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特別講演[A-1]

即戦力人材を見極める究極の採用戦略
~面接筆記で分からない行動力・影響力の見分け方

高木 謙治氏
アチーブメント株式会社
トレーニング&コンサルティング部 組織変革コンサルティングチーム リーダー兼コンサルタント
高木 謙治氏(たかぎ・けんじ)
プロフィール:大学卒業後、就職情報会社に入社。営業社員1300名中1位の成績を収めトップ営業マンとして活躍。その後、ベンチャー企業で採用コンサルティング事業立ち上げ経験を経て、アチーブメント株式会社に入社。組織変革・採用コンサルティングの担当実績は、社員3名のベンチャー企業から1部上場企業まで年間50社を超える。

見極めようと意識すると見極めはできない!?

弊社の新卒採用の倍率は、1750倍です。「まるでアナウンサー採用のようだね」などとよく言われますが、そうではありません。説明会や選考の様子をYoutubeなどで公開し、意識的に口コミを広げているので、人数がたくさん集まるんです。エントリーで、2万4000人くらい。そこからギュッと絞りこむわけですが、個別面接なんてできるわけがありません、何しろ社員100名足らずの小さな会社ですから。面接はもちろん大事ですが、弊社には面接よりも学生の質――もっといえば “本質”を見抜く技術があります。本日は「面接筆記ではわからない行動力・影響力の見分け方」のポイントについて、ご説明していきたいと思います。

高木氏/講演 photo新卒採用では、さまざまな選考手法が用いられます。筆記試験から個別面接、集団面接、グループワーク、そしてインターンシップまで。参考までに、皆さまの会社では、どの手法を採り入れていらっしゃいますか?恐縮ですが、挙手をお願いいたします。なるほど、一番多かったのはやはり個別面接ですね。学生一人ひとりとじっくり向き合い、見極めるという意味では、たしかに一定の効果はあるでしょう。ただ現実には、面接官それぞれの価値観やその日の気分、体調などによって評価はばらつきやすいし、優秀な学生の後に普通の学生をみると実際以上に印象が辛くなるなど、比較によるばらつきも出たりして、けっこう難しいものです。評価方法としては決して完全、完璧とはいえません。

そもそも面接さえすれば、目の前の学生のポテンシャルや行動特性がわかるか、あるいは未来が見通せるかというと疑問ですよね。弊社では、選考を8次まで行っていますが、その選考フローの中で面接は役員面接だけです。その前までの選考フローの中に面接は組み込んでいません。では、どうするのでしょうか。弊社では、独自のグループワークを通じて、学生を見極めています。

私たちが考える見極めとは、真のマッチングが図れるかどうか、この一点に尽きます。採用というのは、とにかく会社と人材とのマッチング。一方が求めても、もう一方が違うと思ったらダメなんですね。だから何よりもマッチングを優先し、そこから逆算して選考を設計していかなければなりません。

講演資料そこでお手元の用紙(図表1)を使って、自社の採用を振り返ってみましょう。まず横軸に御社の選考フローを書き込みます。そしてプロセスごとに「理解」「動機づけ」「見極め」の三つの目的でいうと、何にどれくらいの比率で重点を置いているか、加算して10になるように重みづけをしてください。点数が書き込めたら、「理解」「動機づけ」「見極め」の比率をそれぞれ横に合計しましょう。「見極め」の方が圧倒的に多いようですね。私がお会いする経営者や人事担当者の方々も、ほとんどそうです。みなさん、見極めを重視されている。良い悪いじゃなくて、そういう傾向があるのです。しかし、ちょっと考えてみてください。人は、いま自分は見極められているとわかる環境下で、本来のパフォーマンスを発揮できるでしょうか。私たちが見極めたい人材の本質は、その人がわくわくキラキラ輝いている状況でしか見極められないのではないでしょうか。

行動特性を判断するための四つのステップとは

一方で、時代は即戦力を求めています。これは、可能性や成長性といった人材の目に見えない部分を面接や筆記で洞察しようとする従来の見極めから、目に見える「行動」を重視し、行動特性から判断していく新しい見極めへの変化を意味しています。口で言っていることや頭で考えていること、心で願っていることではなくて、いま現在できること、やっていること、そういう実質の部分で人を選ぶ採用が必要になってきたというわけです。

