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HRカンファレンストップ >  日本の人事部「HRカンファレンス2019-春-」講演レポート・動画 >  パネルセッション [G] 人生100年時代、企業が取るべきキャリア形成支援戦略とは

人生100年時代、企業が取るべきキャリア形成支援戦略とは

<協賛:株式会社日本マンパワー>
  • 水野 みち氏(株式会社日本マンパワー フェロー)
  • 石川 章泉氏(東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 人事企画部長)
東京パネルセッション [G]2019.06.25 掲載
株式会社日本マンパワー講演写真

人生100年を迎え、キャリアの意味や価値が変化しつつある時代。社員のキャリア形成支援を担う企業にはキャリア観のアップデートが求められている。「グッドキャリア企業アワード2018」大賞を受賞した東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社の事例を参考に、これから企業が取るべきキャリア形成支援の戦略について考察した。

プロフィール
水野 みち氏( 株式会社日本マンパワー フェロー)
水野 みち プロフィール写真

(みずの みち)年間40社以上の企業内のキャリア開発、組織開発、D&I推進に従事。組織の診断をはじめ、対話型の組織開発を推進。国際基督教大学卒業。1995年ペンシルバニア州立大学にてカウンセリングを学び教育学修士取得。組織開発ファシリテーター、NPO日本キャリア開発協会認定スーパーバイザー


石川 章泉氏( 東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 人事企画部長)
石川 章泉 プロフィール写真

(いしかわ しょうせん)1993年入社。
入社後、債券トレーダー、法人営業等の経験を積んだ後、2009年4月より人事業務に従事。
2017年4月に人事企画部副部長、2018年4月に東海東京証券株式会社・人事部副部長に就任し、2019年4月より現職。


水野氏によるプレゼンテーション:
社員と組織が対等の関係でコミュニケーションを取る時代へ

講演写真

最初に登壇した水野氏は、現状におけるキャリアのとらえ方を二つの側面から解説した。

「一つ目は、経験してきた職務内容や経歴、地位、保有資格などのキャリアの客観的な側面である『外的キャリア』です。これは職務経歴書に書き出せるものです。二つ目は、仕事や人生に対する意義・価値観・達成感・幸福感など、キャリアの主観的な側面である『内的キャリア』。自分自身がどんな意味合いを持って人生を歩んでいるのか。内的キャリアはどんどん色合いを変えます。経験は変わらずとも、向き合い方が変わると意味合いも変わっていきます」

今、企業には社員に対するキャリア開発が求められている。その背景にあるのは、企業と個人の関係性の変化だ。ピラミッド型の組織がフラット化し、会社がなんとかしてくれる時代から自己選択の時代へ。会社任せのキャリア形成から、自分のビジョンを自分で描く時代になってきた、と水野氏は語る。

次に水野氏は、リンダ・グラットン氏が著書『ライフシフト』の中で示した、これからの働き方の変化を一部紹介した。一つ目は、80歳まで現役となる時代だ。これはさらに延びていく。二つ目は、新しい職種とスキルの登場。三つ目は、内的キャリアの時代。これからは幸福感でキャリアを選ぶ時代になる。四つ目は、人生のステージが増えること。仕事、家庭、趣味、地域、学びなどに広がっていく。

「五つ目は、変化が当たり前になることです。身近な変化が多岐にわたって起きる時代になりました。では、変化に強い人間になるにはどうすればいいのでしょうか。自分も揺れながら、自ら変化を起こしている人は、変化に強いそうです。一方、『これが絶対正しい』『これが成功の形だ』と一つの型にこだわっていると変化に弱くなると言われています。六つ目は、無形資産の価値が見直されること。友人、ネットワーク、人生のバランス、心身の健康、居場所などの価値が見直されていくでしょう」

では、これからのキャリア形成において重要な要素とは何か。水野氏は、これからは適応していくだけではなく、自分の生み出したい未来の姿を描き、自己を発揮する時代だと語る。つまり、自分のありたい姿は何か、起こしたい未来は何か。それらを、仕事を通して実現する方法を考える時代になりつつあるのではないか。

「社員がキャリアについて考え出すと会社を辞めてしまうのではないか、と心配する経営者も少なくありません。しかし、こうした考え方には違和感を持ちます。何も考えない社員をつくりたいのか、と。社員が辞めるのは、会社に諦めを感じるからです。会社に言ってもムダと思うから辞めてしまう。『寝た子を起こさないように』という発想ではなく、社員のさまざまな声に対して聞く耳をしっかりと持つ会社になることの方が大切なのではないでしょうか。それが、人材育成につながります」

これから個人と会社の関係はどうなっていくのか。水野氏は、社員と組織が対等の関係で互いにコミュニケーションを取る時代になってきているという。

「コミュニケーションを取るという施策が必要で、そのためのツールがキャリア開発になるのではないでしょうか。しかし、いきなり取り組んでも社員にとって大変難しい。これまで自分のことを話す習慣がなかったからです。しっかりと個人が内省し、考え、語れる土壌をキャリア開発のフレームの中につくり、会社にきちんと伝えられるようにすることが重要です」

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