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HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 日本の人事部「HRカンファレンス2016-秋-」  > 特別セッション [SS-3] 「男女それぞれの視点から考える、これからの働き方」

男女それぞれの視点から考える、これからの働き方

  • 石原 直子氏(リクルートワークス研究所 Works編集長)
  • 中根 弓佳氏(サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長)
  • 田中 俊之氏(武蔵大学 社会学部 助教)
2017.01.19 掲載
講演写真

日本企業はこれからの働き方を本気で考えなければならない時期に来ている。ただ、理念は理解できていてもなかなか着手に踏み込めないという声も聞く。そこで、本セッションでは、研究者および実務家三人の登壇者が男女それぞれの視点から「働き方」のトレンドや「働き方改革」のあり方を論じるとともに、参加者同士のディスカッションも交えながら、これからの働き方を実現していく上での課題と対策について考えた。

プロフィール
石原 直子氏( リクルートワークス研究所 Works編集長)
石原 直子 プロフィール写真

(いしはら なおこ)都市銀行、コンサルティング会社を経て2001年7月にリクルートワークス研究所に参画。人材マネジメント領域の研究員として、これまでに女性リーダーの育成、ダイバーシティ&インクルージョン、リーダーシップ開発などの研究にとりくんだ。2015年から研究所の機関誌「Works」の編集長を務める。著書に『女性が活躍する会社』(共著、日経文庫)がある。


中根 弓佳氏( サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長)
中根 弓佳 プロフィール写真

(なかね ゆみか)1999年、慶応義塾大学(法学部法律学科)卒業後、関西の大手エネルギー会社に入社。2001年、サイボウズ株式会社に入社。知財法務部門にて著作権訴訟対応、契約、経営、M&A法務を行った後、人事においても制度策定や採用を中心とした業務に従事。法務部長、事業支援本部副本部長を歴任し、財務経理などを含め、これら全般を担当。2014年 8月より執行役員 事業支援本部長に就任(現任)。


田中 俊之氏( 武蔵大学 社会学部 助教)
田中 俊之 プロフィール写真

(たなか としゆき)武蔵大学社会学部助教、博士(社会学)。1975年、東京都生まれ。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。著書に『男性学の新展開』青弓社、『男がつらいよ―絶望の時代の希望の男性学』KADOKAWA、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』イースト新書、『男が働かない、いいじゃないか!』講談社プラスα新書、小島慶子×田中俊之『不自由な男たち――その生きづらさは、どこから来るのか』祥伝社新書がある。「日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らしている男性学の第一人者。


第一部:「働き方」のトレンドや「働き方改革」に関する理論・実例などの解説&問題提起

第一部は、登壇者三人が男女それぞれの視点・立場から、働き方改革の現状と課題について解説と問題提起を行った。

【プレゼンテーション】男性学の視点からこれからの男女の働き方を考える(田中俊之氏)

最初にファシリテーターの田中氏が、男性学の視点から働き方改革を推進していく上での理念を解説した。男性学は、男性が男性であるがゆえに抱えている問題について考える学問だ。田中氏は、その第一人者として位置づけられている。冒頭、田中氏が提示したのは、日本における「自殺死亡率の推移」。同じ社会にいながらも、男性の自殺する数は女性の2倍以上であり、その事実は男性学のテーマにもなっているという。

「どのような問題があるかを国が調査し、わかったことは、人に悩みを相談するのをはばかる管理職や中高年が多いということでした。彼らの弱音を誰がどう吸収するのかという問題は、女性の活躍推進や働き方改革とセットで論じられなければならないわけですが、そのことにはあまり着目されていません。政府が掲げる第4次男女共同参画基本計画でも、『男性中心型労働慣行等を変革していこう』と書いてはありますが、各企業が具体的に取り組むときにこの計画の文面を読んでもよくわからないと思います」

講演写真

その原因について、田中氏は「男性中心型労働慣行」の定義が不明確だからだと言う。田中氏の分析によると、1日8時間・週40時間が労働基準法の標準時間だが、フルタイムの働き方では、それは最低限に過ぎず、それ以上働くのが普通になっているのが日本企業の現実。時短勤務も育児休暇も許されない状況にある。

「働き方改革は本音と建前がかい離しているのが問題です。建前では、男性の長時間労働を是正しなければならないと叫ばれているものの、本音では、長時間労働が問題とは思われていない現状があります。この本音の部分にどれだけ切り込めるかが今問われているのです」

