人的資本経営とリスキリング~中外製薬に学ぶ、経営戦略と人材施策の繋げ方~
- 矢野 嘉行氏(中外製薬株式会社 上席執行役員 人事・ESG推進統括)
- 飯田 智紀氏(株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者))
リスキリングが注目されるなど、個人の自律的な学びの重要性が高まっているが、個人の主体性をどのように発揮させていくか、個人の成長をどう企業成長につなげていくのかについて悩むビジネスリーダーや人事パーソンは少なくない。本セッションでは、中外製薬上席執行役員の矢野氏が同社の取り組みを紹介。ベネッセコーポレーションの飯田氏とともに、学びの在り方や経営戦略と人材施策、人事戦略との連動について議論した。
(やの よしゆき)1986年に中外製薬株式会社入社。営業本部、国際本部、5年の海外駐在を経験したのち、経営企画部マネジャー、調査部長、人事部長を歴任。2019年に執行役員、2020年に人事統轄部門長、2022年に上席執行役員 人事・EHS推進統括、サステイナビリティ推進部担当 兼 人事部長を務め、2024年1月から上席執行役員 人事・ESG推進統括(現職)。
(いいだ とものり)ソフトバンクグループ株式会社にて経営企画・グループ会社管理、事業再生・国内外投資業務などに従事、2015年9月にベネッセホールディングス入社。2018年4月よりベネッセコーポレーションにてUdemy事業を中心とした社会人向け教育および組織開発関連事業の責任者となり、2024年4月より現職。
個にフォーカスした人事施策を展開
株式会社ベネッセホールディングスを親会社に持ち、通信教育や出版事業を展開する株式会社ベネッセコーポレーション。同社はアメリカのEdTech(エドテック)スタートアップと提携し、2015年から日本国内でオンライン学習プラットフォームである「Udemy」を展開している。「Udemy」は個人や企業、大学や行政などを対象に、幅広くリスキリングやアップスキリングの支援を行っており、国内1500社以上、170万人以上が利用するプラットフォームだ。
同社の飯田氏は、人的資本経営推進の課題として、経営の視点からは「動的な人材ポートフォリオの実現」、従業員の視点からは「個人と組織の関係性の変化」が挙げられると言う。キャリア観が大きく変化する中、「企業は個人に成長機会をしっかりと提供しなければ、選ばれない状況になっている」と、学びの重要性を強調した。
続いて中外製薬の矢野氏が登壇し、自社の取り組みを紹介した。世界的な製薬企業とアライアンスを組み、成長を続ける同社は、2030年へ向けた成長戦略である「TOP I 2030」を2021年に策定。その中で2030年に到達したい「トップイノベーター像」を定義した。
「トップイノベーター像として、『世界の患者さんが期待する』『世界の人財とプレーヤーを惹きつける』『世界のロールモデル』の三点を提示しました。ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指していくという大きな目標を実現するには、世界最高水準の創薬の実現と先進的事業モデルの構築が欠かせません。そこで重要なのがイノベーションであり、イノベーションを起こすのは人財であると考え、一人ひとりの成長にフォーカスを当てることにしました」
そのような思いから制定した人財マネジメント方針では、「個を描く」「個を磨く」「個が輝く」の「三つの個」をテーマに掲げた。中外製薬が“社員一人ひとり”に注力するのは、「多様な個々の発掘・成長・発揮が、個を変え、社会を変え、中外グループ全体の成長につながる」との信念があったからだ。そして「三つの個」の実現に向け、それぞれに人事戦略を策定し、戦略に沿った施策を展開している。
「個を描く」における戦略は、「TOP I 2030に基づいてポジションをデザインし、適財を獲得・アサイン」「年齢・属性に捉われず挑戦し、役割・成果に応じたメリハリのある評価・処遇の実現」の二つ。「適所適財」の考え方によるジョブ型の導入や、タレントマネジメントと連動したポジションマネジメント、ポジションの人財要件を十分に満たしていなくてもポジションを任せる「チャレンジアサイン制度」などを推進している。
「各ポジションを定義し、的確な人財を任用する上で最も重要なのが、『そのポジションにどのようなプロファイルが必要なのか』を全社員に開示することです。各ポジションに求められる職務要件やコンピテンシーレベル、どんな経験が必要なのかといった人財要件を開示しています。そして独自に開発した『Career Explorer』を使えば、自分がなりたいポジションに、いまの自分が何%ぐらい適合しているかがわかるようになっています」
「製薬会社ならではの学び」を推進
人財マネジメント方針の二つ目となる「個を磨く」では、「上司と部下のCheck-In(1 on 1)によるフィードバック文化の構築」「I-Learning(オンライン学習システム)の導入・拡充による自律的な学び/成長の支援」の戦略を設定。「自ら学ぶことを支援する」とのキャリア開発方針を掲げ、成長のサイクルを回していくための考え方を提示した。
成長サイクルの起点となるのは、ポジションプロファイルを前提とした目指す姿と現状のギャップの把握だ。その上で軸となる専門性を磨くために、何を学ぶかを自ら選択して学び続け、仕事を通してスキルを発揮し、成果を出す。そしてフィードバックを行い、目指すキャリアについて上司と対話する。そこで目指すキャリアとのギャップを把握し、学びを進める。これらを進めていくことで、個人と会社の成長につなげていくことを目指している。
