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変革創造をリードする経営人材の育成論

<協賛:株式会社リードクリエイト>
  • 正木 茂氏(日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CHRO)
  • 田中 聡氏(立教大学 経営学部 准教授)
  • 吉田 卓氏(株式会社リードクリエイト 常務取締役)
パネルセッション [J]2024.06.20 掲載
株式会社リードクリエイト講演写真

経営人材の育成は、企業の持続的発展において成否を分ける最重要事項と言っても過言ではない。一方で、日本企業では経営人材育成の成功事例が少なく、社内事情にとらわれない大胆な人選、異動、抜擢、タフアサインメントなど、短期的に痛みを伴う取り組みは後手に回っているのが現状だ。経営人材の育成について、日清食品ホールディングスの正木氏、立教大学の田中氏、リードクリエイトの吉田氏が、企業人事・アカデミア・コンサルタントのそれぞれの立場から語った。

プロフィール
正木 茂氏(日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CHRO)
正木 茂 プロフィール写真

(まさき しげる)1993年、日清食品株式会社に新卒入社。経理課からキャリアをスタート。財務部、人事部を経て、米国日清にCFOとして勤務。帰国後、基幹業務システム刷新プロジェクトリーダー拝命。その後、2018年財務経理部長、2019年人事部長、2021年4月CHRO、2022年4月に執行役員就任。


田中 聡氏(立教大学 経営学部 准教授)
田中 聡 プロフィール写真

(たなか さとし)1983年 山口県生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。2018年より現職。専門は人的資源管理論・組織行動論。主に人材開発・チーム開発を研究している。著書に『経営人材育成論』(単著:東京大学出版会)『チームワーキング』(共著:日本能率協会マネジメントセンター)など。


吉田 卓氏(株式会社リードクリエイト 常務取締役)
吉田 卓 プロフィール写真

(よしだ たかし)大学卒業後、大手金融機関に入社。企画部門を経て、人事部で育成・評価・異動業務に従事。2005年リードクリエイトに入社。リーダーの選抜・育成を軸に人材開発支援を担当し、これまでソリューションに携わった企業は900社以上。一般論に留まらない「実践知」をベースにしたセミナーも多数開催。2021年より現職。


経営人材における「優秀さ」の定義を書き換えていくことの重要性

リードクリエイトは1996年の創業以来、リーダー育成を軸にした組織発展のために、評価・診断、開発・育成、コンサルティングと多面的にサービスを展開している。特にリーダー選抜・育成を軸に据え、働く一人ひとりが成長実感を得られる魅力的な組織づくりを支援しているのが特長だ。企業が抱える課題の本質に向き合い、「実践知」に基づく実効性の高いソリューションを提供している。

東京、大阪に拠点を構え、金融、通信、流通、サービス、メーカー、官公庁など、多様なクライアントを支援し、人の成長と組織の発展に貢献し続けている。

講演の冒頭で吉田氏は、自社プログラムを受講した経営人材候補者のデータを提示しながら、問題提起した。

講演写真

「経営人材にはビジョンを持ち、変革を起こす力を求めているという声をよく聞きます。しかし、実際に経営人材候補として選抜されるミドルマネジャーが持つ能力を見ると、アセスメントのデータ上、上司の指示に合わせて素早く正確に仕事を進められる力が高いという傾向が明らかになっています。これは知らず知らずのうちに“上司にとって使い勝手のいい人材”を求め、無自覚にそのような人材を重宝しているからではないでしょうか。企業における“優秀なリーダーの人物観”を書き換えていくことが必要ではないかと考えています」

講演写真

次に日清食品ホールディングスの正木氏が、経営人材を育成する取り組みについて語った。同社における経営層は、プロフィットセンターである事業会社の社長・取締役、ホールディングスのチーフオフィサー、部長クラスの人材を指す。経営人材に求められるスキルセットはCEO、社長、取締役、CXO、管理職と階層別に定義されている。

「メンバーから管理職への昇格、次長から部長への昇格時にはアセスメントを実施しています。このアセスメントでは社内の評判や実績だけでなく、他社の同等職とも比較して評価しており、リードクリエイト社のアセスメントデータも重要視しています。特に大事にしているのは構想力、決断力、アイデア・プロモーション力、ブレークスルー力、チーム・マネジメント力、後継者育成力です」

六つの能力要件は同社の『日清10則』という行動規範から落としこまれている。例えば、「ブレークスルー力」については「不可能に挑戦しブレークスルーせよ」という行動規範に即した能力だ。

同社では、経営人材を育成する際はそのポジションの役割を担うために必要なスキルセットと、具体的な後継者候補を選んだ理由、候補者の現在のスキルと求める能力の差分を明示する。そして、どのような取り組みを行ったのかを明らかにしているという。

また、現在の仕事から一歩踏み出しチャレンジする制度として、早期にマネジメント職に就くことを期待する人材に対する「チャレンジポスト」、海外勤務を希望する若手社員を対象とした「海外トレーニー」などの取り組みを紹介した。さらに、同社には「NISSIN ACADEMY」という社内大学もあり、マーケティングやセールスなどの専門性を高める教育プログラムも提供している。

そして、経営人材候補に対しては手挙げと選抜型の研修を実施し、経営者として必要な視座や思考力を養成する「経営者アカデミー」の取り組みも行っている。正木氏は経営人材の当事者として自身の例を語った。

「本日のゲストでもある田中先生のもと、立教大学大学院に2年間通いました。人事のプロフェッショナルとして必要となる人的資本経営や人材開発、組織開発を学びました。ですが最も学びになったことは、『自分はできていない、知らないことが多くある』という現状を理解できたことです。年齢が上がるほど、役職が上がるほど、社内でこのことに気づくことが難しくなるのを実感しました。「大人の学びは痛みを伴う」と言いますが、私には激痛でした」

また、リードクリエイトと実施しているアセスメントでは、自社と他社の傾向が比較できる。それによると、同社の経営人材の強みは既存ビジネスというレールの上を速く走れる点だったが、新たなレールを創るための変革や創造行動については弱い傾向が顕著であったという。

「今のビジネスをさらに深化させる優秀さと、変革に向けて勇気を持って一歩を進める優秀さの違いを我々が認識して、どう育てていくのかを描いた上で育成に向かう必要があります」

講演写真

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本講演企業

リードクリエイトは創業以来、リーダーの選抜・育成を軸としたソリューション・サービスを提供しています。リーダーの適性を見極める最適な手段として、能力測定の分野では最も妥当性が高いアセスメントセンターメソッドを用いた人材アセスメントプログラムを基点に、人事上の重要な意思決定と社員の成長をサポートします。

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