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HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 日本の人事部「HRカンファレンス2016-秋-」  > 特別講演 [H-4] 高専(国立理工系)の就職環境と採用手法について

高専(国立理工系)の就職環境と採用手法について

  • 新潟 真也氏(メディア総研株式会社 取締役)
2016.12.21 掲載
メディア総研株式会社講演写真

理系人材の獲得競争が激化する中、近年、全国で57校ある高等専門学校の学生の存在が注目を集めている。彼らは中学卒業時点から専門教育を受けてきた即戦力人材であり、その優秀さにおいても評判は高い。高専生に特化したイベントを展開しているメディア総研株式会社の新潟真也氏が、採用マーケットの現状と採用を成功させる手法について解説した。

プロフィール
新潟 真也氏( メディア総研株式会社 取締役)
新潟 真也 プロフィール写真

(にいがた しんや)新卒採用支援を行うメディア総研で、主に東京エリアの大手企業を担当。メーカーを中心に採用支援企画を提案し、年間200社の採用に携わる。一方で全国の大学等では、就職支援ガイダンスの講師も多数実施。理系人材確保のためのサービスにおける企画責任者を務める。


「明確な将来の目標」のために入学した優秀な学生たち

メディア総研株式会社は福岡に本社を構える就職情報会社であり、理系学生向けの採用イベントの開催や企業の採用支援を行っている。地域企業や学生の課題を解決するため、東京を始めとした全国の都市で採用イベントを行い、この10年は高専生に特化したイベントを展開。高専生のための合同会社説明会などを主催している。

新潟氏はまず、高専がどのような学校なのかを解説した。「高専は全国の都道府県にほぼ1校ずつ設置してあります。学校数は国立51校、公立3校、私立3校。中学卒業後の早い年齢段階から5年間の一貫した専門教育を行い、大学の工学部レベルまでの人材を養成。低年次から専門教育を密度濃く行う点に特徴があります。そのため、卒業した人材は企業から即戦力として高い評価を受けています」

高専生は5年間の本科を終えると短大卒と同じ準学士となる。その後の進路は、就職する者以外は2年間の高専専攻科に進むか、大学の3年次への編入といったルートとなる。

「就職のタイミングは、本科卒業か専攻科修了時点または編入先の大学卒業後となります。大学の編入先の多くは国立大学ですので、その優秀さはおわかりいただけることと思います」

ここで新潟氏は高専生の特徴を五点述べた。「一つ目は、中学卒業の早い段階から5年間の一貫した専門教育を受ける点です。学習する専門科目数は、大学理系の4年間よりも多いと言われています。それだけ、若いときから専門的知識を身に付けているということです」

二つ目の特徴は、理論的な基礎の上に立った実験・実習・実技を重視した実践的な技術教育を受けること。三つ目は、一学科が40人程という少人数制で編成されていること。四つ目は、卒業生に対する求人倍率が非常に高いこと。就職希望者の就職率はほぼ100%だという。五つ目は、本科卒業後は学生の約4割が進学していることだ。

ここで新潟氏は、事前に集めた質問から「学生が高専を選択する理由は何か」に答えた。

「先生方にうかがうと、高専を選択する時点で明確な将来の目標がある学生が大半との回答でした。中にはメリットがある大学編入が目的の学生もいます。一般入試なら国公立大学はほぼ一校しか受けられませんが、編入ならば複数受けることができます。就職環境の良さから選ぶ学生もいます」

また、同社が行った学生アンケートで大学に編入した理由を聞いたところ、「就職後のキャリアを有利にするため」と答えた学生がもっとも多かった。この点でも自身の将来を真剣に考える姿勢がうかがえる。

講演写真

年間6000人の就職者を求め、集まった求人は14万件

次に採用マーケットについての説明があった。直近のデータによると、高専から就職した人数は本科卒業生が5100名、専攻科の修了生が900名で合わせて6000名。

「この人数に対し、企業からの求人は14万件もありました。倍率にすると24倍。大学理系を超える売り手市場になっています。就職業界を見ると半数以上は製造業で、次は情報通信業です」

新潟氏は就職に関して、全国的に見ると学校エリアごとに特徴があると語る。例えば、中部地域の高専生をエリア外に就職させるとはなかなか難しい。なぜなら地元にトヨタなど有力な企業が多数あるからだ。ではどこのエリアなら引っ張りやすいのか。

「例えば、九州の高専生は地元の優秀な生徒が入学し、総じて偏差値が高くなっています。そして就職する割合が高い。地元に有力企業が少ないため、多くの人数が外に出ています。実際、企業からの人気もこのエリアの学生は高い。他地域では東北も人気がありますね」

ここで新潟氏は「学生が企業を選ぶ選択軸を知りたい」という事前質問に回答した。そこにあるのは四つの軸だ。

「一つ目は、その会社に学校のOB、OGがいるか。これは非常に大きな判断材料となります。二つ目は、キャリアパスが明確かどうか。特に専攻科卒は大卒と同じ立場になりますので、大卒と比べて不利にならないかを気にしています。三つ目は、学んだことを生かせるか。四つ目は、インターンシップに参加して興味が持てたか。ほとんどの高専のインターンシップは単位化されています。ただ、現状は受け入れ企業をもっと増やしたいという課題を学校側が抱えています」

「8割が推薦」の学生へのアピールリミットは3月中旬

次に採用手法についての説明があった。本科生の就職スケジュールは一般に「7~9月:インターンシップ参加→9~12月:第1回進路希望調査→1~2月:第2回進路希望調査→3月:合同会社説明会、インターンシップ参加→4月以降:会社説明会、選考、内定」という流れになる。