「特に重要なのがフィードバックです。フィードバックを成長につなげるためには、『できているね』と褒めるだけでは不十分。できていないところをはっきりと伝える厳しいフィードバックが必要です。 厳しいフィードバックができるようになる組織文化とマネジメントスキルを醸成するため、フィードバック研修プログラムやマネジャーを対象としたワークショップも展開しています」
学びのキーワードとして、矢野氏は「主体的」「Future Skilling(学びの方向性)」「相互研鑽」の三つを挙げた。そのうち、社員に対してコアスキルを土台とし、専門スキルやマネジメントスキルを習得してキャリアを更新し続けることを求める「Future Skilling」では、学びの方向性を3種類に分類。それが「Up-Skilling(専門性を極める)」「Re-Skilling(別分野での新たなスキル獲得)」「Cross-Skilling(マネジメントと専門性を生かした組織運営)」だ。
「Cross-Skillingは、製薬企業独特の考え方かもしれません。製薬企業のプロジェクトは、研究者から開発担当者、マーケティング担当者まで、クロスファンクショナルなチームを組成しています。そこで重要なのがプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーであり、マネジメント力などのコアスキルを高めるのがCross-Skillingです。
社員にはこの三つのスキリングを提示し、ときには上司と話し合いながら、自分がどういう方向性を目指したいのかを定めた上で、自分に必要な学びとは何なのかを考えてもらっています」
同社は自律的なキャリア開発を支援するため、求められるスキルを可視化。「コンピテンシープログラム」では、共通コンピテンシーから中外グループのリーダーに求められる14項目のスキルを定義し、向上させるためのプログラムを設定した。「スキルセット」では、それぞれの機能・部門の業務を遂行するために求められる専門スキルを定義し、そのスキルを身につけていくプロセスを開示。「Chugai Digital Academy」では、特に注力しているデジタル人財に求められるデジタルスキルを定義し、向上させるプログラムを展開している。
そうしてスキルを可視化したうえで、これらのスキルを学ぶためのプラットフォームである「I Learning」を構築。「誰でも・いつでも・どこでも・なんでも」学べる環境を整備した。各機能・部門に求められるスキルについては原則全社員が閲覧できるように設定しているほか、オンラインの特性を生かし、学びの仲間を結び付けて相互研鑽を推進していく仕組みも導入している。
人財マネジメント方針の最後の柱である「個が輝く」では、「働きがい改革/D&I/健康経営の推進による活躍社員の増加」、「部門の枠を超えてイノベーションを生み出す組織風土と全社最適に向けた協業」の戦略を設定。「優しくて温かい会社」から、個人の良いところは伸ばしながらも年齢や属性に捉われずに誰もが活躍できる「厳しく、そして温かい会社」となることを目指すとしている。
「TOP I 2030」で掲げたチャレンジングな目標の達成に向け、自発的・能動的に行動している「活躍社員」を増加させるべく、「働きがい改革」と「マネジャー/リーダーによるサポート」を重視。マネジメントの在り方については、経営層や本部長クラスを対象としたプログラムの実施や、「Check in(1 on 1)」の積極的な活用などにより、従来の直接指示型から自律支援型への転換を進めている。
矢野氏は最後に、経営戦略と人事戦略、人財施策をどのように連動させていくのかについて、自身の考えを語った。
「まずは『TOP I 2030』の実現に向け、中長期を見据えて人財プールを構築します。人事は将来どんなスキルや専門性、コンピテンシーを持った人財が必要となるのかを描いていかなければいけません。そのためにはまず、会社の目指す姿を実現するポジション・人財像を明示して社員に多様なキャリアパスを提示し、求められるコンピテンシー・スキルを定義する。次に人事異動や評価といった、育成の成功に必要となるアクションを組み込む。そして組織風土を変革する。このサイクルを経営と人事、そして現場の部門が連携して回していくことで、経営戦略と人事戦略がつながってくると思っています。
私たちはまず人事制度、次に人財育成戦略、そしてラーニングマネジメントコンテンツといった順番で見直しを進めてきました。成長戦略の実現に向けて、人事はいまある強みを高めていく“深化”と、将来のために既存のやり方・モデルを変革する“探索”の両立が求められます。これから事業に求められる人財像を描き、そのような人たちを引きつけて十分な力を発揮させて成長を推進する人財マネジメントが求められる時代においては、人事の活躍、人事の土台が重要になると思っています」
本当の「リスキリング」とは何か
セッション後半では、矢野氏と飯田氏による対談が展開された。
飯田:「三つの個」が生まれた理由について、詳しくお聞かせください。
矢野:「TOPI2030」という、私たちにとって非常にチャレンジングな目標の実現に向けては、人が成長していかなければいけないし、人が変わっていかなければいけません。もともと中外製薬は、昔から人にフォーカスしたマネジメントを進めてきた会社ですが、さらなる成長のためには、やはり「個」が大きなテーマになると考えました。経営戦略と人事戦略を結び付けていくため、エンプロイージャーニーに近い発想でどのようなメッセージと施策を展開していくのが良いかを議論した結果、「個を描く」「個を磨く」「個が輝く」のキーワードが出てきたのです。