行動特性を見ることのメリットの第一は、行動は急に取り繕えないということです。たとえば私が気配りのある人材を欲しいと思ったら、いま会場内を歩いて、何気なくこのペットボトルを落とせばいい。「落ちましたよ」と言って拾ってくださった方は気配り力があります。行動で示したわけですから。落としたと思っても動けない、行動にまで踏み切れないという方は意外と多いし、そういう部分を取り繕うのは難しい。また、その人の言動や態度が周囲にどんなインパクトを与えるか。組織やチームへの影響力を見極めるには、集団のなかで行動させると分かりやすいんですね。行動で判断することの第2のメリットです。さらに人は、独りきりで動くか、集団で動くかでも、パフォーマンスが違ってきます。採用で知りたいのは当然後者ですから、これもグループワークで行動特性を見極めることのメリットのひとつに挙げられます。

弊社では「行動特性を判断するための四つのステップ」を開発し、自社の採用でも実践していますので、これに沿って具体的な選考の流れやポイントをまとめていきましょう。

(1)求める人材像を明確にする

弊社ではまず国語辞典から人間の能力や資質に関する言葉をすべてピックアップ、MECEになるように1010ワードを抽出しました。既存のコンピテンシーモデルや経済産業省が提唱する社会人基礎力の概念(「考え抜く力」「前に踏み出す力」「チームで働く力」)なども参考にしつつ、その1010ワードをグルーピングしたところ、求める人材像として「思考力」「行動力」「影響力」という三つの能力が浮かび上がりました。

(2)求める能力を深掘りして行動特性を明確にする

求める能力を具体化させる場合、ハイパフォーマーの共通点に注目するのがふつうですが、弊社はそれだけでなく、「定着している社員」「組織にいい影響を与えている社員」「成長している社員」はどんな行動をとっているのか、成果以外の軸も加えて行動特性を探ることを提案しています。

(3)行動特性が浮き彫りになる状況を考える

たとえば先程例に出した「気配り力」を具体的な行動特性に落とし込むとしたら、どういう状況が考えられるでしょうか。答えは簡単です。みなさんがこの後、近くの方同士で仲よくなって焼き肉を食べに行ったとしましょう。会食が始まって2時間ほど経った頃に私が現れて、「この中で一番気配り力があると思う人を一斉に指差してください」とお願いしたら、たいてい同じ方に集まるんです。なぜかというと、その人は焼き肉を食べた2時間の間、無意識に気配りを「行動」として表していたからです。肉を焼いたり、サラダをとり分けたり、タレを継ぎ足したり……。決してお互いに相手の気配り力を見極めようなんて思っていません。でも、一緒に何かを体験すればたいていわかります。人間にはそういう判断力が備わっていますから。だからこそ、見極めを一切排除したグループワークが有効なんです。求める能力を行動としてどう引き出すのか、そこを設計していくわけです。

(4)“素”の状態を創りだすための仕掛けを用意する

弊社が開発したグループワークの一例としては、何人かで紙コップを使ってひたすら長い仕切りを作るというものがあります。これは「影響力」を見るプログラム。「本当!?」とか「ありえない」といったネガティブな反応を見せるタイプか、逆に「とにかくやろう!」と率先して動くタイプか、そういう部分が一目瞭然なんですね。またいくつもの違うミッションを次々と増やしていって、その状況下で学生たちがとった行動から「並列思考」を見極めるというプログラムもあります。

高木氏/講演 photoグループワークで大切なのは、「見極めを排除しながら正確に見極めていくこと」です。そのためには、学生たちを“素”の状態にする仕掛けが欠かせません。日常とは違う世界観を設計し、しかも心理学的に学生が欲求充足するような、満たされる環境をそこに創り出すことです。弊社の選考では、学生にとにかく楽しんでほしいと伝え、まるでディズニーランドにでも来たかのようなプログラムを織り込みながら盛り上がっています。仕掛けにうまくハマった学生は本領を発揮しますし、ハマらなければハマらないで、学生は落ちても納得がいきます。要は、こちらが求める人材だけに火が付けばいい。求める人材が求める能力をのびのびと発揮できる選考であればいいんです。それが真のマッチングを図るということですから。本日の講演の内容を、今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。本日はありがとうございました。

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