【産業医・臨床心理士が解説!】コロナ禍で増える休職者を支援し、サステナブルな働き方を実現するポイント
- 山越 志保氏(医師/医学博士/総合内科専門医/呼吸器専門医・指導医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント)
- 荻原 英人氏(ピースマインド株式会社 代表取締役社長)
- 重里 香織氏(ピースマインド株式会社 EAPコンサルタント/公認心理師/臨床心理士)
コロナ禍を経て、近年、メンタルヘルス不調者や休職者が増加傾向にある。どうすれば休職者をスムーズに復帰させられるのか。『健康リモートワーク読本』の著書があり、多くの企業で健康経営支援を行う産業医の山越氏と、ピースマインドの臨床心理士である重里氏が、休職者の「サステナブルな働き方を実現する支援」「休職を繰り返させない支援」について解説した。
(やまこし しほ)都内の病院で内科医として勤務しながら、日本医師会認定産業医・労働 衛生コンサルタントを取得し、産業医業務を開始。これまで、多岐にわたる業種の企業で、産業医業務を担ってきた。現在も、株式会社さくら 事務所を設立し、産業医活動と内科医として診察の双方の業務を行っている。著書『健康リモートワーク読本』他。
(おぎわら ひでと)国際基督教大学卒。1998年メンタルヘルスサービスのピースマインド創業。日本・アジアにおけるEAP(従業員支援プログラム)サービスのパイオニアとして「はたらくをよくする」事業を推進。Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」選出。著書『レジリエンス ビルディング』他。
(じゅうり かおり)臨床心理学の修士課程修了後、精神科・心療内科クリニックにて勤務。その後、産業臨床分野にて10年以上にわたり、個人カウンセリング、企業への訪問カウンセリング、人事・産業保健スタッフへのコンサルテーション、研修講師等、個人と組織、双方へのアプローチを実践している。2018年から現職。
はじめに~コロナ禍における休復職の実態~
ピースマインドは1998年に創業し、日本でEAP(従業員支援プログラム、以下EAP)がまだ知られていない時代から提供を開始した企業だ。同社はアジア地域で国際水準の品質認証「産業医科大学メンタルヘルスサービス機関機能認定」を取得している唯一の民間企業(医療機関を除く)であり、公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、産業カウンセラー、国際EAPコンサルタント(CEAP)、キャリアコンサルタントなどのべ95名の資格保有社員を抱える。
同社は「はたらくをよくする®」を企業ビジョンに、EAP、ストレスチェック・組織サーベイ、各種研修、ハラスメント対策支援、休職・復職者支援、クライシス支援などのサービスを提供。取引企業1400社、対応件数3万2370件/年を数え、うち人事・管理職と連携するケースが40%を占めている。ピースマインドのビジネスのゴールは「はたらく人と組織」の課題解決であり、これまで多くのケースを解決してきた経験が同社の大きな強みとなっている。
講演では、まず荻原氏が「はたらく人のメンタルヘルスの現状」を解説した。厚生労働省の労働安全衛生調査によれば、2021年に連続1ヵ月以上休業もしくは退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%(前年比0.9ポイント増)であり、増加傾向にある。
「この傾向は社員規模が大きくなるほど強くなり、従業員1000人以上の企業では94.0%、500~999人の企業では80.5%、300~499人人以上の企業では69.2%となっています」
また、再休職者の割合をみると、休職者のうち再休職者が占める割合は半数以上の企業の再休職者割合が1~3割にのぼっている(出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職場復帰支援の実態等に関する調査研究より)。
「 ピースマインドのEAP相談窓口に寄せられた直近5年間における休復職相談数の推移で、2018年と2021年を比較すると1.95倍と大きく増加。相談内容をみると『心身の不調』39%、『コミュニケーションの問題』30%で、この二つで7割近くを占める状況にあります」
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