田中氏はさらに、別のデータも提示した。1980年代後半から2009年までの第一子出産後の女性の就労経歴をまとめたものだ(内閣府『平成28年度版 男女共同参画白書』)。これによると、2000年代後半では出産を機に7割が主婦になっているが、今その割合が急激に変わってきており、どの職場でも対応が難しくなってきているという。

「今までは出産した女性は会社を辞めていきました。そもそも結婚して辞めていく人も一定数いたわけです。その方たちが就労を継続するようになったことは、企業にとって想定外の事態。日本では性別分業を長年続けてきたこともあって、変えるのが難しい状況にあります。加えて、シングルの問題も絡んできます。最新の生涯未婚率データによると、50歳を過ぎた男性の四人に一人は結婚をしていません。長期的なトレンドとして未婚を選択する人が増加しているのは事実であり、これが減ることはないと思われます」

こうした職場環境下で、例えば女性が出産後に時短勤務をしたときに、そのしわ寄せがほかの社員に及ぶことをどう捉えればよいのであろうか。この点に関して、田中氏は社員全員が「積極的寛容」の姿勢を持つ重要性を強調する。「積極的寛容」とは、ピーター・L・バーガーという社会学者が提唱した概念で、「自分とは異なる価値観を持つ個人や集団と出会ったときの純粋な敬意や開放性」を意味している。

「職場でダイバーシティが重要だと言われる現在、さまざまな他者と共に働かなければなりません。そのときに、重要なのは『敬意』と『開放性』。私は特に『敬意』が大切だと考えています。相手の価値観、生き方が自分とは違っていたとしても、敬意を払えるかどうかが重要なのです」

【プレゼンテーション】女性活躍推進と働き方変革(石原直子氏)

次に、パネリストであるリクルートワークス研究所の石原氏が、女性活躍推進と働き方変革について発表した。最初に「女性の活躍推進を進めるための働き方変革は、職場の中にリスペクトしあう雰囲気がないと実現できない」と述べた。

講演写真

「日本以外の多くの国々では、『パートタイムワーカー』の反対は一日に8時間働く『フルタイムワーカー』です。でも、田中先生もおっしゃったように、日本では『フルタイムワーカー』と同じ意味を持つ『正社員』といえば、一日8時間働く人だと思われていません。8時間は最低限。それ以上働くのが当たり前とされているので、正社員というと『オーバータイムワーカー』で、何時間でも働く人を指しているのです。だから、男性でも女性でも『どうして夕方6時を過ぎても働かなくてはいけないんですか』と声を上げる人が日本にはいません。もっと言えば、残業できない人は最低限の義務も果たしていない。特別待遇を受けていると思われてしまうんです。当然、『そういう人たちは自分たちにとって本当の意味での仲間、正式なメンバーではない』という無言の共通理解が職場にまん延してしまいます」

そうした職場では「インクルージョン」が実現されていないと石原氏は強調する。「インクルージョン」とは、日本語に翻訳すると「包摂」や「包含」という言葉になるが、これではあまりイメージがわかない。そこで、石原氏は「インクルージョン」をこう定義した。

「インクルージョンとは、『自分の存在は100%許されている、歓迎されている』とすべての人々が信じられるということです。自分が100%受け入れられているという安心感なくして、人はチームや組織のために100%の力で頑張ることはできません。逆に言えば、100%の力を出せるのは100%存在を許されていると感じている人だけなのです」

組織が多様な人々を受け入れていたとしても、多くのワーキングマザーが「早く帰る人は一軍ではない。あなたのような人がいるせいで、組織の力が低下している、と思われているのでは」と感じながら働いているのが実態だ。この状況が続いている限り、彼女らから、限られた時間のなかで一生懸命働くという気持ちがどんどんしぼんでいくという。

「インクルージョンが実現できていないと、人材が多様になればなるほどその組織は弱くなっていきます。100%の力で組織に貢献しようと思える人が減っているのですから。だから、大切なのはダイバーシティだけではないのです。「D(ダイバーシティ)&I(インクルージョン)」と言われるように、ダイバーシティはインクルージョンとセットで考えるべきです。ワーキングマザーや介護をしている人には、早く帰れるようにと『配慮』がされているとしても、組織内のマジョリティは何時間でも働いている、という職場では絶対にインクルージョンは実現されません。だから、男性の働き方も変わらなければいけないのです。私は女性活躍推進を行うなら、経営者自らが『働き方改革をセットで行う』と言わなくてはいけないし、人事の方々も経営者にその台詞を早く言わせる必要があると思っています。事情のある人に『早く帰っていいですよ』と配慮するだけでは、ダイバーシティが経営価値につながることにはならないのです」

