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『第二人事部』構想で人事部門に変革を!
~コストセンターからバリューアップ部門へ~

  • 加藤 直之氏(レジェンダ・コーポレーション株式会社 執行役員 人事・労務支援事業部担当)
東京特別講演 [K-6]2018.12.25 掲載
レジェンダ・コーポレーション株式会社講演写真

人事業務の多くはオペレーションであり、利益を生まない「コストセンター」だといわれてきた。しかし今、人事はその環境を抜け出し、経営視点で改革を行う「バリューアップ部門」へと転換することが求められている。それを実現する一つの方法が、「外部に第二人事部をつくること」だと、レジェンダ・コーポレーションの加藤氏は語る。多くのノウハウを持つアウトソーサーが人事と並走できる形態をつくることで、人事はより大切なコア業務に専念できるのだ。では、第二人事部を実現するには、どのような点がポイントになるのだろうか。

プロフィール
加藤 直之氏( レジェンダ・コーポレーション株式会社 執行役員 人事・労務支援事業部担当)
加藤 直之 プロフィール写真

(かとう なおゆき)北海道大学院修了後、リクルートに入社。多くのITサービス立上げに従事、後にベネッセコーポレーションでIT部門を統括、教育サービスのデジタル化をけん引。2015年レジェンダ入社。人事労務アウトソーシング事業の責任者として「BPO・BPR・人事管理システム」で、顧客に寄り添う「第二人事部」としての新しいアウトソーシングを目指す。


制度・ルールを一旦「断捨離」できないと、企業も人事も変われない

レジェンダ・コーポレーションは、採用・人事・労務のアウトソーシング・コンサルティングを行う企業だ。「人事のNo.1イノベーションドライバー」というビジョンを掲げ、人事部をコア業務にシフトさせるよきパートナーとなるべく、日々活動している。

その一員として企業人事部をサポートする同社・加藤氏は、今、多くの人事部が抱えている課題について話した。

「人事系情報サイトの直近2年のテーマを調査したところ、飛びぬけて多かったのは『イノベーション』『働き方改革』『経営』です。しかし、変わらなければならないと思いながらも、人事は法律改正などの業務に追われ、前向きなアクションが起こせていません。今、人事部には経営視点から多くのことが求められていますが、日々の業務が忙しく、着手できていないのが実状です」

それを示す一例として、加藤氏は取引先企業における人事業務の工数分析結果を紹介した。この企業では、人事のバリューアップつながるコア業務である「企画立案・調整」の時間は全体の2割のみで、「依頼・承認・伝達・事務」といったオペレーション業務が8割を占めていたという。

「皆さんの会社も8割の業務に忙殺されていないでしょうか。どうすればコア業務にシフトできるのか。人事の方と話をすると『人事部員を減らしたい』『いらない業務を減らしたい』などコストカットの話になりがちです。しかし、コストカットとバリューアップは違います。バリューアップとは、ノンコア業務からコア業務にどうシフトしていくのかを考えるものです」

加藤氏は、人事部がコア業務へのシフトを成功させるためには、「現状把握」「明快な目的」「実行力の調達」の三つの鍵が不可欠だと話す。

「まず大切なのが、『現状把握』。企業の支援を行う上で、これが実現できている企業が非常に少ないことを実感しています。人事によくあるのが『ルールはマクロ、運用はミクロ』という図式です。スピード感ある経営判断により急ぎの個別対応が起きがちであり、そういったルールを超えた事例が蓄積されると業務はどんどん属人化します。担当者しか分からない不明なルールだらけになり、手順も可視化されない」

こうした状況が起こっている場合、現行制度の可視化を持続することは難しく、そこにパワーをかけても本質的な改善にならないという。

「現状ありきではなく、制度・ルールを一旦断捨離すべきです。今を知るだけでなく、何を削ってシンプルにするかを考え、フレキシビリティを上げることが求められます」

二つ目の鍵となるのは、「明快な目的」だ。ノンコア業務を減らした結果、生み出されたリソースで実現したいことは何なのか、途中で目的を見失ってしまうことがある。いつの間にか、手段が目的になってしまうのだ。この原因には、ノンコア業務を切り離した移行後の姿が描けていないことがある。目的を明確にし、コミットした上で始めるべきだ、と加藤氏は断言する。

三つ目の鍵は「実行力の調達」だ。

「実際に改革を始めてみると、うまくいかず、挫折してしまうケースが少なくありません。理由の一つが、人事がプロジェクトを丸投げしてしまうこと。人事部にプロジェクトマネジメントの経験者が少ないため、外部や他部署に全てをゆだねてしまうんです。これでは、改革はうまく行きません」

講演写真

加藤氏は、ここである事例を示した。その企業では、人事システムを選ぶ際、プロジェクトマネジャーを情報システム部に任せた。しかし、システムの知識はあっても、やはり人事の知識がなければ選定は難しく、プロジェクトは難航したという。

「このように、いきなりプロジェクトマネジャーを社内で育成しようとしても、なかなか難しいでしょう。普段から外部の人材に目星をつけ、プロジェクトを進める際に活用する必要があります。大事な点は、外部に任せきりにせず、きちんと全体をグリップし、結果にコミットすること。人事として決めるべきものは決め、合目的を第一に考え、またシンプルにすることに注力する。人事がどこまで腹をくくれるかが問われます」

