私たちアゴス・ジャパンは、海外の大学や大学院への進学・留学を目指す人たちのために、TOEFL®・GMAT®・GRE®・TOEIC®などの留学に必要なテスト対策や、出願時に要求されるレジュメ・エッセイ・インタビューなどの指導を行うことで、合格までをサポートする留学準備指導校です。
留学準備指導においては海外トップ校への圧倒的な合格実績を誇り、企業・学校法人の方々から高い評価をいただいております。また、グローバル人材育成ニーズの高まりを受け、現在ではTOEIC®やビジネス英語などの指導も実施しています。当校がこのように必ずしも留学目的ではない英語支援を行なっているのは、グローバル社会において必須スキルとなったコミュニケーション英語の指導でも、是非そのお役に立ちたいと考えているからに他なりません。
先日、当校では各企業の人事ご担当者様を対象に、「英語研修の実施状況」というアンケート調査(回答数132社)を行いました。また同時に当校の社会人受講生を対象に、自身が在籍している企業の英語研修の状況や彼らが望む研修の形態を把握すべく、同様の調査(回答数112名)を実施しました。企業側と学習者側それぞれの、研修に求める内容の違いなどの検証を目的としたためです。
さらに今回は当調査結果に基づいて、実際に当校で指導している講師陣からの意見も含め、「企業側」「学習者側」「指導者側」という三様の立場から内容をまとめてみました。調査結果には母数が十分でない項目もありますが、実際のコメントを通じて、それぞれの立場が求めているニーズの概要については参考にしていただけると思います。
まず、企業側に行った調査において、「英語研修を実施している企業(全体の33%)」からの回答では、研修対象の人数は100名未満と答えた企業が全体の8割。予算規模も300万円未満が全体の約7割でしたので、今回の調査対象の中では、予算をかけて大人数に実施している企業は、それほど多くはないことがわかります。
また、費用負担については「全額費用負担(50%)」「一部費用負担(38%)」という結果から、9割近くの企業が何らかの形で費用を負担していました。研修形態については、「ネイティブ講師派遣(40%)」「日本人講師派遣(19%)」と、講師を呼んで研修を実施している企業が多いようです。「研修内容」としては、「英会話」「ビジネスメール・ライティング」「ミーティングスキル」など実践的な研修を実施している企業が多い結果からも、ネイティブ講師の需要が高い理由が納得できます。また、クラス人数も10名以下という企業が全体の85%にのぼり、より講師とのコミュニケーション比率を高めたい意向のあることがわかりました。
また、「まだ英語研修を実施していない企業」において、「導入するならオンライン研修」と回答した企業が3割近くあり、既に研修を実施済みの企業への調査結果に比べ、オンライン研修への関心の高いことが特徴的でした。
「学習者側が望む研修と企業側の意向との間に相違はないのか?」という点が最大の関心事でしたが、「研修形式」や「研修期間」においてはほぼ共通した回答が得られました。
例えば、「英語研修を実施している」企業からの「研修形式」に対する回答は、4割が「ネイティブ講師による指導を実施中」でしたが、学習者側もまったく同様に、4割が「ネイティブ講師」を希望。また、「研修期間」に関しても、実施済企業と同様に学習者側も半数以上が3ヵ月以上の研修を希望していることがわかりました。
逆に、相違点も見受けられます。費用負担については、企業側の「全額費用負担(50%)」「一部費用負担(38%)」という回答に対し、学習者側からは「一部費用負担なら参加したい(66%)」「全額費用負担なら参加したい(15%)」との回答が多く、必ずしも全額費用負担を望んでいるわけではない傾向が見られました。
また、企業側が実施している「研修内容」は「英会話全般(37%)」が最も多い回答でしたが、学習者側からは、「英会話全般(18%)」のみならず、「ビジネスメールやライティング(17%)」「プレゼンテーション(17%)」「ネゴシエーション(18%)」という回答結果となり、実社会において具体的に必要なスキルを身に付けたい意向が浮かび上がりました。
今回の調査では、各企業が抱える「英語研修」に関する問題点と理想の形、学習者側にも同様に、改善すべきと思われる点や研修の理想像をお聞きしました。率直な意見をお聞きするため、フリーコメントの形でお答えいただきましたので、多かった回答をグルーピングしながらご紹介したいと思います。
企業側が苦労した点として挙げたコメントをまとめると、「受講生の動機付けとモチベーションの維持(20%)」が最も多く、以下は「受講生の出席率」「業務との兼ね合いによるスケジュール調整」「受講生の英語レベルの違いによるカリキュラム設定」が続いています。それに対し、学習者側から回答を得た「改善すべき点」では、「期間が短い」「ネイティブ講師との会話レッスン量が少ない」「レベルにばらつきがある」「参加者のモチベーションが低い」などの意見が寄せられました。「モチベーション」は、企業側・学習者側双方が共通して抱えている課題のようです。
また企業側・学習者側が考える「理想の英語研修」に関しては、それぞれの異なる立場から貴重なコメントを得ることができました。企業側からは「社員の自発性に基づく研修」を求める声が最も多く、課題点として抱える「動機づけ・モチベーション」を何とか解決したいという意向がうかがえます。一方、学習者側から寄せられたコメントでは、「実践的(実務ですぐに使える内容)」、「少人数でネイティブとの会話に重点を置いたカリキュラム」など、ネイティブ講師との会話レッスン量や実務に直結したスキルを重視している傾向が見受けられました。
