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競争が激化するグローバル市場で勝ち抜く人材とは

  • 坂東 治忠氏(日経FTラーニング 日本代表)
東京特別講演 [B-4]2019.01.22 掲載
日経FTラーニング講演写真

グローバルなビジネス展開が加速する中で、現地で活躍する人財のみならず、国外においても海外取引先との均衡や外国人社員との協働が必須になりつつある昨今、英語でさまざまなビジネス課題を解決できる「グローバルコンピテンシー」を獲得した人財の育成に苦労する日本企業は少なくない。そんな課題に応えるべく、日経FTラーニングが開発したのが、英語力とコンピテンシー形成を一体化して教育するラーニングシステム「Excedo(エクセド)」だ。提供する同社日本代表・坂東治忠氏が、自身が商社時代に経験した海外ビジネスのエピソードも交えつつ、世界で通用するグローバル人財育成のために必要な勘所を解説した。

プロフィール
坂東 治忠氏( 日経FTラーニング 日本代表)
坂東 治忠 プロフィール写真

(ばんどう はるただ)大手総合商社に入社後、大手外資系日本法人代表や数々の外資系IT/ソフトウェアベンダーにおける要職を歴任。 米国タレントマネジメントソリューションの大手コーナーストーンオンデマンド社の日本法人社長を経て、KPMGコンサルティングの人事コンサルティング部門ディレクターに就任。 現職に至る。


グローバルなビジネス環境下で起こる「カルチャーギャップ」

講演の冒頭で「本日は、グローバル市場で勝ち抜く人財を育成するにあたり、実際にどのような点に留意すればよいのか、私の考えを述べさせていただきたい」と、坂東氏は語った。

前提として、日本における外国人労働者は2017年では約127万人というデータがある。さらに、日本企業における外国人役員数も増えており、例として大企業を挙げると、日立製作所では2012年以降、外国人役員が急増。また、武田薬品は2014年から外国人役員が増え、2016年には15人中4名と全体の27%に達している。また、日本企業が外国企業を買収するIN-OUT型のM&Aもかなりの数に上っており、PMI(Post Merger Integration: M&A後の統合プロセス)を特に進めず、そのまま放置している会社も多く見受けられるが、やはりM&Aによりシナジー効果を図って業務を向上するにはPMIを行うことが必須であり、そのためにも日本人社員のグローバル化が必須であると言える。

「人財のグローバル化といっても、企業によってそのステージは異なります。第一段階はドメスティック企業。以前は、輸出入をしている部隊だけ英語ができればよいという、国内オペレーション中心の企業が多かった。しかし、次の段階の海外進出企業、すなわち製造拠点や販売拠点を海外に設けている会社になると、グローバルポジションの需要もかなり増加します。第3段階の多国籍企業になると、すべての機能を現地に置いたまま、現地ビジネスを拡大する放任のため、さらに多くのグローバルポジションが求められます。そして、最終段階がグローバル企業です。真のグローバル企業は、世界企業で機能を分散し、最適化していきます」

ここまで到達すると、外国人社員を日本人が育成する、あるいは日本人社員を現地法人の代表はもとより、海外HRのトップとして送り出すという、さまざまな人財交流をグローバルに行っていく必要が生じる。海外赴任した日本人従業員が外国人上司の下で働くことはすでに珍しくないため、グローバル企業では、英語を公用語にすることも必要になるだろう。ただし、グローバルポジションが一定数に達している企業でないと、せっかく英語を勉強しても生かす機会がなく、あまり意味がない。

講演写真

「グローバルなビジネス環境が進むと、『カルチャーギャップ』に遭遇することになります。日本と諸外国のカルチャーは大きく異なるので、どちらが正しいということはなく、異なるカルチャーをどう受け入れるかが肝要です。例を挙げると、一つはネガティブ評価の伝達方法。はっきりストレートに伝えることを好むか、遠回しに察知してもらえる言い方を選ぶか、これは個人の性格もありますが、国民性によるところも大きい。論理展開についても原則規則に従うのか、実地の応用を重視するのかで異なりますし、リーダーシップのあり方も平等主義的なのか、ヒエラルキー的なのかで違いがみられます。

なかでも、トップダウンか合意形成かといった意思決定については、国柄の差が顕著に表れます。かつて私はイスラエル企業の日本進出を手伝ったことがありますが、イスラエル社会は合意形成が徹底しており、目の前のボスを説得するだけでは全く通用せず、ビジネスにかかわるもの全員が合意形成を行う場を、強引にでも作らなければ物事が一歩も進まないことを学びました。他にも、意見不一致の際のハンドリング、スケジュールのとらえ方などでもカルチャーギャップは発生します」