「高専生のインターンシップを行う企業がそこまで多くないため、実施企業には遠方からも学生が来るそうです。会社で手を挙げて、夏場にインターンシップを実施されるのもよい方法だと思います」

次は企業の募集方法。募集方法には学校推薦と自由応募がある。学校推薦は基本的に1社ずつしか受けられず、辞退はできない。ただし内定は出やすいと言える。自由応募はその逆で、受けるのは自由で辞退も自由だが、一般的な選定となる。

「高専生は大学生に比べて数が少ないこともあり、推薦が多くなっています。学生アンケートでは8割の学生が推薦を受けると回答しました。推薦だと企業の選考回数も少なく、期間も短い。すぐに結論が出る状況にあります。そのため、企業は早めに仕掛けて自社を選んでもらわないと、推薦者を受けることができません」

推薦が多いということは、学生が推薦先を選んだ時点でほとんどの勝負は決まっているということになる。

「時期でいえば春休みに入る前までに、自社が高専生の採用を行っていると学生にしっかり認識してもらう必要があります。そのためには、3月中旬までに学生へのアピールを終えなければなりません」

ここで新潟氏は「やはり大手企業が有利か」という事前質問に回答した。新潟氏は、大手企業はイベントでのブースへの着席数は確かに多いが、だからといってそれがすべて採用に結びついているわけではないと語る。

「課題は、人事が高専生に響く説明ができるかどうかです。そのなかには、制度がしっかりしているかどうかも含まれています。OB、OGがいるなら彼らがどのように働き、どれくらい活躍しているのか、具体的に伝えることが有効です」

高専生採用で企業から聞かれる課題には以下のようなものがある。「直接接触できる機会が少ない」「アクセスが悪い」「地域的こだわりが強いのでは」「求人倍率・レベルが高い」「採用実績がない、あるいは少ない」「面接での印象は大卒のほうがイメージがよい」などだ。

「さまざまな課題はありますが、これらはよくある理系採用における一般課題と同じです。確かに高専採用は大卒採用と比べて特殊で難しさがありますが、特殊だからこそ、ポイントを押さえた対策が重要です」

講演写真

推薦候補に入るため「ひたすら接触し、つながりを作る」

では、困難さもある高専採用をどうすれば成功させられるのか。新潟氏は「母集団形成にしても飛び道具があるわけではない。大卒の採用ツールといえばリクナビやマイナビなどの就職ナビが主流ですが、弊社調べによるとほとんどの学生が就職ナビを利用していないことがわかっています」と語る。

「学校を訪問すること、教員に会うこと、学生とつながりをつくること。いかにつながりを作るかが大切です。推薦が主流だからこそ、学校や教員とのパイプがまったくないとやはり厳しい」

新潟氏は、必ずやってほしいことが二つあると語る。一つは高専の先生に会いに行くことだ。一学科で500~700件もの求人が届くが、その一つひとつの情報を先生が把握することは不可能。そのため、どうしてもOB、OGがいる企業群から薦めるやり方になってしまう。

「推薦候補に入るには、教員に会社の事業内容や働き方を理解してもらう必要があります。教員に理解してもらえて初めて学生に薦めてくれるものです。また、毎年同じ教員が就職担当というわけではないので、足しげく通う必要があります。だから学校訪問は必須です。もう一つやっていただきたいのは、学生との接触の機会を作るということです。その中でも有効なのが、インターンシップの活用です。教員に話を聞くと、学生がインターンシップでその企業に興味を持つケースは多いようですので、実施を検討されるとよいと思います。また他では学年説明会への参加もあります。実施するところが増えており、早いと年内の11月、12月に行うところもあります。学校に問い合わせてみるとよいでしょう」

もちろん、メディア総研が主催する高専生のための合同会社説明会も活用の場となる。「6000名という採用マーケットに対し、私たちのイベントは4000名を集めています。普段会えない高専生に対し、直接採用の話ができる機会で、多くの企業が結果を出しています。また他では、教員とのパイプを活かし、高専教員との交流会イベントも実施しています」

講演の最後には、高専卒人材の定着率の話があり「高専機構の調査によると、入社後5年が経過すると大卒人材と同じ水準で離職していることがわかる。新卒にこだわらないで即戦力として高専卒の中途採用を取り入れることもひとつの考え方だ」として、メディア総研が提供する中途採用サービス「パストル(Passtoool)」の紹介があった。これは転職潜在層の理工系人材にアプローチできるスカウトツールで、高専卒や国立理工系大卒者の人材データベースに対し、検索機能を用いて候補者を探し出し、直接スカウトすることができるサービスである。

サービス担当責任者の岩崎氏は説明する。「登録者層については、男女比は8割が男性です。年齢別では、第二新卒以上の20代が全体の8割。居住地別については、首都圏がもっとも多いのですが、北海道から沖縄まで、地方で在勤中の方も一定数いらっしゃいます」とのことであり、地方に工場を構えるメーカーや、全国に拠点を持つシステム開発会社にとって、必要なサービスとなりそうである。

岩崎氏はこう続ける。「高専生出身の中途採用支援ツールは非常に珍しいものであり、多くのお客様から注目されております。これまで転職市場になかなか上がらない理工系人材に自らアクセスできるダイレクトリクルーティングシステムをご利用いただき、ぜひとも一人でも多くの採用に結び付けられるよう願っております」。

講演写真
本講演企業

日本の次代(みらい)を変えるチカラとなりたい。弊社では、企業の採用ターゲットにマッチした理想的な人材と効率よく出会っていただけるよう、様々な採用支援企画をご用意いたしております。なかでも技術力が評価されている国立高専や国立理系の人材を獲得するための採用イベントや、ダイレクトリクルーティングシステム「Passtoool(パストル)」は理系人材確保にお役立ていただけると考えております。

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