今回のアンケート結果を踏まえ、当校としては指導する立場=講師側から、「英語研修を検討する上の重要事項」として、「英語力レベルと目的の明確化」と「学習者の動機づけとモチベーションの維持」という二つのポイントに着目しました。英語レベルや目的がうまく合致していない、学習者のモチベーションが続かないという状況では学習効果は半減してしまいます。そう簡単に解決できる問題ではありませんが、講師側の立場として以下のとおり考察してみました。
各社員のニーズにあった研修内容、すなわち業務につながった役立つ内容を学ぶことは、学習モチベーションの維持への影響が少なくありません。しかし、現実にはクラスの選択肢が少なく、レベルや目的に合わない研修の受講を余儀なくされるケースも多いため、モチベーション維持にうまくつながらないケースが多いようです。事前に英語力を判断して効率よくクラス分けできることが理想ですが、設定できるクラスにも限りがあるため、多様化できないケースも多いと思います。レベル格差を補うためのe-ラーニング教材の効果的な活用、またはレベル別に発注する英語研修会社(学校)を分けるという策もあり得ると思います。多様化する学習者のレベルや目的を合理的に設定し、日常業務への連動性を考慮した上で学習者のモチベーションを効果的に持続させる工夫が重要であることは間違いありません。
この「学習者のモチベーション」は、まさに企業側が問題点として抱えている部分ですので、もう少し掘り下げてみたいと思います。
まずは「ゴール設定の明確化」です。例えば、「より短いスパンでの目標」を設定されてみてはいかがでしょうか。当校でもTOEIC®などの英語試験で高得点を目指す受講生に対しては、最終目標点数はもちろんのこと、「〇月までに△点を取る」というできるだけ細かいマイルストーンの設定をアドバイスしています。テストの点数が最終目的でなかったとしても、点数が明確に算出される試験を活用することは、企業側が効果測定に使えるだけでなく、学習者本人が各自の学習進捗を励みにできるメリットが大きいと考えています。
また、「学習計画の立て方」ですが、自分の理解よりも「少し上」のレベルを勉強することによって学習効果を高める「i + 1 (i plus one)」というコンセプトを考慮されることをお勧めいたします。南カリフォルニア大学教授で言語学者のStephen Krashen氏は、第二言語を効果的に学ぶプロセスで大切なことは、学習者にとって決して簡単すぎず難しすぎず、「今よりもちょっと上のレベル」を学習していくことだと述べています。この「i + 1」の「i」はインプットのiで、「+1」というのは、そのインプットよりもちょっと上のレベルを表しています。この考え方は、学習者のモチベーションにも直結しています。内容が簡単すぎても難しすぎても、「やる気」をそがれる結果となります。
講師の立場からすれば、受講生のモチベーションを維持させるために授業内でできる工夫も多々あります。例えば、学習者間のコミュニケーションを強めるためのグループワークの活用もその一つです。グループワークによって他部署から参加しているスタッフと知り合うチャンスが生まれ、その結果として社内人脈が拡がりモチベーションアップにつながったという話もお聞きします。
また、長期間の受講を望む声が企業側・学習者双方から聞かれましたが、単に長いだけではモチベーションダウンにつながってしまう危険性もあります。そのため、授業一回あたりの時間数や密度・開講頻度について工夫が必要です。さらに講師側の視点から見れば、授業内で積極的に生徒を指名して発言させることで一定の緊張感を保つこと、また良かった部分はきちんと評価してあげることなど、授業にメリハリをつけることも「モチベーション維持」に欠かせない大切な要素であると考えています。
私たちアゴス・ジャパンは進学・留学、すなわち「合格」を目指す方のための準備校ですので、通常の英語学校以上に短期間で明確な成果が問われます。その確実な成果を出すための「モチベーション」を維持させるため、当校の講師たちは日々、さまざまな工夫を試みています。
「モチベーション」については、各企業内でできる工夫も多々あると考えています。「上司や同僚に目標を公言することで自分を追い込む」「上司からの積極的な『声かけ』」「社内でのTOEIC® IPテストなどの定期的な実施」「会社の雰囲気づくり、会社が英語研修に力を入れているというメッセージ」といった施策は効果が大きいと考えています。
また、アンケートの結果において、「一部負担でも参加したい」という回答が「全額負担なら参加したい」を大きく上回っていた結果を見ても、「全額費用負担」が必ずしも社員のモチベーションにつながるわけではなさそうです。企業側が理想とする「社員の自発性に基づく研修」を実現させるため、自発性(モチベーション)につながるような負担割合を再考してみる価値もあると思います。
本日は「グローバル時代の英語研修のあるべき姿とは?」と題し、理想の英語研修についてお話しして参りましたが、当校でも実践型の「本当に使えるビジネス英語」習得のお手伝いをさせていただいております。本アンケート結果、もしくは英語研修そのものに関するご相談があれば、ご遠慮なくお問い合わせください。本日はありがとうございました。