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HRテクノロジーが採用活動を変革する――ヤフー、アクセンチュア、日本アイ・ビー・エムの取り組み事例

<協賛:株式会社ヴォーカーズ>
  • 大森 靖司氏(ヤフー株式会社 コーポレートPD本部 クリエイター人財戦略室長)
  • 佐藤 優介氏(アクセンチュア株式会社 人事部 人事戦略担当)
  • 杉山 慶太氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 人事部 タレント・アクイジション キャリア採用マネージャー)
  • 小杉 俊哉氏(慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任教授)
TECH DAYパネルセッション [TG]2018.06.25 掲載
株式会社ヴォーカーズ講演写真

採用活動には、データで扱えるデジタル化しやすい部分と人間が行うアナログな部分が混在している。そのような状況において、HRテクノロジーをどのように活かせばいいのか。HRテクノロジーを活用した採用を実践するヤフー、アクセンチュア、日本アイ・ビー・エムの担当者が登壇し、人事・組織論を専門とする慶應義塾大学大学院の小杉氏と、これからの採用活動についてディスカッションを行った。

プロフィール
大森 靖司氏( ヤフー株式会社 コーポレートPD本部 クリエイター人財戦略室長)
大森 靖司 プロフィール写真

(おおもり せいじ)慶応義塾大学法学部法律学科卒業。新卒にて人材紹介会社に入社。主として金融業界向けの中途採用支援に従事。その後、Webサービス企業に転職し、100人から2000人規模までの企業成長フェーズでの採用を担当。2014年、ヤフー株式会社に入社し、ポテンシャル、キャリア、グローバル、障がい者などの採用チームリーダーを経験した後、ヤフーの全採用における母集団形成を主導。2018年4月より現職にてクリエイター向けの人事施策の企画に携わる。


佐藤 優介氏( アクセンチュア株式会社 人事部 人事戦略担当)
佐藤 優介 プロフィール写真

(さとう ゆうすけ)秋田県出身。大学時代にベンチャー企業での新規事業立ち上げ、起業を経て、アクセンチュアに戦略コンサルタントとして入社。主に金融機関向けのコンサルティングプロジェクトに従事する。その後コンサルタントの仕事の傍ら、高校生・大学生向けのキャリア教育支援団体である「NPO法人JUKE」を創業し、ジョブシャドウイングの普及に努める。2012年の娘の誕生にともなってNPOの代表を後進に譲り、その後1年間の育児休暇を取得。子育てをしている中で「人材育成に関わりたい」という思いが強くなり、職場復帰の際に人事部に異動。 人事部では中途採用・第二新卒採用担当、新卒採用チームリード(新卒採用責任者)を経て、現在は人事戦略担当としてAccenture Japanの全社的なHR Strategyの立案・実行を推進している。また2018年4月より、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科修士課程に在籍中。


杉山 慶太氏( 日本アイ・ビー・エム株式会社 人事部 タレント・アクイジション キャリア採用マネージャー)
杉山 慶太 プロフィール写真

(すぎやま けいた)大学卒業後、IBMビジネスコンサルティングサービスに入社。クリエイティブに興味を持ちながら仕事にはならず、コンサルタントとしてSAP導入やその海外展開を経験。IBMとの統合を受け、日本IBMおよびグループ会社の新入社員研修を企画・実施。人材の成長や組織開発は「クリエイティブそのものだ」と醍醐味を感じ、2013年からHRコンサルティング部門に異動。クライアントの人事大変革プロジェクトを複数年担当した後、日本IBMとしてキャリア採用を変革する新部門を立ち上げ、想いを胸に人事タレントアクイジションチームへ異動し現職。


小杉 俊哉氏( 慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任教授)
小杉 俊哉 プロフィール写真

(こすぎ としや)早稲田大学法学部卒業。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院修士課程修了。日本電気株式会社、マッキンゼー・アンド・カンパニー インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を経て独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。元立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 客員教授。専門は、人事・組織、キャリア・リーダーシップ開発。著書に、『職業としてのプロ経営者』、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)、『リーダーシップ 3.0―カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)など。


ヤフー 大森氏:アナログ⇔デジタルのサイクルを回す採用へ

「HRテクノロジー×採用とは何だと思いますか」。大森氏の問いかけからプレゼンテーションは始まった。その答えは、面接・面談に代表される選考情報を中心に「アナログ⇔デジタル」のサイクルを回すことだと大森氏は語る。