また、信頼関係の構築も、タスクベースが前提なのか、人間関係がベースなのかにより大きく異なる。人間関係がベースの国では、例えば異動などで新しい社員が来ると、まず歓迎会を行い、宴席などを通じで親しくなろうとする。良好な人間関係を築いて、はじめて仕事が円滑に進むという考え方だ。これに対し、タスクベースの国は順番が逆になり、まず仕事の能力を示して職場の一員として認められたうえで、初めて親しくなることができる。

「日本はご承知の通り、人間関係がベースで、インドや中国、ブラジルも同様です。一方、タスクベースの最たる国はアメリカやオーストラリアだと言われています」

グローバルコミュニケーションの課題を理解するうえで押さえておきたいのが、「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の文化だ。「あ・うん」の呼吸で話が通じる日本はもちろんハイコンテクストの文化圏。対してローコンテクストの文化圏では、すべてを言葉で説明しないと理解してもらえない。

「例えば、『山田さんいますか?』と会社に電話すると、日本では『少々お待ちください』と代わってきますが、ローコンテクストでは『いますけど、何か?』と返ってきてしまう。『こういう用件で山田さんと話がしたいから電話をかけています』とまで言わないとつないでもらえません。ハイコンテクストの最たる例を日本として、次に中国、イギリス、アメリカとだんだんローコンテクスト寄りになっていきますが、エリンメイヤーの書籍によると、日本人の対極にあるのがドイツ系スイス人。弊社にもドイツ系スイス人がいますが、当初は何を話してもなかなか理解してもらえず苦労しました。最近ようやくローコンテクストな話し方のコツがわかるようになり、十分に理解し合えるようになりました」

このように、グローバル化では、さまざまな考えの人と柔軟に対応していくことが求められる。

「こうしたカルチャーギャップが、実際のビジネスシーンにどう影響するか、私が経験した事例からお話しします。一つは海外ベンダーからシステムを導入した例です。バグが発生するたびに対応を依頼するのですが、顧客である日本のSIerが試してみると全く修正されておらず、再び送り返すという事態が何度も起きました。原因は出荷前のテストが非常にラフだったことですが、ベンダーに落ち度の認識はなく、海外と日本ではクオリティに対する考え方が大きく異なっていると痛感しました。これは20年近く前の例ですが、それ以降、さまざまな海外ベンダーを見ても同じような状況です。なかには『客に試してもらえばいい』と平然と言い放つ会社もありました。無駄なことはしたくない、ベンダー側と顧客側で同じテストをするのは二度手間だと考えるのもまた、その国のカルチャーなのです」

そんな国のベンダーと取引するには、日本では品質に対する要求がどれだけ厳しいか、懇切丁寧に粘り強く説明できる能力がまず必要だ。その上で、例えば品質管理プロセスまで変えさせるほど踏み込める、強い交渉力を持った人財が切実に求められている。日本人は海外の人に対して弱腰で、本音ではいろいろと不満があってもなかなか言い出せない傾向がある。「こんな品質では通用しない」「改善する必要がある」と強く訴えたうえで、業務改革を支援できる人財の育成とは、まず英語ができればいいというものではないのだ。

グローバル環境で求められる「グローバルコンピテンシー」

それでは、どのような人財がグローバルビジネスで求められるのか。

「語学、特に英語ができるというスキルは当然のこととして、プラスしていくつかの能力が必要であると言われます。一つ目は、外国人を相手に自分が必要なことを細かく伝え、かつハンドリングできるコミュニケーション力。二つ目は、人種を問わず人に思いやりを持って接し、異文化を受容できるダイバーシティ。三つ目は、ビジネス知識。これは当たり前のようですが、自分がかかわる国のビジネスについては常にアウトプットできるほど十分な業務知識がなくてはなりません。そして最後は、マインドセットです。簡単にあきらめない粘り強い人、また、海外の方と仕事をするといろいろと消耗するものですが、一晩寝たら元気になるくらいの回復力のある人、面立つタフネスを備えた人が必要と言われています。この4点はコンピテンシー(行動特性)に相当します。

しかし、私はこの構造に異を唱えます。なぜなら、『プラス』ではないからです。英語『で』、コンピテンシーを発揮できる人が必要と感じています。事実、英語ができるからと海外に送られた人はすぐに通用しません。もともとの人財の選抜の仕方が間違っているからです。英語ができることと、仕事ができることを別々に考えるのではなく、『英語でこのビジネスができる人はだれか』という観点で人財を選抜しなくてはなりません」

