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【先進企業の事例から考える】
採用難の時代に成功する戦略的採用とは?

  • 多田 洋祐氏(株式会社ビズリーチ株式会社ビズリーチ 取締役 キャリアカンパニー カンパニー長)
  • 北島 久嗣氏(ソニー株式会社 人事センター・人事1部 統括部長 兼 採用部 統括部長)
  • 金谷 俊樹氏(ヤフー株式会社 コーポレート統括本部 人財開発本部 人財採用部 部長)
2016.12.27 掲載
株式会社ビズリーチ講演写真

厳しい人材獲得競争の中で、人事はいかにして優秀な人材を確保すればいいのか。いま企業では、人を待つ「守りの採用」から、欲しい人材を主体的に探す「攻めの採用」への転換が図られつつある。近年注目されるダイレクト・リクルーティングなどの新たな採用手法に取り組んでいるソニーとヤフーの事例を元に、成功する戦略的採用について考察した。

プロフィール
多田 洋祐氏(株式会社ビズリーチ 株式会社ビズリーチ 取締役 キャリアカンパニー カンパニー長)
多田 洋祐 プロフィール写真

(ただ ようすけ)2012年、人事部長として株式会社ビズリーチ入社。「ダイレクト・リクルーティング」を実践し、入社時に従業員30人だった組織を4年で500人に拡大させ、それに伴い月商も10倍に成長。現在はキャリア事業のトップとして事業全体を統括し、日本での「ダイレクト・リクルーティング」の本格的な普及に努める。


北島 久嗣氏( ソニー株式会社 人事センター・人事1部 統括部長 兼 採用部 統括部長)
北島 久嗣 プロフィール写真

(きたじま ひさつぐ)1989年、慶應義塾大学卒業後、ソニー株式会社に入社。労務・人事・研修・採用・事業部人事・海外事業所人事を経験。2015年3月、人事センター・人事1部 統括部長に就任し、ソニー本社組織の個別人事、およびリソースマネージメント制度運営を担当。2016年2月より、採用部 統括部長を兼務している。


金谷 俊樹氏( ヤフー株式会社 コーポレート統括本部 人財開発本部 人財採用部 部長)
金谷 俊樹 プロフィール写真

(かなだに としき)建設会社に新卒入社後、経理や人事など主に管理系業務に携わる。2007年、ヤフー株式会社に入社し、人事部門にて採用・育成を中心に人事企画・組織開発・グループ会社人事を担当。2012年よりグループ会社の株式会社GYAOに出向し人事責任者、並行してヤフーで新たな評価制度設計およびバリュー浸透のための研修設計実行など各種施策を企画・実行。2014年からヤフーに帰任し新卒採用責任者、中途採用責任者を経て、2015年より現職。年間数百人の採用全般を統括。


「人の労働寿命50年、企業の寿命20年」が招く未来

ビズリーチでは、即戦力人材と企業をつなぐダイレクト・リクルーティングを実現させた転職サイト「ビズリーチ」を始め、さまざまなインターネットを活用したサービス事業を展開している。同社から取締役 キャリアカンパニー長の多田氏が登壇。本日のテーマである「採用難の時代に成功する戦略的採用とは」について解説した。

「最初に二つの数字をお見せします。50と20。これは何の数字だと思われますか。50は人の労働寿命50年です。本当に長くなりました。20は企業の寿命20年です。個人は労働が長期化し、働き方の多様化が求められ、企業は延命のために変化し続けることが求められています。このような状況もあって、人材獲得競争は激しさを増しています」

それでは、リクルーティングの未来はどうなるのか。多田氏は「これからはHR×テクノロジーの時代。リクルーティングはマーケティングの時代と言われている」と語る。例えば、米国のカンファレンスでは採用のためのマーケティングツールが出品され、また、人材が入社した後の満足度をトラッキングし続けるツールもあるという。そのような中で、日本の人材市場はどうなっていくのか。

