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HRカンファレンストップ >  日本の人事部「HRカンファレンス2018-春-」講演レポート・動画 >  特別セッション [SS-1] 人事パーソンに求められる「マーケティング力」

人事パーソンに求められる「マーケティング力」

  • 有沢 正人氏(カゴメ株式会社 常務執行役員CHO(人事最高責任者))
  • 田中 潤氏(株式会社ぐるなび 執行役員 管理本部部長(人事領域担当))
  • 酒井 穣氏(株式会社 steekstok 代表取締役社長 CEO)
東京特別セッション [SS-1]2018.07.23 掲載
アイ・キュー講演写真

人事パーソンとして成果を上げるための「マーケティング力」が注目されている。「顧客」はもちろん、「人間そのもの」を理解することが求められるという点で、人事とマーケティングには共通する部分があるからだ。本セッションは、人事パーソンがマーケティングを学ぶべき理由を明らかにするとともに、採用・育成・制度などの人事分野にマーケティングの視点をどう取り入れていけばよいのかを、講師によるパネルセッションに加え、参加者全員のディスカッションも交えながら考える場となった。

プロフィール
有沢 正人氏( カゴメ株式会社 常務執行役員CHO(人事最高責任者))
有沢 正人 プロフィール写真

(ありさわ まさと)1984年に協和銀行(現りそな銀行)に入行。 銀行派遣により米国でMBAを取得後、主に人事、経営企画に携わる。2004年にHOYA株式会社に入社。人事担当ディレクターとして全世界のHOYAグループの人事を統括。全世界共通の職務等級制度や評価制度の導入を行う。また委員会設置会社として指名委員会、報酬委員会の事務局長も兼任。グローバルサクセッションプランの導入等を通じて事業部の枠を超えたグローバルな人事制度を構築する。2009年にAIU保険会社に人事担当執行役員として入社。ニューヨークの本社とともに日本独自のジョブグレーディング制度や評価体系を構築する。2012年1月にカゴメ株式会社に特別顧問として入社。カゴメ株式会社の人事面でのグローバル化の統括責任者となり、全世界共通の人事制度の構築を行っている。2012年10月より現職となり、国内だけでなく全世界のカゴメの人事最高責任者となる。


田中 潤氏( 株式会社ぐるなび 執行役員 管理本部部長(人事領域担当))
田中 潤 プロフィール写真

(たなか じゅん)1985年に日清製粉株式会社に入社。業務用小麦粉を食品メーカー等に営業する業務に携わる。30歳前に人事部に異動。持株分社化、シェアードサービスセンター立ち上げ等を経験した後、2005年にナポリピッツァの名店「パルテノペ」を展開する株式会社フレッシュフードサービスに常務取締役として出向。一旦、日清製粉に帰任した後、2009年に株式会社ぐるなびに入社。以降、一貫して人事業務に携わる。また、障害者特例子会社である株式会社ぐるなびサポートアソシエを立ち上げ、兼任で社長を務める。業務外では、日本を学習大国にすることを志す仲間と立ち上げた一般社団法人経営学習研究所にて定期的にワークショップの開催等の活動をするほか、日本キャリアデザイン学会理事、にっぽんお好み焼き協会理事をつとめる。GCDFキャリアカウンセラー。趣味は酒場浴。


酒井 穣氏( 株式会社 steekstok 代表取締役社長 CEO)
酒井 穣 プロフィール写真

(さかい じょう)1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。商社勤務後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、2000年にオランダに移住する。2006年末に各種ウェブ・アプリケーションを開発するベンチャー企業を創業し、最高財務責任者(CFO)としての活動を開始。南米スリナム共和国におけるアウトバウンド・コールセンターのアウトソース、開発リソースの中国とルーマニアからの調達や、オランダ、ドイツ、スイスにてマーケティング戦略を構築。さらに人事制度の構築、採用、人材育成などを担当。2009年4月、オランダを離れ帰国。フリービット株式会社(東証一部)の取締役を経て、株式会社 BOLBOP を創業。2017年、株式会社 BOLBOP の新事業開発部門を分社化する形で株式会社 steekstok を設立し、代表取締役社長 CEO に就任。著書は『はじめての課長の教科書』『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』など多数。