「この話をすると驚かれますが、私たちは毎朝、面接官全員が集まり、前日に行った面接結果の振り返りを行っています。ヒアリングした内容をテキストで残し、それらを踏まえて、なぜその候補者の方を合格もしくは不合格と判断したのか、理由も含めて面接官それぞれが報告し合います。それによって各々の選考目線を合わせることはもちろん、候補者から得た業界動向などはその後の採用活動にも活かしています」

面談に付随するあらゆる内容はテキスト化され、徹底的に分析される。「選考を通じて得られた情報は、個人知・暗黙知に留めず、可能な限り集合知に変えられるようにしています。毎朝の面接結果の振り返りはそのサイクルを回す仕組みの中心部分ですね」

「例えば、誰が面接官として適切なのか。面接官ごとの最終面接合格率を比較したり、面接官ごとにどういう評価の傾向、癖がありそうかを分析したりしています。また、評価コメントも全てデータ化し、どの面接官がどんな言葉を使って評価しがちか、なども分析しています」

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アクセンチュア 佐藤氏:間違いのないHRテクノロジー導入のステップとは

次に佐藤氏が、HRテクノロジーの導入時に間違いやすいポイントについて解説した。

「HRテクノロジーの導入の目的は業務の効率化と精度の向上です。ただし、導入当初は混乱が起きやすいので、どちらかに目的を絞って実行したほうがいいでしょう。弊社は業務効率化から入り、施策を行いながら精度の向上を図りました」

佐藤氏はHRテクノロジーの導入ステップを「データマネジメント(社内データの整備)→分析(アナリティクス)→最先端HR テクノロジー(各種SaaSサービス/RPA/チャットボット/AI)」と示した。いざ導入となるとすぐサービスベンダーをどこにするかといった話になりがちだが、まずはどんなデータを集め、それをどう整備するかを考えるべきだと語る。

「例えば、何かサーベイを行うだけでも手に入るデータやテキストから多くの示唆が得られます。私は新卒採用を担当したときに、内定者アンケートを1週間ひたすら読んでいました。そこから得られた示唆から、新しい施策を実施して結果を出すことができました」

HRテクノロジーを使った作業の自動化も始めている。昨年、AIのチャットボットを導入、HRに関する問い合わせを自動化した。

「例えば、有給休暇の日数の問い合わせや、取得可能な育児休暇の期間など、AIで回答できる部分は自動化させました」

また、佐藤氏は最後に次のように付け加えた。

「業務効率化といえば最近はRPA(ロボットによる業務の自動化)の導入が挙げられますが、案外エクセルのマクロでもできることはいろいろあります。エクセルの活用も大切なポイントです」

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日本アイ・ビー・エム 杉山氏:リクルーティングからタレント・アクイジションへ

続いて杉山氏が、日本アイ・ビー・エムにおける採用の捉え方の変化について語った。

「採用を英語で言えば、一般的にはリクルーティングですが、IBMではタレント・アクイジション(Talent Acquisition)と呼んでいます。これは今まで点でしかなかった採用活動を線として捉え、人材を長期的にフォローしようというものです。採用以前のマーケティングから開始し、採用が決まった後も社内で活躍してもらえるよう入社後のフォローを行います」

では今、採用チームにはどんなことが求められているのか。杉山氏は「私たち自身がマーケットと積極的に関わることが大事」と語る。

「HRテクノロジーというとすごく難しいイメージがありますが、SNSもテクノロジーであり、私たちはその中でIBMを売り込もうとしています。さらに、社内ではさまざまな採用データを蓄積しており、どんな人に接触すべきか、どんな話し方をすべきかなどの分析を行っています」

一般に採用では応募後の選考が大事と考えられるが、日本アイ・ビー・エムは応募前を重要と捉え、見込み候補をつくるためにCRM(顧客管理)ツールを導入した。

「ツールでブランディングを行ったり、『IBMでは今度こんな記事が出ます、こんなイベントがあります』といった情報発信に力を入れたりしています。米国IBMのデータでは、こういった事前活動で見込み候補が数十パーセント増えたという数字が出ています」

また、同社ではAgile TAという、短距離走のようなスピード重視のダイレクトリクルーティングを行っている。ダイレクトリクルーティングのソーシングチームも新設した。

「KANBANと呼ぶシステムにより、候補者が今採用のどのプロセスにいるかを見える化。採用責任者がポジションの優先順位づけを行い注力領域を明確にした上で、日次でPDCAをまわし、自分たちでヘッドハンティングを行っています」

