「健康な組織」というテーマは以前から研究されていますが、まず考えなければならないのは「ビジネスの有効性」です。競合とは製品やサービスで差がなく、価格でしか差がつけられない状況は、収益性を悪化させ、成長をもたらしません。この状況から脱出できないビジネスは、有効性を欠いていると言わざるを得ないでしょう。ここから抜け出すためには、「創造性」が必要であり、組織に「叡智」を結集しなければなりません。これらを効果的に具現化することがビジネスの有効性を回復し、成長へのイノベーションを可能にする条件です。
組織のあり方を探る動きも必要です。これまで、機能別組織を基本にした多階層型の官僚制組織や、少階層型のフラット型組織、複雑化するグローバル化の中で採用されたマトリックス型組織など、機能や権限の配布という観点から組織化するケースが多々ありました。しかし、現在の論点は、組織構造とそれを支える組織の中のコミュニティの形成です。偉業を成し遂げている組織には、必ずコミュニティが存在しています。コミュニティは、ある志を共有し、情熱と共感を生む多くの仲間たちによって支えられています。組織は、与えられた任務の中で目標を達成しなければならない集団です。通常の組織に、コミュニティというもう一つの組織を形成することが、一つのヒントを与えてくれるように思います。
古い組織構造の考え方では、なかなかコミュニティの形成は進みにくいものと考えられます。そのためにはマネジメントの改革も避けては通れません。従来のマネジメントとは、従業員が与えられた任務を適切に遂行するように、また、効率的に行うように管理監督することであり、そこに目標をブレークダウンし、不平不満を抑え、詳細なルールと手順に従って遂行させることが基本となっていました。これを「マネジメント1.0」といいます。今日求められている「マネジメント2.0」は、高邁な目標を掲げ、新たに組織を束ねる方法を探求することです。従業員にはコミュニティの一員としての自覚を促し、多様性を高めさせ、奨励し、創発を促し、裁量の幅を拡げていくように働きかけることが基本です。このようなマネジメント改革を行うことで、さまざまな叡智を引き出すことが可能になります。
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今求められているイノベーションを成し遂げるために必要な考え方は?その鍵となるマネジメント2.0とは何なのか?
組織の活性化を図るには、計画的で継続的な教育訓練が欠かせません。生産性の高い組織では、一人当りの教育訓練費を、平均よりも1.4倍かけています。教育訓練の内容は組織によって異なりますが、まず、教育する姿勢が浸透していることが条件と言えます。そして、管理職だけでなく、一般職にも教育機会が提供され、バランスよく行われているのが特徴です。
人財調査から明らかになってきていることがあります。人財とは、20歳代までは職務経験によって成長しますが、30歳代は意図的に重要な仕事、責任感の伴う仕事、組織全体に関わる仕事などに従事することで成長します。この年代で困難さを克服し、協働できる人脈を形成し、大きな成功体験をつくることが40歳代での飛躍を確実なものにします。このような体験が不十分な場合、その分だけ能力を発揮できなくなります。
人財活用の効果を高めるためには、組織の成長が必要であり、“現状維持的”な組織ではこのサイクルは生まれません。「組織活性化」とは、このような不断の努力の賜物と言えるでしょう。一朝一夕で出来上がるものではなく、正に「ローマは一日にしてならず」です。継続的に組織文化を刷新するよう、取組んでいく必要があります。
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