酒井氏によるプレゼンテーション: マーケティングの基本

講演写真

「HRカンファレンスでマーケティングをテーマとするセッションが行われるのは、今日が初めてだそうです。これも世の中の流れでしょう。人事の仕事も大きく変化しているし、もしかしたら人事の仕事自体が危うい、という危機感をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。今日は優れた経験をお持ちのお二人の話を通して、人事に必要なマーケティング力について考えたいと思います」

冒頭のテーマ設定に続いて酒井氏が示したのは、「パンがなければ、ケーキを食べればいいのよ」という有名な言葉だった。フランス革命の中で処刑された王妃マリー・アントワネットの言葉として知られている。しかし、後の研究で、この言葉は彼女が実際に発したものではなく、「革命を推進したい側」がネガティブなイメージを流布するために戦略的につくりあげたものだったことがわかってきた。今でいえば、「フェイクニュース」のようなものだったのだ。

酒井氏はこのような「仕掛けられた側にそうと気づかせずに、自分の思った方向に動かしていく活動」こそがマーケティングの本質であり、怖い部分だという。実際にわれわれは店にいくと、最初は買う気がなかったものまで買っていることがある。それは、巧妙に仕掛けられたマーケティングによって買わされているのかもしれない。

日常の買い物くらいならいいが、マーケティングは時に一国の政治を動かし、国際情勢にまで影響を与える。酒井氏はいくつもの事例を紹介した後に、こうまとめた。

「マーケティングには非常に大きい力があります。従って仕掛ける側にはしっかりした倫理観が求められます。人事である皆様も、採用活動の際に、自社の良いところを強調したりしますよね。逆に採用にとってマイナスになる話はあまりしない。そうしたグレーゾーンの部分にこそ、マーケティングの怖さがあるといえます」

人間に対する理解と、それを具体的な施策に落とし込む理論やテクニックから成り立っているのが、マーケティング。これまでの人事は「人間」については深く研究してきたが、今後はそれに加えて「マーケティングの手法」も理解し、活用していくことが求められる。酒井氏はそう宣言して、最初のプレゼンテーションを締めくくった。

有沢氏によるプレゼンテーション: 経営に資する人事について考える

講演写真

「カゴメでは毎年、エントリーシートを提出してくれた7000人前後の学生さんに、お礼として自社製品の詰め合わせを送っています。エントリーシートの段階でご縁のなかった人も含めて全員に、です。もちろん費用はかかります。でも、その学生さんたちは将来、われわれの『顧客』になります。採用にマーケティング的思考を導入した結果、そのような施策を行ったのです」

有沢氏が紹介したカゴメの施策。参加者に「そこまでやるのか」という大きな驚きを与えたようだった。

有沢氏は人事のプロとしてキャリアを積み上げてきた。カゴメが4社目だ。どの会社でも着任すると、まず部下にマーケティングと財務の基礎を教え込むという。いずれの知識も「経営に資する人事」になる上で不可欠と考えているからだ。

マーケティング的な思考が定着する前には、カゴメでも「人事の顧客は従業員」という考え方が強かった。それも間違いではないが、マーケティング的思考に基づいてより深く考えると、人事にとっても「顧客はエンドユーザー」という答えが導き出されるのだという。有沢氏の話を聞きながら、多くの参加者が「自社はどうだろうか」と考えていたのではないだろうか。

後半は「『ニーズにあった商品をつくる』という考え方では遅い」という話から始まった。

「人事も企業ニーズに合った人材を採用、育成するのでは遅いんです。企業のニーズを超えて、企業にサプライズを与えるような人材を供給することこそが人事の使命。それがマーケティングなんです。そのためには経営や現場を知ることが重要だし、SNSなどのネットワークから情報を取り込んでいく感性も非常に大事です」