ノンコア業務を担当する「第二人事部」を外部につくる

加藤氏は、信頼できる外部のリソースを「第二人事部」と呼ぶ。第二人事部とは人事部を助け、人事部がコア業務にシフトするためにノンコア部分の業務を行い、自らその改善を行う組織のことだ。人事部と並走し、互いに補完し合う。

「肝心なことは、『第二人事部』が人事部の解決すべき課題を自分事として動き、人事部に不足しているピースを、ナレッジ・テクノロジー・リソースによって支援すること、また、その結果、人事部が確実にコア業務にワークシフトすることです」

では「第二人事部」をどのようにつくるのか。加藤氏は、下記の三つの手法を紹介した。

  • RPAを活用したDigital labor(ロボットによる業務自動化)で、社内のノンコア労働力を作り出す
  • グループ内のノンコア業務を集約したシェアード会社に委託する
  • 外部の信頼できるアウトソーサーをパートナーとして選択する

中でも、最後の「アウトソーサーの選択」には、「ナレッジの蓄積」包括的な対応」など、さまざまなメリットが期待できる。

「アウトソーサーにはさまざまな業界の企業の先行事例、ナレッジの蓄積があります。また、システムソリューションを持つ会社も多く、自前でシステムを持つことなく、人事・労務の事務系作業を継続的に委託していくことが可能です」

講演写真

うまくアウトソーサーを活用できれば、「人事部員のコア業務シフト&バリューアップ」「ノンコア業務従事者の退職リスク・採用育成コストの低減」「ノンコア業務のコスト削減・変動費化」などが期待できる。しかし、こうした効果を生み出すためには、人事部としても気を付けるポイントがあるという。

「アウトソーサーの導入を考える企業が陥りがちなのが、現状維持を優先してしまう、という状況です。例えば、以前ある企業から、『コスト削減を優先したい』が『業務は圧縮しないでほしい』、『働き方のルール変更など、従業員に対する不利益変更のリスクも回避したい』という要望をいただいたことがあります。しかし、何も変えずに改革はできません」

加藤氏は「アウトソーシング側の持つ、ナレッジ、リソース、システムを、人事の皆さんがうまく引き出す形になれば、よい関係が築ける」と語る。まさに、企業の人事部と第二人事部は運命共同体なのだ。

信頼できて頼れるのは、幅広の対応ができるアウトソーサー

アウトソーサーの手法は、大きく二つに分類できる。『水平統合』と『垂直統合』だ。水平統合とは、自社内の特定の業務を切り出し、アウトソーサーがすでに用意している統一化された業務フローに置き換えること。これによって、アウトソーサーの持つノウハウを使い、自社で行うプロセスを減らすことができる。一方で顧客側から見た場合に、顧客の個別事情のプロセスを受け入れてもらいづらく、業務の自由度が下がる。対して、企業ごとの状況を見ながら、柔軟にフローを切り出すのが垂直統合だ。顧客に対して専門のチームを作ることで、そのチームが顧客の業務全てを請け負う形態になる。

「この方法では、A社にはA社専属の第二人事部が付くことになります。そのため、イレギュラーな事例やノウハウも溜まっていく。アウトソーサーを選ぶときは、この水平統合、垂直統合のいずれにあたるかがポイントになります。自社が必要なナレッジ、ソリューション、リソースがあるのかを確認し、幅広く対応してくれるアウトソーサーを選ぶべきです」

最後に加藤氏は、アウトソーサーの活用を実現した企業二社の事例を紹介した。一社目は、大規模な人事制度の改定に向けて、外部のリソースの活用を考えた企業。同社の人事は縦割りの組織で、部署間にどのような関連があるのか把握できていないことが課題だった。

「こうした場合、普段から各組織の業務を熟知するアウトソーサーが、横串を通して組織間の調整をする役割を果たすことができます。組織に入り込み、まずは課題を抽出。それをもとに、新制度の運用業務設計や、システム変更まで実現することができました」

二社目は、それまで行っていた人事のアウトソースをやめて、内部対応に切り替えたケースだ。
「この企業では、経営方針の転換で人事業務を内部で行うことにしたのですが、各プロダクト間の機能制約、連携における制約により、現行の業務がカバーできないことが判明しました。そこで、弊社ではシステム構想を業務視点から考え直し、人事情報マスタを核とした新しいプロダクトを選定。それに合わせて、業務フローも再構築しました」

企業の状況や課題に合わせて、ノウハウを生かして柔軟に対応できるという、垂直統合のアウトソーサーの強みを活かした事例だ。

「これらは、私たちがこれまで請け負ってきたお客様の業務やその志向を熟知しているからこそ、業務・システム利用におけるナレッジを活かせた例といえます。企業の目標を達成させるには、人事がノンコア業務を見直してコア業務にシフトし、バリューアップ部門になることが不可欠です。これからも私たちは、人事部のよきパートナーとして、そのサポートができればと思っています」

講演写真
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