また、石原氏は「生産性」という点からも働き方改革の必要性を語る。長時間働くことをいとわない状況下では、いかに生産性を高めるかが、なおざりになってしまうというのだ。

「女性活躍推進をきっかけに、今までの組織と働き方の常識にとらわれるのではなく、イノベーションを起こしていってほしいのです。男性も女性も早く帰れる。自由に好きなときに休みが取れる。自分のスケジュールを自在に決められる。そんなレベルまでいってもらいたいと願っています。女性が働きやすい職場は男性も働きやすいものです。そして、女性が育つ会社では男性も育つということを理解してください」

【プレゼンテーション】サイボウズが目指すチームワーク(中根弓佳氏)

最後に登壇した、パネリストの中根氏は、サイボウズが取り組んでいる働き方改革について解説した。サイボウズはグループウェア事業を手掛けている会社だ。グループウェアとは、いわば「バーチャルなオフィス環境」。チームで働くときにITツールを用いてコミュニケーションを行うものだ。サイボウズのスローガンは、「チームあるところサイボウズあり」。世界中のチームワーク向上に貢献するとともに、世界一使われるグループウェアのメーカーを目指している。

「私たちがワークスタイルの変革に取り組んだきっかけは、高い離職率でした。2005年には28%まで上昇。当然ながら、人事は採用を積極的に進めたのですが、当時は当社の知名度も低く、かなり苦労しました。結局、採用力のなさ、ブランド力のなさにより、人が集められない。結果として、働き方改革に着手することになりました。より多くの人が、より長く、より成長して働ける環境を、自分たちの力で作ろうと考えたのです」

まず着手したのは理念の再設定であった。何のためにグループウェア事業を行っているのか、どういうことを喜びとして生きているのかを考えていく中、『チームあるところサイボウズあり、チームワークあふれる社会を創る』という新たな企業理念を作り、共有していく。並行してワークスタイルの制度改革もスタートさせている。

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「人事制度については、『100人いれば100通りの働き方があっても良い』という指針がベースになりました。個性に合わせて働き方を自由に選べるようにしたのです。具体的には、まずは働く時間を自由にしました。一般的な働き方にするか、短時間での働き方にするかを本人が選べるようにしたのです。次は、働く場所の選択肢を増やしました。サイボウズはグループウェアを創るメーカーであり、自社でも当然それを使っています。それを活かせば、オフィスに集まる必要はなく、在宅で勤務することもできます。その結果、副業自由化も含めて多様な働き方が実現することになりました。ほかにも最長6年取得可能な育児休暇、退職しても再入社できる『育自分休暇』、市場価値の観点を取り入れた給与制度など、いろいろチャレンジしています」

ただ、働き方の制度をつくるだけでは十分とはいえない。チームを知る、仲間を知る機会やコミュニケーションの場を業務内外で用意することが有効と考え、部活動や誕生日会、部内・社内イベントなどさまざまな行事を開催して多様な働き方とチームワークを支えていったという。さらには、チームワークあふれる社会をつくるためには共通理念を言語化する必要があると考え、「チームワークとは」「自分たちの理想の姿とは」「チームのなかで信頼できる人とは」「大切にしたい考え方とは」を皆で徹底的に議論し、アウトプットしたものを全員で共有していった。

「私たちは働き方を支えるインフラが、三つあると思っています。一つが『制度』です。会社の就業規則や人事評価制度など。ただ、制度をつくるだけではダメです。それらを実現するための『ツール』が二つ目。そして、三つ目は『風土』です。風土を作るためには時間が必要です。私たちは、10年間試行錯誤を続けています。そしてインクルージョンすること、自分と違う価値観を受け入れること。それらを何度も何度も繰り返しメッセージとして伝えていくなかで、少しずつ風土が変わっていきました。ちなみに、チームの理想は何かと改めて考えた時に、私たちが掲げたのは、『チームワークあふれる社会を創る』ことと『チームワークあふれる会社を創る』ことの両立でした。その軸がぶれないように取り組んできました」