まだ表に出ていないニーズを見つける感性がないと、それを満足させる商品も人材もつくり出せない。

「先進企業はどこも『一歩先を行く』ことをやっています」

実例を交えながら、「経営に資する人事」であることの重要性を理解させてくれた有沢氏のプレゼンテーションだった。

田中氏によるプレゼンテーション:人事担当者に求められるマーケティング力

講演写真

「企業の中における人事は『独占経営体』なんです」

田中氏のプレゼンテーションは、思わず「はっ」とさせられる言葉から始まった。近年でこそ少なくなったが、世の中の「独占企業」というと良いイメージがない。田中氏によると、独占経営体は競争がないので「顧客意識」「コスト意識」「品質意識」「マーケティング意識」がなかなか持てないのだという。

では、人事はどうだろうか。従業員にとって「人事部門」は一つしかなく、サービスが悪いと思ってもほかに乗り換えることができない。いくら従業員からの評判が悪くても、また企業業績に貢献していなくても、人事としての仕事がなくなるわけでもない。まさに「独占企業」と同じなのである。

「そのため、人事は自分たちが独占だという認識で、積極的にこの四つの意識(顧客意識、コスト意識、品質意識、マーケティング意識)を持たなくてはいけないと思うのです」

その中でも特に大切なのが「マーケティング意識」だと田中氏は強調する。田中氏は営業経験が長かったので、前職で初めて人事に異動したときにそのマーケティング意識の低さに驚き、改革に取り組んだという。

「ぐるなびには、飲食店とサイト利用者という二種類の顧客がいます。そのことをきちんと意識することができれば、人事も自然と外に向いて開いて仕事ができていきます」

後半は、「採用」「育成」「制度」といった人事業務にマーケティングをどう応用しているのかという具体的な事例紹介があった。ぐるなびの場合、新卒の応募者は90%以上が飲食店でのアルバイト経験者だという。そのターゲットである学生に、自社の強みをどう打ち出しているのかといった話は、ほかの業種の人事にとっても興味深いものだったのではないだろうか。

興味深いといえば、プレゼンテーション用のスライドも独特で、一枚ごとに田中氏が行きつけの「酒場」の写真と、その店の魅力を紹介する一文が添付されていた。語られたのはきわめてまじめな内容でありながら、時折ふと和みの空気が流れるのも田中氏らしい、個性的なプレゼンテーションだった。

パネルセッション:採用・育成・制度に生かすマーケティング

パネルセッションでは、「採用」「育成」「制度」のそれぞれについて、マーケティング的な考え方をどう生かすのがよいのかが話し合われた。

採用に生かすマーケティング

酒井:カゴメではマーケティングをどう採用に生かしているのでしょうか。

有沢:私が着任するまでは非常に保守的な、日本的な採用基準でした。同一性が高く、その価値観を壊してダイバーシティの感覚を取り入れるのに苦労しましたね。現在では、「食に対する興味がある人」という一点で、エントリーシートを絞り込んでいます。この考え方が学生にうまく伝わるように、マーケティングの手法を駆使した情報発信を行っています。

酒井:採用基準を変えることは、企業文化を変えることでもありますね。具体的には何を行ったのでしょうか。

講演写真

有沢:まず、経営陣の意識を変えるところから取り組みました。人事はトップにものを言えないとダメです。このまま変わらないと、グローバル企業には絶対になれないと迫りました。最初に変えたのは役員年俸の仕組み。それまでは横並びだったものを、役員評価制度を導入し、業績連動制にしました。そして、社長をはじめ全役員の年俸をオープンにしたわけです。その結果、「ものを言いやすくなった」という意見が増え、企業文化が変わっていきました。進める上では、個人との対話が重要です。いやというほど面談を行いましたね。「オペレーションしかやってなかった人事が変わった」と見直されるきっかけにもなりました。

酒井:欲しい人材の要件を「食への興味」一点だけに絞れるということは、育成力に自信があるからできることですね。企業文化の変え方も参考になりました。中心=トップから変えることは、集団生活をする人間の特性にあった手法です。ぐるなびではいかがでしょうか。