講演写真

そこで着眼すべきが、「グローバルコンピテンシー」だと坂東氏は語る。コンピテンシーとは、高い業績を達成するものに共通して見られる思考や行動の特性だ。

「ここでグローバルコンピテンシーについて考えてみましょう。まずOECD(経済協力開発機構)では、グローバルコンピテンシーを『グローバルで多文化的な課題を批判的に多様な視点から分析する力』、『自己や他者の知覚や判断、考え方にどのような相違があるかを理解する力』、『人間的な尊厳のために、互いに尊敬しながら多様な背景からオープンで適切かつ効果的な他者との相互作用にかかわる力』と定義しています。他にも、有名なものではコンサルティング会社のKozai Groupによる定義があります。グローバルコンピテンシーを『認知・知覚マネジメント力』『関係マネジメント力』『自己マネジメント力』の3面に分類し、それぞれに『偏った判断をしない』『あいまいさへの耐性』『世界主義』『自己認識』『ストレス鈍感力』といった細分化した項目を設定し、これをもとにアセスメントを行っています。

では、これらの定義によるグローバルコンピテンシーを持てば、果たして本当に海外でビジネスができるのでしょうか。私はノーだと思います。いくらこうした力を備えても、海外の人に通用しなければ無意味です。つまり、英語環境において、これらが普通にできることこそが大切だと考えます。ポイントとなるのは、英語力強化のトレーニングと、コンピテンシーのトレーニングは切り離して行うものではないということです。別々に鍛えると英語とビジネスがつながりません。これからは英語環境下でコンピテンシー育成を考えなければいけない時代です」

育成についてはさまざまなアプローチがあるが、まず人財育成は何のためにあるかを考える必要がある。企業においてはビジネスの成功に向けて、人財のパフォーマンスを発揮させるためにある。パフォーマンスとは、すなわち人間の行動だ。したがって「行動」に着目する必要があり、行動というものは、その人の知識や経験やスキル、また内的なモチベーションや資質が作用して起きるものなので、それぞれの要素をきちんと理解したうえでアプローチを考えなければならない。

「もちろん知識と経験、スキルといった要素は、集合研修やe-ラーニングで対応されていることと思いますが、重要なのはパフォーマンスに直結するコンピテンシーをどのように鍛えるかということです。これは行動特性ですので、受け身型学習方法(パッシブ・ラーニング)より、業務に直結した能動的学習方法(アクティブ・ラーニング、またはアクション・ラーニング)を意識して育成を行う必要があると思います。そのために社内制度や企業風土といったさまざまな環境なども変革・整備しながら、モチベーションを刺激することも肝要です」

コンピテンシー強化のために必要な育成において、まず着手することは人財の見える化だと、坂東氏は話す。

「現状を確認し、従業員それぞれが、今どのような状況にあるのかを評価しなければいけません。その評価軸を作るために可能であれば仕事のポジションごとにどんな行動特性が望ましいかを定義したコンピテンシーモデルを導入しても良いでしょう。モデルを使って現実との差を理解した上で、やるべきことを明確にして育成していきます。必要があれば知識を獲得させつつ、アクティブ・ラーニングを行います。具体的には、例えば実際に営業活動に従事させ、その振り返りをしつつ、随所にメンターによるコーチングを施しながらコンピテンシーの変化を見ます。もちろん定着の訓練を行うことも必要です」

グローバルコンピテンシーが発揮できるようなリアルな環境があれば、成長は加速する。例えば、海外現場への赴任や、海外の集合型研修、もしくは海外体験ができるオンラインプログラムなどへの参加だ。そういった場を活かすことで、成長の近道になると坂東氏は話す。

英語でビジネスをリードする人財育成を支援し、真のスキルを身につける教材「Excedo(エクセド)」

最後に、日経FTラーニングが開発した「Excedo(エクセド)」が紹介された。

「グローバルビジネスを行うには、ビデオ会議や電話会議で海外の方を相手に英語でプレゼンしたり議論したりする必要がありますが、ここまでのトレーニングを行うのは大変です。『日本語でならできるのに』という声もあり、そこをカバーする商品を開発しました。アクティブ・ラーニングに重点を置いており、受け身型学習ではなく実際に書き、話し、ロールプレイなどの訓練を繰り返すことによって、英語を介した議論や交渉など、さまざまな行動に結びつけることができます。受け身の学習環境をコンフォートゾーン、いきなり海外の現場に放り込んで鍛える育成をパニックゾーンと呼びますが、私たちはその中間の『ストレッチゾーンラーニング』を提唱しています。コンピテンシー育成と英語教育を一体化することにより、英語でビジネスをリードする人財育成を支援する教材です。興味がございましたらお問い合わせください。ご清聴ありがとうございました」

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