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『コロナで変わった、オンライン研修の一歩先へ』各手法の整理と最新のVR研修とは

  • 島﨑 さくら氏(株式会社 日本HP クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスディベロップメントマネージャー)
特別講演 [H-4]2020.12.15 掲載
株式会社 日本HP講演写真

新型コロナウイルスの影響で大きく変わったのは、働き方だけではない。一つの場所に集まって実施することが常識だった研修にもオンライン化の波が押し寄せ、「学び方」に大きな変化が起きている。とはいえ、オンラインで行う研修ではカバーしきれない領域があったり、受講者をフォローしきれなかったりするのが現実だ。こうした課題に対する解決策として新たな可能性をもたらすのが「VR研修」。本セッションでは、急速に広がるオンライン研修の手法を確認するとともに、既存の方法ではカバーしきれない「学びの体験」を創出するVRの最新事情をインプットした。

プロフィール
島﨑 さくら氏( 株式会社 日本HP クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスディベロップメントマネージャー)
島﨑 さくら プロフィール写真

(しまざき さくら)2007年に株式会社 日本HPに入社。ビジネスデスクトップ/ビジネスノートブックパソコンのプロダクトマネージャーを経て、現在は特にVR/AIなど先端テクノロジーを実現するワークステーションを中心としたビジネス開発を推進。日本HP以前は、営業SEや組織人事コンサルティングなど様々な経験を持つ。


コロナで激変した研修。VRに注目が集まる理由とは

グラフィック性能やディスプレイ技術の向上、高品質なコンテンツの登場などを背景に、VRの活用は新たな局面を迎えている。事実、株式会社日本HPが開発するVRソリューションは、建設・製造・小売・医療・教育など幅広い分野での活用が進む。

2020年には、VRによる企業向け研修コンテンツの制作を行う株式会社エドガと日本HPの共同開発による「Public Speech VR」がリリースされた。これはプレゼンテーションの場面をVR上に再現し、安定稼働とサポートに定評がある日本HPのワークステーションによって、数百人の聴衆が聞いているような臨場感の中でスピーチの練習ができるツールだ。話し手の視線や声の大きさなどを可視化し、振り返ることもできるという。記者会見や説明会などのさまざまな場面を想定し、採用のアセスメントにも活用できる。

つい最近までVRは「未来の道具」というイメージだったかもしれない。しかし2020年現在、VR技術は企業の研修にも活用されるようになり、新型コロナウイルスの影響によって中止や延期を余儀なくされようとしていたプログラムの実施にも光明をもたらしているのだ。

本セッションに登壇した株式会社日本HP クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスディベロップメントマネージャーの島﨑さくら氏は、「コロナによって研修のあり方が大きく変わる中でVRに注目が集まっている」と切り出した。

自分の都合にあわせて、体験を通じたリアルな学びが得られる

セッションの冒頭、島﨑氏は視聴者へのアンケート機能を使って、現在の新入社員研修や階層別研修の状況を聞いた。アンケートの回答選択肢と結果は下記の通り。

(1)すべて集合型研修で実施している……8%
(2)オンライン研修と集合型研修の混合でもれなく実施している……53%
(3)一部オンライン研修で実施し、それ以外は保留している……14%
(4)すべてオンライン研修で実施している……25%

集合型研修のみで行っている企業は1割以下となり、多くの企業では何らかの形でオンライン研修を取り入れていることが分かる。

では、コロナ以降の期間で実際の研修はどのように変わったのか。島﨑氏はまず、費用対効果の観点から従来の研修手法を整理する。

「従来の研修は、少人数実施の体験型で費用が高いものの効果も高かった『個別研修』、現場への負荷がかかる『OJT』、多様なフレームワークなどを学べる『集合型研修』、他の研修より導入コストが抑えられる『eラーニング』がありました。これらは、かかるコストと成果が比例するというシンプルな体系でした」

こうした手法がある中で、以前からVR研修を提案してきたという島﨑氏。「バーチャルな場での実施は、リアルな場で実施する個別研修と比べて効果が未知数ではないか」という反応が多かったという。しかしコロナ以降は、ZoomやTeamsを活用してディスカッションをする研修なども一般化している。一方通行の学びに終始してしまいがちなeラーニングと比べて、研修の種類によっては、より効果が期待できる方法だと言えるかもしれない。

「VR研修ではさらに、体験を通じてリアルな学びを得つつ、eラーニングのように自分の都合にあわせて繰り返し学習ができるというメリットがあります。従業員の出張費や交通費も発生せず、投資対効果も高い。VRがすべてにおいて万能ではありませんが、体験が重要となる研修では有効だと言えるのです」

VRは人事だけでなく、ビジネスフロー全体を変えられる

続けて島﨑氏は「さまざまな業界でVR研修が導入され始めている」と、事例を紹介した。

講演写真

例えば小売業では接客やリスク対応、店舗の棚卸し作業などを学ぶためにVRを活用している。体験を通じて学ぶことが重要だと思われる“ハードクレイマー”への対応も、VRなら本番さながらの高いプレッシャーのもとで練習できるのだ。医療分野でもプレッシャーのかかる救急救命や術式シミュレーションなどで活用され、教育の現場では生物の解剖授業などにも導入されているという。