「若手を取ろうとしても、母集団が小さいので非常に取りにくい時代になっています。即戦力採用が難しくなりつつある今、私たちビズリーチではダイレクト・リクルーティングを推奨しています。これは企業側が欲しい人材を採ることを主体的に考え、それを能動的に実行していく採用活動です。今日は先進的な採用活動を行うソニー、ヤフーという2社から、採用の実態について話をうかがいたいと思います」

講演写真

北島氏によるプレゼンテーション:「WhatとHowで考える人材採用」

次に北島氏が登壇した。今ソニーではエレクトロニクスの変革を進めており、事業の新領域が大きくなることを見越しながら、獲得する人材を検討している段階だ。

「求めている人材の条件は三つあります。一つは仕事に対するモチベーションあるいはエンゲージメント(貢献意欲)の高い人材。二つ目は目的指向性の高い人材。三つ目はオリジナルマインドを持つ人材です」

ソニーでは一時、経験者採用を中断していたが、2015年10月に再開。現在は三つの手段で経験者採用を行っている。

「その手段として目下取り組んでいるのは、人材サービスとダイレクト・リクルーティング、リファーラル・リクルーティング(縁故採用)の三つです。このなかでも今後は特にダイレクト・リクルーティングに力を入れたいと思っています」

ソニーでは、シニアエンジニアにリクルーターとして入ってもらい、潜在層の掘り起こしを行っている。採用にエンジニアが入ることで、新たな気付きをもたらしているという。具体的には求人データの精緻化だ。例えば、職場から来る求人を見て『この内容で本当にわかるのか』といった指摘を内部的に展開している。

「求人票に、関わる技術テーマが具体的に書かれていないことで、それに当てはまる人材がいても、これまでは応募したいと思う気持ちを導くことができていませんでした。これまでは職場の求人票の情報をそのままサイトに載せていましたが、以降はより精度の高い内容に修正しています」

また、同社はタレントブランドの確立を行っており、今後は求人でも世界で統一した呼びかけを行っていく予定だ。

講演写真

金谷氏によるプレゼンテーション:
「『才能と情熱を解き放つ』を実現する採用へ」

続いて金谷氏が登壇。ヤフーでは近年、社風や風土を改革しようと、評価制度や表彰制度を始め、働きやすくする制度をさまざまに実施している。2012年4月からこれまでに実施した施策は100を超える。

「人事のコンセプトを『才能と情熱を解き放つ』と定め、上司の定義も変えました。上司の役割は、部下が才能と情熱を解き放つためにチャレンジできる環境をつくることです。そのために大変役立った施策が、週1回30分程度、上司と部下が1対1で話をする『1on1ミーティング』でした。私も週10時間は、これに時間を割いています」

制度だけでなく、仕事環境に関しても改革を次々行っている。オフィスは全館フリーアドレス。あえてフロアで人がぶつかるようなレイアウトにし、イノベーションを生みやすくする試みを行っている。

「他にも、社外の方たちと自由にクロスできる場として、広さ1330平方メートルのコワーキングスペースを設けました。身分証明書をお持ちなら、どなたでも入ることができます。また、月5日はオフィスに出社せずに仕事ができる『どこでもオフィス』という制度も導入しています」

変革の波は採用活動にも及ぶ。まず母集団を捉え直すということから、2016年10月以降は新卒一括採用を廃止するという大きな決断を行った。

「これには今後の労働人口の減少に対応し、多様な人材を確保したいとする目的があります。30歳以下であれば経験を問わないポテンシャル採用を新設したことで、今後は本格的な通年採用となりました」

キャリア採用の手法もどんどん変えている。採用の部署はこれまで「新卒」「中途」でチームを分けていたが、今期から「獲得」「選考管理」と役割軸でのチーム構成に変更。また、人の好き嫌いによる判断のムラを無くし、優秀な人材を効率的・効果的に見極めるため、機械によるデジタルジャッジと人の目を生かす選考を組み合わせて行っている。

「現状では現場からの求人があってから人材を探していましたが、このやり方では会社は変わらないと判断し、今後は人事側から良い人材を探し出し、部署に提案することで、会社の成長に貢献したいと考えています」