こうした取り組みの結果、サイボウズの離職率は4%に低下、また産育休後の復帰率100%、働きがいのある会社ランキング2015で3位などさまざまな面に成果が出ていると中根氏は強調する。

「最も大きかったのは、採用力のアップです。出産を機に職場を離れざるを得なかったが、何かチャンスがあれば仕事をしたい、という女性も含めて、優秀で多様な人材を採用できるようになりました。」

第二部:それぞれのプレゼンテーションを受けてのパネルディスカッション

第二部は、それぞれのプレゼンテーションを受けて、三人によるパネルディスカッションが行われた。

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田中:ここまでのプレゼンテーションでは、石原さんからは「多様性をインクルージョンする必要性」を、中根さんからは「インクルージョンしたことで得られた成果」をお聞きました。お二人それぞれに質問させてください。まず、石原さん、インクルージョンという話が出ても当事者意識を持てない男性社員が多い気がします。どういう認識をお持ちですか。また、彼らに働き方改革を理解してもらうための手立てはありますか。

石原:特に当事者意識を持っていないのは、40代後半から上の男性です。その方々は社内で権力を持っていて、若い頃にがむしゃらに働いたことが評価され、現在のポジションがあるという成功体験を持っています。ただ、もはや時代が変わり、今はそうした言動は通用しない、ということに気付いてもらう必要があります。だから、私は「あなたの成功体験とは別の方法で社員を成長させましょう」と言っています。ただ、やはり60歳近い方々は高度経済成長と自らの成長が重なっているので、どうしてもあのやり方が良かったと固執される傾向が強い気がします。

田中:価値観は20歳までに形成されると言われているので、今から価値観を変えるのは難しいのですが、とにかく、説得し続けるしかないかもしれませんね。また、男性には、「会社に育児の話を持ち込んだら、とんでもないことになるのでは」という意識があります。その殻を打ち破らないのは問題だと思いますが、中根さん、それに関してはどう思われますか。

中根:男性だけでなく女性も作られた概念に捉われている傾向があります。母親像を美化しすぎて、ギャップに苦しんでいるのもそのためです。上司や人事に頼るのはやめて、自分たちで変化を起こしていくべきです。

田中:自分で判断し、行動すべきということですね。ところで、サイボウズの「100人100通りの働き方」には興味を持ちましたが、労力が大変なのではありませんか。また、給料を市場価値で決めるということで、何かデメリットや問題点が生じていませんか。

中根:非常に苦労しています。でも、本来はこうあるべきなのではないでしょうか。全部を人事でやろうとするから大変なので、現場のマネジャーも積極的に巻き込むようにしています。評価制度は試行錯誤を繰り返してきました。結局、市場価値とかい離した給料にすると優秀な人材は流失してしまいますし、採用もできません。また現在の市場では、多様な働き方に応じた市場価値が確立されていません。短時間勤務の方も正当に評価し、活躍してもらうことは社会全体としての課題でしょう。

第三部:グループディスカッション&発表

第三部は、第一部・第二部で登壇者三人が発表・発言した内容に対する感想を共有し、自分たちの会社にはどういう課題があるか、どう働き方改革を進めていきたいかをグループごとに議論を行った。ディスカッション終了後には、各グループから、どのような話が出たかについて発表があり、それらに対して三人からコメントが寄せられた。

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【各グループのディスカッション内容】

<グループ1>
「おっさん」をどう変えるかについて話し合ったり、登壇者の皆さんからアドバイスをいただいたりしました。「エグゼクティブおっさん」を変えないと働き方改革は絶対に成功しないし、「中間管理職おっさん」の悲哀を理解した上で改革をしないと進まないからです。田中先生からは、「女性たちを守るためではなく、自分のためにやる。“自分事化”させることが大切である」との助言をいただきました。また、経営層に決断してもらうときには、「人事が積極的に働きかけて変えました」という満足感は二の次にして、「今自分が決断したので働き方改革を実行する」というようにもっていくことが大切であることも学びました。