自動車業界の例では、もともとはCADデータを活用したシミュレーション用途に使われていたVRだったが、今では製品化前の車のデータをモニタリングして製造過程にフィードバックしたり、車をユーザー好みにカスタマイズして試乗体験してもらったりといった応用も行われている。

「本番さながら」という点では、面接トレーニングへの活用も盛んだ。実際に大学の就職支援プログラムで導入されたり、企業における部下との面談トレーニングに活用されたりといった実績もあるのだ。

「人事においても、先進的な実証実験が始まっています。例えば学生向けの説明会で、VRによるコミュニケーションを行う取り組みも進んでいます。欧米では入社試験やOJTのプロセスにVRを活用し、『候補者がどんな場面で、どう判断したのか』を分析して適正を測る企業も増えています」

このようにVRは、ワークフローの一部ではなく、ビジネスフロー全体を変え得る技術となっている。「人事だけで導入することは難しいかもしれないが、全社で共有可能なインフラであることが伝われば、経営側も前向きに判断できるのではないか」と島﨑氏は語る。

さらにVR活用は、未来予測や備えへと広がりを見せている。

「『デジタルツイン』という言葉をご存じでしょうか。物体をそっくりそのままVR空間に再現することを指します。例えば渋谷の街をそのままVRで再現し、休日の渋滞予測や迂回路の可能性を検討する方法として使えるのです。現実世界で行うシミュレーションよりもずっと低コストに、かつ迅速に行えるということで注目を集めています」

2050年に向けては、「人のデジタルツイン」の可能性も検討されている。島﨑氏は「昨今のバーチャルオフィスへ出勤して働く方法はその萌芽」という。欧米では入社時にVR用のヘッドマウントディスプレイとパソコンを貸与する企業も出てきているが、日本でも近い将来、多くの企業が同じ対応をするのではないかと島﨑氏は見ている。

VR導入の手間とコストを大幅に軽減

とはいえ、ビジネスにおいてもワークフローにおいても、VR導入を進めている企業はまだまだ少ないのが現実だ。島﨑氏はVR導入の検討時に立ちはだかる壁について説明する。

「多いのは『どのような機材が必要なのか分からない』という声です。VR研修などで使うコンテンツは専門の制作会社へ発注できますが、そのコンテンツの推奨ハードウェアスペックを確認した上で、機器の選定は自社主導で行う必要があります。また、要件定義の時間と制作費用が予想以上にかかることもネック。『要件定義に半年、予算は1000万円以上かかった』というケースも聞きました」

島﨑氏は、導入時のハードルは以下の3点に集約できると語った。

  • VRに関する知識や経験に基づく判断が求められること
  • 設置や運用に関しての負担が重いこと
  • 予算策定が困難であること

そこで日本HPでは、冒頭で紹介した「Public Speech VR」のスターターパッケージを提供している。すべてのビジネスパーソンに求められるプレゼンスキルなど、普遍的な力が身につくVRトレーニングをパッケージしているため、独自開発に乗り出す手間やコストは大幅に削減できるのだという。

「VRの価値は『没入感』にあります。没入感が高まれば高まるほど、体験を通じた深い学びにつながりやすいと言えるでしょう。そのため、機材を選ぶ際には没入感を高めるリアリティや、没入を妨げない快適さ、そして手軽に導入できるプライスパフォーマンスが重要だと考えています」

VRそのものはスマートフォンからでも閲覧できるが、VR空間を移動したり、ものをつかんだりすることはできない。ヘッドマウントディスプレイを導入しても、VR空間全体の活用や画像処理能力にはどうしても限界がある。そこで日本HPでは、「VR Ready」と呼ばれるスペックの「PC VR用端末」を推奨している。

こうしたハードウェアの整備と同時に、日本HPはVRコンテンツの拡充にも注力している。

「VRの活用には、魅力的なコンテンツが必要不可欠です。そこで当社ではコンテンツ制作やソリューション開発においてVR業界をリードする40社強のパートナーさまと連携する体制を整え、導入をサポートしています」

講演写真

日本にも遅かれ早かれ「VRの波」がやって来る

セッションの終盤では、視聴者から寄せられた質問に島﨑氏が回答した。

研修への可能性を深堀りする内容としては、「単にリアルを代替するだけでなく、VRでなければならない教育研修があるとすれば?」という質問も。

「リアルでは怪我をさせてしまうリスクが高い研修、あるいはリアルではその環境を作れない研修が該当します。例えば工場における火災時の鎮火シミュレーションや、洪水被害時に乗り物から脱出するためのシミュレーションなどがそれにあたります。業務で使う機材を燃やしたり水浸しにしたりすることはできませんが、VRなら一切の心配なく準備できます」

斬新な手法であるがゆえに導入を悩む企業も多いと見られ、「コロナをきっかけに注目されているVRだが、アフターコロナでは不要になるのでは?」という質問もあった。これに対して島﨑氏は「私は不要にはならないと考えている」と即答した。

「ZoomやTeamsによるオンライン研修は確実に定着しています。アフターコロナにおいても、災害対応やBCP(事業継続計画)の観点からインフラの見直しを進める企業が増えていくはずです。VRには、リアルな場に人を集めなくても、オフィスに出勤させなくても効果的なトレーニングやミーティングができるというメリットがあります。この動きは海外を中心に加速していて、遅かれ早かれ日本にも波はやって来るものと考えています」

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