飯田:コンセプトを決めるにあたり、経営層との合意形成などの面で工夫したことがあれば教えてください。
矢野:2020年に新しい人事制度を導入しましたが、その1年以上前から月1回ほどのペースで経営層や各事業部の部長らと集まり、「どのような人事制度をつくっていくか」を議論してきました。人事は仕組みを整えるのも重要な仕事ですが、最終的にはやはり運用がすべてですよね。どれだけ立派な制度をつくっても、円滑に運用するためには経営陣や部長たちと対話しなければ始まらないと考え、意見をもらいました。
飯田:「個を磨く」の中で、「FutureSkilling」の考え方に至った理由と、中でも特徴的な「Cross-Skilling」において大切にされていることを教えてください。
矢野:ここは逆に、学びを支援されているベネッセさんに聞きたい部分でもあります。最近、「リスキル」という言葉自体がよく聞こえてきます。ただ、重要なのは本当に「別分野で新たなスキルを習得する」ことだけなのでしょうか。私たちは、リスキルにはいろいろな意味があると思っています。「職種を変える」というよりは、「自分の専門性を一つ、二つ、三つと増やしていく」といったイメージです。
昔はよく「V字型人間(特定の分野に精通し、他の分野でも幅広い知見を有する人材)」「W字型人間(複数の専門性と幅広い知見を有する人材)」といった表現もされましたが、この考え方はリスキリングにもつながると考えています。専門性を増やして別の領域の仕事ができるようにする「Re-Skilling」は、当社としても当然推奨していきます。
ただ私たちとしては、単に「リスキル」だけを推進するのではなく、必要な専門性をさらに深めていくことも重要だと考えています。たとえば私たちは、幹部社員のポジションを組織運営および実行のキーとなる職務を担う「マネジメントポジション」と、会社・組織の戦略実行に必要不可欠な職務を担う「プロフェッショナルポジション」にわけ、社員に自分がなりたいポジションを描くように伝えています。後者のプロフェッショナルポジションには、アップスキリングが必要ですよね。
さらに、リスキルはデジタル領域で使われがちですが、デジタルだけのスキルを指すものではないと思っています。専門性を増やしていく、幅を広げていくこともリスキルと言えるのではないでしょうか。私たちでいえば、医薬品の開発プロジェクトの中で、マネジャーやリーダーをいかに育てるかという課題感を持っています。そこでさまざまなバックグラウンドを持つ人たちに共通の「クロススキル」を定義して向上させていくことでマネジメントができる人材を育てたいとの思いから、「Cross-Skilling」を設定しました。
飯田:「リスキリング」を「学び直し」と捉えてしまうと、どうしても「いまのスキルでは不十分」といった印象を持ってしまいがちだと思います。私たちが提唱しているのは、「リスキリングとは学び足し」だということ。いままで積み重ねてきたものはその人の資産であって、あくまでそこに新たなスキルを“足していく”ことを推奨しているのです。矢野さんがおっしゃったことは、まさに「学び足し」の重要性を表したもので、「マネジメントスキル」という横のスキルも、リスキリングに含まれる重要なスキルだと思います。このような捉え方について、私たちももっと社会に発信していかなければならないと改めて感じました。
最後に、今回のテーマである経営戦略と人材施策の連動に関して、いま感じている手応えと、これからチャレンジしていく人事の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。
矢野:経営戦略と人材施策の連動はロングジャーニーだと感じています。この二つが連動するためには、人事の組織・機能そのものが経営戦略と連動していることが必要です。逆に言えば、経営戦略と連動できないような人事は厳しい状況です。つまり、連動させていくためにはまず人事自身の役割が重要になってくると言えます。
自分たちが変わっていかない限り、会社も変わりません。私たちもまだ道半ばですが、視聴者の皆さんもまず人事の変革を進めながら、最終的には一緒に日本全体の人的資本を高めていければと思います。
飯田:中外製薬の経営戦略と人財施策、人事戦略をつないでいく上でのキーポイントとしては、まずは人事戦略だけを変えるのではなく、経営戦略の見直しと連動させ、その達成時期を明確化していることが挙げられると感じました。そして成果につなげるところまでを意識した学びをデザインし、組織を変えるためにトップから変えていこうとの姿勢を打ち出している。その姿勢が大変素晴らしいですよね。視聴者の皆さんも、このセッションから多くの刺激を受けていただけたらうれしいです。ありがとうございました。
(株)ベネッセコーポレーションは、一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになるよう、社会人の学びを支援しています。米国Udemy社とは日本における独占的業務提携を行っています。
(株)ベネッセコーポレーションは、一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになるよう、社会人の学びを支援しています。米国Udemy社とは日本における独占的業務提携を行っています。
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