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「しなやかさ」で考える、これからの人と組織の関係性
人的資本の基盤づくりに必要な4つのポイント

  • 土濱 正行氏(株式会社JTBコミュニケーションデザイン HRコンサルティング事業局 シニアコンサルタント)
特別講演 [V-7]2022.12.15 掲載
株式会社JTB講演写真

人的資本経営とは人材の持つ価値を最大限に引き出す経営スタイルだ。それを実現するためには、どのような環境にも対応でき、しなやかさを持った「人と組織」が求められる。しなやかな組織をつくる四つのポイントである「組織力を衰退化させる(ブレーキ)ハラスメント」「原動力(アクセル)となる女性活躍推進」「自律人材の育成」「インナーブランディング」について、株式会社JTBコミュニケーションデザインの土濱正行氏が解説した。

プロフィール
土濱 正行氏(株式会社JTBコミュニケーションデザイン HRコンサルティング事業局 シニアコンサルタント)
土濱 正行 プロフィール写真

(つちはま まさゆき)国内大手不動産・住宅メーカーにて、総務・人事・経理等の責任者としての職務経歴を持ち、教育責任者として社員教育にも従事。その後、関係会社において取締役、代表取締役として会社経営に従事する。営業責任者としても高い実績をあげ、その自身の経験に裏打ちされたプログラムに、顧客から高い評価を得ている。


選択と集中そして決断と実行がより求められる時代に

JTBコミュニケーションデザインは、2016年にコミュニケーション事業の強化のため、JTBグループの4社が統合して誕生した総合プロデュース企業だ。事業はMICE(ミーティング・コンベンション・各種イベント・展示会運営、試験運営、オンラインイベント)、プロモーション、周年事業、組織活性・人材育成、エリアマネジメント、地域活性事業、訪日インバウンド支援、スポーツ・エンタテインメント、デジタルソリューションなどを展開している。

同社の経営理念は「お客様の想いの先を実現するコミュニケーションを創造し、世界の人と社会の躍動する未来をともに拓きます」。事業ドメインは「スペシャリティを集結させ、『人×場所×交流×体験』を創造する」であり、コミュニケーション領域において専門性と総合力を兼ね備えたプロフェッショナルとしてサービスを提供している。

土濱氏はまず、人事や組織に現在求められていることを何かと問いかけた。

「街中に多くの横文字があふれかえっています。あなたは略語を本来の言葉で言えますか。全員が分かる言葉で共通認識をもてる表現が必要ではないでしょうか。風潮に惑わされることなく、本当に必要なものを選択し、判断し、実行することが人と組織に求められていると感じます。そのためには、もっと『しなやか』にならないといけません」

求められるのは、行動の柔軟さと弾力性そして臨機応変であること。また、人の仕草や態度の上品さ、優美さを持ち、人と組織の考え方や対応の柔軟さと多様性と俯瞰(複眼) を持つしなやかさだ。

「外圧や内圧また突然吹く風をうまくかわして、倒れたり折れたりしない、しなやかさを持った『人と組織』が今こそ求められています」

ここで土濱氏は参加者に「『しこう』を表す漢字を思い浮かべてみてください」と問いかけた。

「志向→思考→指向→試行→施行→仕幸→至高・至孝・至幸。この流れを事業に例えると、さまざまなトライをして最後にたどり着くものが『至幸』、皆の幸せであり、ウェルビーイングといえるかもしれません」

次に土濱氏は「会社の戦力、リソースについて考えてみましょう」と語った。

「持っている経営資源から考えることが必要です。社員の方が会社に魅力を感じて自ら投資してくれるような会社とはどんな会社でしょうか。あるいは、経営に必要な縦糸横糸から考えることも必要かもしれません。会社のアクセル、ブレーキとはなんでしょうか」

経営には本来「縄を張り建物をつくる」という意味がある。そこから、転じて現代では「物事を計画的に営む」ことに用いられている。

「まさに『経営』→『計営』→『継営』→『経永』につなげることが大切な時代になっています」

次に土濱氏はここから経営資源について解説した。

「昔はヒト、モノ、カネと言われていました。今ではそこに新たな経営資源として、知恵、情報、時間が加わっています。知恵では女性活躍推進があるかもしれません。情報ではコンプライアンス・ハラスメント防止、時間では時間当たりの付加価値も考えないといけない。経営は時代に合わせる企業活動であり、過去からつながる永続的な活動といえます」

次に土濱氏は「経営における経糸(縦糸)と緯糸(横糸) 」について解説した。ここでいう縦糸とは、糸を通す段階で何のために何を織ろうとしているのかを明確にすることだ。

「経糸は経営理念の実現あるいは部門ミッションの達成、目標達成をするため貫き通すものです。縦糸は切れるとつながらないといいます」

一方、横糸は環境の変化に対応して変えていくものだ。環境の変化にしなやかに適応して時流を捉えた柄を作り出し、ブランドを守り育てることだ。

「糸には絹糸から化学繊維までいろいろなものがあります。皆さまの業種、業界に置き換えることができるかもしれません。あるいは織物の染色、織り方、模様というのは多様性あるいは地域性、生産性、伝統性といったものに置き換えられます。その結果としてできるのが、いろいろな種類の織物です。同じ柄や模様ばかりを織っていると、時代に取り残され、陳腐化してしまいます。これは企業や組織でも同じことがいえるのではないでしょうか。環境の変化に敏感で、迅速に対応することが大切です」

新たな改善、革新、人材育成を怠たっていると、破れや虫食いが出るなど企業や組織の弱体化につながる。常にアンテナを張り巡らせて情報獲得を怠らないことが大切だ。

「働き方改革や女性活躍推進、あるいはDX、SDGs、多様性などに取り込むことにより、企業理念や目的を具現化する側面が縦糸と横糸のしなやかさで絶妙な織り成し となっていきます。それが企業の永続性の根幹になっていきます」

次に土濱氏は、人と組織のしなやかさを生み出す考え方について解説した。

「ビジョンあるいはミッション、理念の共有化を中心として、関係性を強化する。組織として、主体性と貢献意欲を持つメンバーをつくっていく。それが、モチベーションへとつながっていきます。モチベーションが向上することで、自分自身の肯定感あるいは満足感、重要感というものが出てくると考えます」

メンバー一人ひとりの個性や特性を把握するとともに、活躍する場所を提供してパフォーマンスを向上させる。これが今盛んに言われるキャリアプラン、キャリアデザインにつながるっていくと土濱氏はいう。

「主体性、実績、貢献意欲、自己肯定感。こういったものが相まって、人と組織が一体化し、責任を持って業務遂行できる体制ができると考えています」と語った。

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