私たちの教育プログラムは、従業員8000名を抱える、ある業界のリーディングカンパニーで採用されています。また、スポーツ業界の上場企業もこのプログラムを導入しています。今日はこのプログラムの基本設計について、皆さまにお伝えしたいと思います。
本日の講演のコンセプトは、組織のOS(オペレーティング・システム)を変えることで自発的人材が増え、組織の業績が上がるエッセンスをつかんでいただくことにあります。研修を行うと人事ご担当者から「研修直後はいいけれど、すぐにモチベーションが下がってしまう」「研修を実施しても必ず効果が出るとは限らない」といった声をよくお聞きします。研修に悩まれている企業は多いですね。
私の友人にゴルフのレッスンプロがいるのですが、「なぜ教える仕事で食べていけるかわかる?」と聞かれたことがあります。その人いわく「生徒が何度教わっても上手になれないからだよ」とのこと。運動生理学的に考えても、週に2回程度のレッスンではなかなかうまくならないんですね。プロはそのことがわかっている。それに、人は一度にたくさん教わっても覚えられない。二つ程度しか実行できません。このように教える仕事には、いろいろな考え方があるものなのです。
これも私の友人の話ですが、日本一と言ってもいい、カイロプラクターがいます。島崎さんという方で、青梅駅から徒歩30分という片田舎に治療院を開いて、1日に40~50人もの人を治療しています。彼は何をやっているかというと、患者にベッドに横になってもらって、頸椎のズレを3次元的に調整してあげています。一般の治療院の売り上げは平均500~600万円ですが、ここではなんと6000万円。彼はこう言います。「多くの人は体の中心は腰だと思っているけど、本当は首なのです」と。首がすべての中心だといいます。
皆さんは足を組むときに、いつもの逆に組むと気持ち悪く感じたりしませんか。これは、すでに体が歪んでいる証拠だそうです。私たちは4キロもある頭を首と背骨で支えています。重いものを持ったとき、どうなるかというと、首は瞬間に傾きませんからまっすぐになります。つまりこれは調整しているわけです。このように一方向の動きを続けることで曲がるのだそうです。彼はそうして患者さんの首を治療することで、根本の治療を行っています。これは、研修も同じことです。一過性の研修はまさに対処療法。本質的にきちんと治したいのなら、根治療法を行うべきなのです。
私たちの研修は事前にどこが悪いのかを見極めたうえで、実施するようにしています。単なるコンテンツビジネスではなく、すべてがカスタマイズできる研修であり、その効果や持続性については、高い評価をいただいています。そもそも研修では、どこを対象に治すべきなのでしょうか。目に見えるものとしては、言葉や行動、態度といった行動変容の部分があります。しかし、それは氷山の一角です。その水面下には考え方やものの見方、心の在り方といった、意識変革の部分があるのです。
それでは、成果が出る研修の条件とは何でしょうか。答えは三つあります。一つは願望に焦点を当てること。二つ目は共同学習の環境。三つ目は継続学習の仕組みです。目新しいものではありませんが、これらは基本となる条件であり、徹底して行うべきです。
アチーブメントが行う研修の理論は、ウイリアム・グラッサー博士の選択理論を応用しています。グラッサー博士はもともと臨床の精神科医で、たくさんのカウンセリングを行っていました。彼はその経験の中で「私たちの悩みの85%は人間関係に起因している」と確信したのです。そして、選択理論という考え方が生まれます。これは、すべての行動は自らの選択であると考える心理学です。ここから、リードマネジメントという理論を応用したプログラムが発展していきました。私たちが紹介しているのも、このリードマネジメントのプログラムです。
リードマネジメントは、ボスマネジメントから移行された方法です。ボスマネジメントとは、恐れや報酬で仕事を進めるもので、「人の動機付けは外側」「相手は変えられる」「自分は正しい、相手は間違っている」と考えます。しかし、リードマネジメントは人間関係を軸とし、「人の動機付けは内側から」「相手は変えられない」「人はそれぞれ違った願望を持っている」と考えることからスタートします。
グラッサー博士は、「私たちには五つの基本的欲求がある」と言っています。私たちは欲求を満たすために行動しているというのです。ここでいう欲求とは満たされていないもので、人、状況、哲学など、形がないイメージです。これらが頭の中の上質世界というスペースに入っていて、ここにはたくさんの願望が存在しています。
五つの欲求のバランスは、人によって異なります。得たいものと得ているものが違うとき、人は創造力を働かせて、それを手に入れようと変化します。研修でも変化を作り出しますが、ここで願望の目的がはっきりしていないと効果がありません。それでは、ここで皆さんの「基本的欲求」を5段階で評価してみましょう。「すごく強い」が5、「やや強い」が4、「ふつう」が3、「弱い」が2、「とても弱い」が1です。研修の最初は自己理解から始まりますから、ここできちんとチェックしてみてください。
次に、実際の研修はどんなスケジュールなのかについてご説明します。以下は例ですが、全体で6ヵ月もの時間をかけます。行動の習慣化なども参加者同士でチェックしながら、変革のプロジェクトを進めていきます。
最後に、現場の実践に落とし込む仕掛けについて見ていきましょう。私たちが考える手順は、以下のようなものです。(1)現象発見(問題・予想される問題)→(2)課題抽出→(3)仮想空間で体験(体験型プログラム)→(4)気づきの誘発→(5)状況・情報の整理、共有化→(6)現場へ落とし込み、原理・原則の学習→(7)改善策プランニング。このようなサイクルを経て、実践場面で活用されていきます。人事の皆さまには、私たちの教育プログラムを、ぜひ一度体験していただきたいと思っています。本日はどうもありがとうございました。