<グループ2>
私たちのグループは、女性比率が高い会社が多かったです。議論の中で、「女性の育休取得者は多くても、男性はほぼ皆無」という話が、時代の流れとのかい離を感じ印象的でした。赤ちゃんが生まれたらダイバーシティ担当から男性にも育休を取るよう勧めるメールを送ったり、女性が復職する前や産休に入る前のセミナーに本人やその上司だけでなく、夫にも参加を呼びかけ会社の環境を理解してもらったりするのも一案ではないかという意見が出ていました。また、ワークライフバランスの推進も大切という話になり、社内で標語を募集し、優秀作品を表彰したり、日めくりカレンダーとして社員に配布したりしたという事例を共有しました。いずれにしろ、地道な活動が重要だと痛感しました。

<グループ3>
業界も規模も異なる会社から、さまざまなお話が出ました。突発的にお父さんが子供を迎えに行かなければならなくなったときに、その人の仕事をカバーする人をケアしたり、本人が割り切れる仕組みや制度があったりすると良いという意見もありました。当然、そうした場合に公平性が担保されていないと現場がうるさいとか、マネジャーがやりにくいといった声も聞かれました。それらを進めていくアプローチとして、トップの決断とドラスティックな仕組み、さらには人事の覚悟が必要になるという話もしました。

<グループ4>
頭ではわかっているのに、なぜ変えられないのか。言っていることとやっていることにどうしてこんなにギャップがあるのだろうか。まさに、袋小路にあるというジレンマを皆で共有したという印象です。先ほど中根さんから「制度とツールは知恵とお金があれば作れるが、風土を作るのは難しい」という説明がありました。頭で考えていても進まないので、サイボウズのように試してみることが大切ではと思った次第です。失敗しても、そこから学んでいく姿勢が大事だと痛感しました。

<グループ5>
トップに働き方改革を進めようという意思があっても、現場のマネジャーが総論では賛成だが、各論では「うちでは難しいのでは」とためらう傾向があるという話がありました。また、自社では進めようとしても顧客になかなか理解してもらえず、短期的な業績を下げる要因になってしまうと、どうしても二の足を踏みがちだという話も出ていました。そうした場合は、やはり経営者の腹のくくり方が大切になる気がします。始めたらやめられないということが問題になってなかなか始められない。でも、始めないと何も変わらないとなると、まずは第一歩を踏み出すことが本当に大事だと思えてきます。すぐに変えようとすると壁が高いので何年か経って「変わったね」という姿勢で行くのも良いかと。それぞれの会社に合ったやり方で働き方改革を行うことが課題になりそうです。

<グループ6>
我々のグループでは、働き方改革で実績が出ている会社が一つだけありました。もともと長時間残業が当たり前だったようですが、外国勤務が長かった方が役員に就任され、日本の働き方に問題がある、と指摘されたのがきっかけで、働き方改革に着手したとのことでした。継続的に取り組むために、評価制度を見直したり、管理職研修を行ったりしたという話も聞きました。また、ある外資系企業ではスーパーフレックスを導入している上に裁量労働制を採っていることもあって、ホワイトカラーの生産性は上がっているものの、現場で働くブルーカラーは給料が低く、生活のための残業を余儀なくされているという話も出ていました。最終的に、働き方改革を実行するにはトップやマネジメント層の本気度が大事で、それをエンジンとして、人事が制度面を回していくことが重要だと感じました。

講演写真

最後に、登壇者三人によるまとめのコメントがあり、本セッションは終了した。

田中:私が今回ここに参加して感じたことは、利害関係がない人同士が悩みを共有しあい、それでスッキリされた点もあったのではということです。こういう薄い関係も大事なのではという気がしています。

石原:今日は人事の方が多いので「理念はわかるけど現場はそう簡単に動かない」という指摘も理解できます。ただ、「現場が変わらないから」と人事が言い出したら絶対に変わりません。腹をくくってやり続けることが大切です。働き方改革もダイバーシティも途中で辞めたら禍根を残します。実現できなかったという事実は10年ほど尾を引きます。やると決めたら、そしてやり始めたら地道な作業の繰り返しだと思いますが、ぜひ頑張りましょう。

中根:さまざまな業種、規模の会社が集まっていたと思います。「うちの会社まずいな」と思った方もたくさんいるはずです。自分だけ自社だけで頑張ってもなかなか変えにくい。自社だけで仕事は完結しませんから。業種を越えて手を組んでいくことも大切です。自分の会社を変えることは、世の中を変えることなんだという強い覚悟を持って取り組んでいきましょう。

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