田中:ぐるなびが採用したい人材は単に「飲食が好きな人」「食べ歩きが趣味」というだけでなく、実際にアルバイト経験があるなど、飲食店そのものへの愛情がある人です。当社は、採用マーケットでは決して強い企業ではありません。そこで、第一志望にしてくれる人を「マーケティング的に探す」ことをやっています。

酒井:やはり人材像が非常にシンプルで明確ですね。具体的には、どんな方法で人材を探すのですか。

田中:他社にはないニッチなルートが三つぐらいあります。一つ目は、取引先の飲食店オーナーさんからご紹介いただくケースが多々あります。アルバイト学生を長い期間見ているオーナーさんの評価は、1時間の面接での評価よりもリアリティーがあります。ただ、制度化してシステム的に行おうとすると、なかなかうまくいかないのが難しいところですが。二つ目は、学園祭実行委員。当社が主催する「学園祭グランプリ」では、首都圏100キャンパスの学園祭実行委員と直のルートを持てています。大学の学園祭はかなり組織的に運営されていますし、学外とのやりとりもあります。その経験は、企業でもかなり生きるので、非常に魅力的な市場です。三つ目は、大学囲碁部からの採用です。全国の囲碁部とのネットワークができているのですが、主にエンジニア志向の学生で優秀な人が多い。自社がダイレクトにリーチできるマーケットを見きわめて、そのセグメントごとに企画を立てていく手法は、採用にはかなり有効だと思います。

酒井:非常に面白いですね。その中で「紹介を仕組み化しようとすると、うまくいかない」という話は、ある意味で非常にマーケティング的だと思いました。マーケティングとは「相手にさとられずに」進めることが重要だという話を冒頭にしましたが、わかってしまうとシラけてしまうということですね。

育成に生かすマーケティング

酒井:さきほど、育成に自信があれば採用要件を減らすことができる、という話をしました。ここからは採用力強化にも通じる、育成とマーケティングの関係について話をお聞きしたいと思います。

有沢:カゴメの新入社員研修は、「もっと食への興味を持ってほしい」という観点から組み立てられています。独特なのは、二日間にわたる「だし汁」の取り方の研修。調理師学校と提携して本格的に行います。また、全社員に「オムライス検定三級」の取得を義務づけています。いずれも食への興味を高め、それを顧客にも伝えられるようになることを目的としています。

酒井:これも興味深いですね。実務に直結した研修ばかりだと、面白くない。合理性だけならAIでも代替がききます。合理性だけではないところに、個性が生まれるんですね。

有沢:また、階層別研修は全廃。代わりの研修は夜間か週末に設定し、個人の希望制にしました。自律的な研修組織にしたわけです。ロジカルシンキング講座などは週末に行っていますが、年次に関係なく多くの社員が受講しています。前回は、定員の5倍の希望者が集まりました。自分のキャリアを自分でつくっていく、という価値観が次第に共有されはじめています。こういう仕組みをつくれるのは、やはり人事だけですね。

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酒井:子どもに「勉強しなさい」と言っても、勉強時間は伸びない。かえって減ることすらある、という実験結果も出ています。それと同じで、研修も強制的に行うと文句ばかりが出ます。自主性に任せることでいい結果につながっている事例ですね。マーケティング的なセオリーで説明すると、さきほどの「だし汁」や「オムライス」の研修は、マーケティングの「3C理論」でいう「顧客が求め、自社にできるが、競合にはできない」部分、つまりスイートスポットにあたります。また、面白い研修を繰り返し行うことで、自社の望む方向に社員の関心を高めていく手法は、「セブンヒッツセオリー」「単純接触効果」(接触回数を増やすと商品が選ばれる確率が高まる、という理論)としても説明できます。カゴメの人材育成は、うまくマーケティングの理論と手法を取り入れていると思いました。

