5000人以上の管理職の適性検査傾向から見るパワハラ予防の本質とアプローチ事例
- 平井 俊宏氏(有限会社グローイング 代表取締役/管理職教育用Web適性検査「パワハラ振り返りシート」共同開発者)
パワハラは、いまや労働問題の筆頭格だ。社会的な関心は高く、一度で発生すれば士気の低下、社外からの信頼低下は免れない。パワハラ防止法もすでに成立し、今は施行を待つ状態。相談窓口の開設や、対策研修の準備に奔走している企業も多いだろう。しかしパワハラ対策の研修といっても、なかなか一筋縄にはいかない。正当な業務とパワハラの線引きをどうするかはもちろん、人事部の研修担当者からは「パワハラしそうな人ほど、真剣に研修に参加してくれない」といった悩みの声が聞こえてくる。こうした課題に対し、Webで受けられる手軽な適性検査をベースに、パワハラを他人事ではなく「自分事」だと捉えてもらうためのソリューションが開発・提供しているのが、有限会社グローイングの平井俊宏氏だ。また本講演では、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のコンプライアンス・法務室室長である萩原和之氏がゲストで招かれ、導入企業の生の声も披露された。
(ひらい としひろ)「一体感のある組織づくりで組織と個人の成長に貢献する」をミッションに掲げ、共同開発するWeb適性検査を通じ、パワハラ予防支援、最適配置支援、採用支援に携わる。管理職Web適性検査「パワハラ振り返りシート」は2017年9月にリリース。ワールドビジネスサテライト等、メディアにも取材され注目を浴びている。
パワハラ防止法が公布、企業対応待ったなし
グローイングは、採用/最適配置/研修の際に活用されるWeb適性検査の開発・販売、研修、コンサルティングなどを主力事業としている。企業のミッションには「一体感のある組織づくりで組織と個人の成長に貢献する」を掲げる。
その適性検査の一つの製品として、2017年9月にリリースされたのが、今回の講演で取り上げた「パワハラ振り返りシート」だ。平井氏らがおよそ3年の歳月をかけて開発。受検者数はすでに5000名を超え、2019年末には7000名に達する見込みという。
パワハラは、企業の人事問題のレベルを超え、今や社会問題化している。発生した場合の適切な対応が求められるのはもちろん、それ以上に、発生を未然に防ぐための努力も必要だ。当然、大手企業を中心にパワハラ防止の教育・研修も進んでいる。
「パワハラ行為者と認定された人からは、比較的似た傾向の言葉が出てきます。『多少は厳しかったかもしれないが、成果をあげるためには彼を強く指導する必要があった』『彼の仕事ぶりは本当にひどかったので、私は間違った指導をしていない』『仕事の質は落とせないので、私も必死だった』『そこまで彼を追い込んでいるとは思わなかった』などです。これらに通底するのは、管理者の役割を全うしているつもりで、いつのまにかハラスメント行為を起こしてしまっていること。つまり、パワハラをやっている人ほど、やっていると思っていないのです。この事実は、研修を主導する人事部員にとって、頭の痛い問題です。」
法制面では、通称「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が2019年6月5日に公布された。同法では、パワハラを「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」などと定義。パワハラが常態化しており、行政指導をしても改善が見られない場合は、企業名が公表される。ただし、罰則規定は見送られている。
法律の施行後は、予防や相談対応などの措置が企業に求められる。また事業主だけでなく、働く一人ひとりにも(防止のための)責務が課されるため、管理職以外の一般社員にもパワハラ防止研修を実施する動きが一部にあるという。
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