人的資本を最大限に活かす組織になるために
~EVP経営のすすめ~
- 上山 毅氏(株式会社JTB ビジネスソリューション事業本部 事業推進チーム 事業推進担当部長)
- 木村 亮氏(株式会社Aug Design 代表取締役CEO)
投資家の注目度の高まりから、人的資本の情報開示が注目されている。人的資本は、人財をそれ自体が新たな価値を生むもの、また教育などの投資によって価値が拡大する可能性があると考えるものである。JTBでは人的資本を向上する手法として、「EVP(従業員が実感できる、その企業で働く価値)」に軸足をおいた経営のあり方(EVP経営)を推奨している。EVP経営とはどんなものなのだろうか。
(うえやま たけし)(株)日本交通公社(現JTB)に入社。海外旅行を中心に、法人の様々な課題を解決するツアー・イベント等を企画。その後、グループの福利厚生会社、JTBベネフィットで17年勤務、営業企画~取締役企画開発本部長等を経て、現職。JTBグループのEVP(HR)事業戦略推進・マーケティング・販売促進等を担当。
(きむら りょう)㈱資生堂入社。厚生労働省に出向し女性活躍推進の政策運営に従事。㈱JTBコミュニケーションデザインではモチベーションを軸に多様な組織の組織開発・人財育成を支援。ITベンチャーの組織立上げ、事業責任者、医療法人グループの人事部長を経て現職。人と組織の可能性を拡げる共創型のコンサルティングに取り組んでいる。
組織を取り巻く環境変化が激化する中、人的資本投資への注目度が高まっている
EVP(Employee Value Proposition)とは、「従業員が実感できる、その企業で働く価値」のことだ。JTBグループではEVP経営を支援するためのさまざまなサービス・ソリューションを提供している。
例を挙げると、JTBコミュニケーションデザインでは、25年以上、さまざまな組織で働く人のモチベーションを支援してきたノウハウを活かして、「WILL CANVAS」を開発。これは従業員意識調査をベースにデータ分析に基づいたコンサルティングを行い、組織の改善、評価などの業務を支援するコンサルティング型のHRテクノロジーサービスだ。組織の状態を可視化・数値化したうえで課題分析を行い、解決に向けた具体的な施策を提案している。他にも、JTBが長年にわたり旅行業で培った顧客へのホスピタリティに関するノウハウの提供によって、記憶に残る好感・感動の顧客対応力を身につける支援なども行っている。
講演ではまず、上山氏が人事に関するここ数年のトピックについて解説した。
「2019年4月に働き方改革が義務化され、労働生産性の向上への取り組みがスタートしました。しかし、2020年2月頃にCOVID-19の流行で働き方が変わり、在宅勤務が増加。自分を見つめ直す機会が生じました。その後は、ニューノーマルといった考え方が生まれて今に至ります」
東京都産業労働局によれば、テレワークの普及率は東京で約60%、300人以上の企業では約80%に達している。テレワークのメリットは大きいが、そこには問題もある。
[A-4]「成長し続けるミドルマネジャーを創る人事」~リーダー育成先進企業の共通点とは~
[A]「心理的安全性」の高い組織をつくる
[B]大手企業が実施する人材採用の「新潮流」 データ起点の採用ブランディング・マーケティングの現在と未来
[C]これからの戦略人事は、人の「ココロ」を中心に
[D-2]新ドコモグループの挑戦:社員の自律的キャリアを支援する人材開発のあり方
[D-7]GMOペパボの人事部門が行った、試行錯誤から学ぶ「OKR」とは
[D]人事部門は、さまざまな課題に直面するマネジャーをどう支援すればいいのか
[E]これからのキャリア自律の考え方と実践 ~「9つの命題」と企業に求められる従業員のキャリア支援とは~
[F]企業に新たな価値をもたらす「デジタル人材」 人材不足を乗り越え、採用・育成に成功するポイントとは
[G-5]人的資本を最大限に活かす組織になるために ~EVP経営のすすめ~
[G]「感情」との向き合い方が組織を強くする 誰もがいきいきと働くための職場コミュニケーションと人材マネジメント
[H-4]神戸大 服部准教授登壇。激動の採用市場に適応する「経営戦略に基づいた新卒採用の方法論」
[H-6]これからの人事制度と組織づくりの勝ち筋 ~ジョブ型はどのように定着していくのか~
[H]「やらされ感」を「やりがい」に変える! 従業員が主体的に仕事に取り組むための「ジョブ・クラフティング」
[I]日立製作所の人財マネジメント変革~経営戦略・事業戦略と連動した人財戦略の実行~
[J-2]「大退職時代」におけるサステナブルな給与戦略とは -専門人材の獲得とリテンションに必要な具体的施策
[J-6]発達障害者人材の活用・戦力化によるDX推進 ~当事者に聞き、企業に学ぶ~
[J]違いを価値に変えるダイバーシティ&インクルージョン 先進企業に学ぶイノベーションを起こす組織づくり
[K]脳科学で考える、生産性の高い組織を実現するための「リーダーシップ」と「職場コミュニケーション」
[L]人事パーソンは何を学び、どんなキャリアを描いているのか? 「シン・人事の大研究」調査結果報告 第一弾
[M]パーパス・ドリブンな組織のつくり方 〜発見・共鳴・実装で企業を変革する〜
[N-8]コロナショックを経たZ世代の育成方法 対人基礎力と主体的行動の低下を補う3つのポイントとは
[N]メルカリの事例を通じて考える、これからの「組織開発」
[O-5]何から始める? デジタル時代の人材開発改革! ~グローバルトレンドと日本でとるべきアプローチ~
[O]100年企業カゴメの人事改革から紐解く、「人的資本経営」推進のポイント
[P]キャリア形成の不安解消によるエンゲージメント強化の取り組み ~学びに向かう文化の醸成について考える~
[R-3]次世代選抜リーダーの修羅場経験による部門変革のすゝめ
[R]変化に適応し矛盾を両立するこれからの経営とリーダーのあり方 リーダー育成事例と最新の経営理論で紐解く
[S]従業員エンゲージメント向上の次に考える、組織的課題とは ~ネットワーク組織による未来の組織の可能性~
[T-8]「人的資本の最大化と情報開示」を実現 人事データの戦略的蓄積と活用方法とは?
[T]ビジネスパーソンの学び方改革 主体性と普遍性の高い学びとは
[U-2]ハラスメント無自覚者のリスクをいかに検知し予防するか ~360度評価とAIを活用した本質的な対策~
[V]エンゲージメントを高める組織づくり ~組織を変えていく人事のあり方~
[W-8]大学・大学生の変化を理解することで、これからの新卒採用に先手を打つ
[W]データに基づいた戦略が企業の未来を変える 組織と人材の成長を促す「データドリブン経営」
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