制度に生かすマーケティング

酒井:制度とマーケティングについてはまず、ぐるなびの事例を聞いてみたいと思います。

田中:当社は「制度のメッシュは粗く、運用は柔軟に」という方針です。従業員の大半が中途入社で、職種もさまざま。それぞれに合わせて制度をつくっていたら、大変なことになります。そのため、なるべく細かくなりすぎないように注意し、代わりに現場での運用に柔軟性を持たせるようにしています。育児や介護に関わる人が増えてきて、さまざまな制度をつくりたくなりますが、企業も従業員も日々変わっていくので、つくってしまった制度がボトルネックになって対応できない、という事態になっては本末転倒です。なるべくざっくりした制度にして、あとは個々の話を聞いて最適な運用にしていく。難しいのは、相談する人によって運用が変化してしまう可能性があることですね。ただ、そこはきちんと前例を残しつつ、人事が全体を把握しながら進めていく、ということだと思います。

酒井:人によって運用が変わる可能性があることについては、覚悟も必要ということですね。面談はどうしているのでしょうか。

田中:全員と面談するのは無理なので、問題があるときに、従業員のほうから相談にきてくれる関係を常につくっておくことが大事だと思います。自然と結構な数の面談を実施できています。面談の多さは人事としての勲章だと思っています。

酒井:厚生労働省の調査では、介護の問題が発生していても、会社に伝えていない人が多いようです。やはり相談してもらわないとはじまらないので、そこは注意しないといけない部分ですね。カゴメでは面談はどうされていますか。

有沢:私が着任してから実施するようにしました。そのために「BP(ビジネス・パートナー)」の役割を設け、営業や生産など主要部門のエース級の人材にキャリアコンサルティングの資格を取ってもらって、部門ごとに面談を行う仕組みにしました。これで年間600人くらいは面談できています。やはり対面で話さないとわからないことも多い。面談をしっかり行うようになって、従業員の人事に対する意識も変わりました。「人事はきちんとサポートしてくれる」と思ってもらえるようになった。私も「制度は粗く、運用はきめ細かく」という考え方は同じですね。

酒井:面談の仕組みをしっかり整えているのもすごいですが、キャリアコンサルティングの資格まで取らせるとは驚きました。

有沢:従業員から信望のあついエース級人材に、白羽の矢を立てました。次期役員候補くらいの人ですね。その人にとっても、キャリアコンサルティングの経験は役員になってから生きてくると思うんです。ノルマを設けず、日程も全部任せます。結果的に異動や昇進・昇格を科学的、実証的に行えるようになっていきます。これもマーケティングでしょう。

酒井:まさにそうですね。人事が面談するのもいいのですが、そういう「人から相談されるような人」が自律的に面談してくれる仕組みを作ったところが、マーケティングそのものという感じです。

ディスカッションとまとめ

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パネルセッションを終え、休憩をはさんで、参加者全員による約20分間のディスカッションが行われた。採用、育成、制度などについて自社の成功事例や課題などを共有しあう貴重な時間となった。

最後に有沢氏、田中氏が「これからの人事部はどうなっていくのか」をテーマに、この日のセッションをまとめた。

有沢:悩みはどこも同じだと思います。マーケティングの考え方をいかに組織にビルトインしていくか。その必要性を上司や役員が理解してくれない、といった悩みもあるかもしれませんが、社長や会長と心中するくらいの気持ちで仕事をしてほしいですね。そこで否定されたらその会社はそこまで。勇気と覚悟を持ってほしいと思います。これからの人事にマーケティングは不可欠です。「顧客は誰か」を定義づけして、上に伝え、上をも変えていくことが重要。それが人事の使命です。人事が変わらないと会社は良くなりません。

田中:人事はいろいろな人と出会います。最終的に入社しなかった人とも出会いはある。そういう人たちに何かプラスになるものを残したいですね。当社の若手育成は、経験学習理論に基づいて行っています。若いときに仕事をする習慣を身に付けることは「生きる力」を身に付けること。学びこそが最大のセーフティーネットです。学生向けのセミナーでも、経験学習と意思決定の話をします。自分たちが経験して学んだことが、相手に伝わって成長につながることは大きな喜びです。組織を変えることも重要ですが、個に対しても何ができるか考えていきたいですね。

酒井:今日はとても有意義なお話が聴けました。ありがとうございました。

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