そのためには潜在層に着目していく必要がある。そこではビズリーチなどのダイレクト・リクルーティングの利用はもちろん、ヤフーを働く場としても再認識してもらう活動にも注力し始めている。

「ヤフーを職場と考えてもらうために、採用のオウンドメディアを立ち上げました。また、ヤフーに興味を持ってもらうために、自社の技術や人材を紹介するイベントを積極的に開催し、アピールを強化しています」

講演写真

ディカッション:「攻めの採用を行うための方策とは」

多田:お二人の話で共通していると感じたのは、攻めの採用に体制を変えられている点です。そのために組織まで変えられる企業は少ないのではないかと思います。まずは、組織変更において苦労された点について教えてください。

北島:先に触れたシニアのリクルーターの人選は、上司に了解を取っていると遅くなるので、ゲリラ的に私が直接口説いていきました。人への関心が高そうな優秀な人材に委嘱している。現時点は兼務という形です。採用業務を、採用部に閉じるのではなく、専門知識のある方に入ってもらうことで、よい人材が集まっています。

金谷:当社の人事は経験が浅い者が多く、「採用はこうあるべき」といった固定観念があまりありません。「こうしたほうがいい、こう変えられる」という発想の人材が多くいたことが、改革の前提にあったと感じています。先ほどの一括採用を止めるという決断は2年がかりで準備しました。徐々に上層部を説得し、獲得チームと選考チームに分けると提示したときも反発はありませんでした。チームメンバーに発表したときのほうが、反発が大きかったですね。まだ2016年10月に編成を変えたばかりで、最初は「自分がどう動けばいいかわからない」「どちらのチームの仕事か判断できない」と現場は混乱しました。しかし、冷静になって、チーム合同での毎週のミーティングを決めるなど、すぐに具体的な活動が始まりました。互いに気付いたことを言い合い、サポートし合う姿が見られます。混乱が成長を生むことを感じているところです。

多田:ここで会場から質問をお受けしましょう。

会場:採用後の育成で工夫されていることはありますか。

北島:新卒には1年間、マンツーマンのチューターを付けています。経験者は同時期に入社した方を同期と考えて、飲み会を開くなど交流を図っています。

金谷:未就業の学卒者は4月と10月に入社しますが、両方に教育メニューを用意することはコストの面からも非効率なので、教育のeラーニング化を進めています。独自技術に関するメニューは新卒と中途の両方に使えるので、共通化できるものはどんどんeラーニング化しています。

会場:インターンシップはどれくらいの期間で行われていますか。

金谷:公募のものは1~2週間実施しています。大学との連携などで共同研究を行うものは半年になるものもあります。ただし、こちらはあくまでも研究実績が目的です。

北島:公募では1週間と2ヵ月のものがあります。2ヵ月のものは主に海外からの学生を受け入れています。それが結果的に採用に結びつく例もありますね。

多田:最後に、今後の採用の方向性についてお聞かせいただけますか。

北島:最近は経験者の質が高くなっている実感があり、この点は力を入れたい。また、募集時には当社の新しい方向性がきちんとアピールできていないこともあり、まだ応募するかどうかを考えていないような人にも、今後はきちんとアプローチしていきたいと考えています。

金谷:私たちは採用でもデータを基準に行動したいと思っています。例えば、面接官がいい面接官かどうかはデータを取ればわかります。いい面接官が何を見ているかを確認し、それを共有化したい。そして、企業として人材のどこを見させるのかを考えながら、その結果をデータに落としていく。採用後は育成局面、評価局面で人がどう変わったかをデータで追います。それらの結果を現場にフィードバックしていきたいと思っています。

多田:本日はありがとうございました。

講演写真
本講演企業

株式会社ビズリーチは、企業が能動的に採用活動を行う「ダイレクト・リクルーティング」を提唱し、プロフェッショナル人材のデータベースの提供を通じた採用支援を主力事業としています。プロフェッショナル人材採用の「ビズリーチ」、若手優秀層採用の「キャリアトレック」の採用支援事業のほか、日本最大級の求人検索エンジン「スタンバイ」、人工知能×ビッグデータの採用管理ツール「ハーモス」などのサービスがあります。

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