが挙げられる。

「未経験者の場合、仕事にあたる前後でのギャップが大きいほど、戦力になるまで時間がかかったり、離職したりしてしまいます。このギャップを埋めるためには、現実の仕事を理解させるのが良いでしょう。そして、これまでと変わらずに自己研鑽をする必要がある、という当たり前の事実と危機感を伝えます。だからこそ、研修時のゴール、つまり仕事のスタート位置から逆算をして、研修のカリキュラムや育成手法を検討してほしいと考えています」

WEBエンジニアの「本気の学習者」をマッチングするサービス

ここで峰氏は、FOX HOUNDが提供している採用スキームについて紹介した。「SLスタジオ」は、WEBエンジニアとして実務で必要なITスキル取得に特化したプラットフォームだ。環境や価格といった障壁にとらわれることなく、パソコン1台とネットワークさえあれば実務に必要なプログラミング知識の学習に取り組めることが特徴だ。

2023年6月には、「SLスタジオ」であらかじめ開発業務に必要なスキルを学んだ求職者と、そうした人材を採用したい企業をマッチングするリクルーティングサービス「SLスタジオコネクテッド」をリリースした。

講演写真

「『WEBエンジニアとして働きたい』と本気で学習している人たちの中から、自社の価値観や求める基準をクリアした人材だけを採用できます。自ら仕事のために努力できる人材を見つけるのに非常に効果的なサービスです」

また、最短2ヵ月、320時間でプログラミング初学者をプロジェクトで動けるWEBエンジニアにしていく「SLスタジオコーチング」という研修サービスも提供。基礎知識を“つけたつもり”で終わらせず、武器としてきちんと仕事に応用できるように徹底的に身につけさせることができる。

「採用サービス『SLスタジオコネクテッド』と研修サービス『SLスタジオコーチング』を、各企業様の目指したい方向性に合わせて活用すれば、エンジニア不足の解決の後押しとなるはずです。当社が提供する超合理的な採用スキームを、ぜひお試しください」

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