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質疑応答:HRテクノロジーとアナログ部分をどう共存させるべきか

続いて、会場からの質問に登壇者が答えた。

Q 日本は米国などとは違う雇用文化を持ちますが、採用にテクノロジーを持ち込む際に考慮したことはありましたか。

佐藤:4年前にダイレクトリクルーティングを導入し、そのとき米国側からはリンクトインを使うよう言われました。しかし、私たちは日本ではまだスカウト型の採用は難しいと考え、広告出稿を増やすなどアレンジした活用を行いました。ただし、その時点でスカウトが効くマーケットもありました。海外に住む日本人です。どんどんスカウトを打ち、結果として採用に至るケースも出ました。

杉山:日本と海外では新しいことへの挑戦の度合が違うように思います。例えば、新しいことを行うときに、米国なら「事例はあるか」と聞かれて、「あります」と言うと「ではやめよう」となり、「事例がない」と言うと「ではぜひやろう」となる。それが日本では「事例がない」と言うと「では他社がやるまで待とう」となるのです。新しいテクノロジーを入れる際はその点で気を付ける必要があります。もう一つの違いは、採用候補者における情報量の違いです。日本人は米国の人ほど自己をアピールする文を書かない印象です。その情報量の少なさのために分析しにくい面はあると思います。

大森:導入を検討する際は、国が異なることによる雇用文化の違いというよりも、そもそも企業が異なる点に留意しています。「ヤフーとして、何のためにそのテクノロジーやツールを導入したいのか。そのテクノロジーを通じてどういう採用の世界観を創りたいのか」。その「Why」をしっかり議論したうえで導入が必要かどうかを検討しています。そのテクノロジーを持ち込んだからといって、すぐに自分たちが実現したい採用の状態に近づけるとは限りませんから。

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Q 採用においてAIなどのHRテクノロジーを活用する部分と、人が行うアナログの部分をどのように共存させるべきだと思われますか。

大森:私たち人事は、無意識のうちに何でもかんでも一つのテクノロジー、一つのツールに結び付けたがります。それは、ほかでもない私自身もそうですね。例えば、一人の社員を、採用時のデータからその後の育成のデータ、配置のデータ、報酬のデータ、勤怠のデータなどあらゆる情報、あらゆる角度から解像度高く見られる状態を求めてしまう。ところが、これだとテクノロジーやツールそのものが大きくなり過ぎて、変化に弱くなってしまうんです。もっとスモールに考えて、一つひとつは小さくても、それらのデータを結び付けやすい環境を整えたほうがいい。きっかけとしてはシンプルにエクセルデータで見るということもよいのではないか、と考えています。

杉山:最近実感しているのは、あと5年もすればAIを使うことが当たり前になること。AIがあるからこそ、今ある課題も解決できる世界になっていきます。ただしそうなるまでには、人の気持ちがネックになるかと思います。AIが評価を決めると「なぜAIが」となる。判断はあくまでも人間が行うにせよ、AIを使うことで、「上司の感覚による主観評価」が少なくできるといった、よりよい世界のイメージを伝えていく必要があると思います。

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最後に小杉氏が、採用におけるHRテクノロジー導入の注意点を三点挙げた。一つ目は対象者の特徴だ。

「今日は企業側の話でしたが、もちろん学生や候補者側に立って考えるべき課題もあります。これから対象人材の主流はミレニアル世代になります。今の30代半ばまでの人たちはデジタルネイティブと言われ、情報を自ら検索し得ることが当たり前の世代です。そんな彼らを採用するためには、従来のアナログだけでは対応できないのではないでしょうか。何らかの形でHRテクノロジーを導入せざるを得ないと思います」

二つ目は導入の背景だ。なぜ導入するのか、何のために導入するのかを明確にしておく。そうでなければHRテクノロジーに振り回されると小杉氏は語る。大げさに始める必要はなく、今あるデータから活用していく。どんな企業でも試行錯誤しながら導入を進めている現実がある。

三つ目はいかに現場に人間味をもたらすか。最近はシリコンバレーの企業でも人間味のある職場にすることの大切さが語られているという。

「日本企業でも目標管理制度、残業削減策などさまざまな施策の影響で、職場が殺伐としているところがあります。HRテクノロジーの導入と同時にヒューマンな職場文化を守ることを考えないと手遅れになる。人事にはそのような配慮も求められているのではないでしょうか。本日はそのために参考になる話が聞けたように思います。ありがとうございました」

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