2017/01/24基礎、石山洸、リクルートホールディングス
- 石山 洸さん(イシヤマ コウ)
- 株式会社リクルートホールディングス Recruit Institute of Technology 推進室 室長
リクルートのAI研究所 Recruit Institute of Technology 推進室 室長。大学院在学中に修士2年間で18本の論文を書き、アラン・ケイの前でプレゼン。博士課程を飛び越して大学から助教のポジションをオファーされるも、リクルートに入社。雑誌・フリーペーパーから、デジタルメディアへのパラダイムシフトを牽引。リクルートとエンジェル投資家から支援を受け、資本金500万円で会社設立。同社を成長させ、3年間でバイアウト。その後、メディアテクノロジーラボの責任者を経て現職。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?
今、HR Techをとりまくキーワードの中で、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation, RPA)と呼ばれる人工知能技術を活用した業務の効率化・自動化が話題を集めている。RPAを理解する上でいちばん最初におさえておきたいポイントは、ここでの「ロボット」とは、読者の皆さんがイメージするような人型のハードウェアのロボットではなく、ソフトウェアのロボットであり、主にホワイトカラーの業務効率化を行うロボットである。
一方、「ソフトウェアのロボット」と言われても抽象的で実体が見えないため、どんなロボットなのかを具体的にイメージすることが難しい。そこで本連載の第2回では、人事の業務プロセスを効率化するために、今日から誰でも簡単に使えるロボットとして「DataRobot」を紹介するとともに、いちばん最初に取り組みやすい具体的なHR Techでの活用方法について解説する。
HR TechでDataRobotを導入しよう
DataRobot(データロボット)は、米国ボストンに拠点を構えるベンチャー企業だ。同社が提供するツールを利用すると”電子レンジを使うくらい簡単に”誰でも機械学習ができるようになる。
必要な手順は3ステップで、(1)エクセル等に入っているデータをDataRobotにドラッグ&ドロップし、(2)予測したい項目を選択し、(3)スタートボタンを押すだけで完了だ。このため、エクセルを使えるくらいのITリテラシーがあるユーザーであれば、誰でも簡単にDataRobotを活用することができる。
HR TechにDataRobotを活用する最もわかりやすい例としては、これまで人間が目検で判断していた採用プロセスにおける候補者のレジュメ(履歴書・職務経歴書)の一次審査をロボットで代替する事例である。すなわち、過去に人間が審査した合否のデータをDataRobotが学習し、学習したロボットが新たに送られてくるレジュメのデータに対して合否を判定することができる。
なお、候補者一人ひとりよって合格・不合格の正答率が異なるため、実際の運用では、確実に合格か不合格が判断できるような候補者は自動で判定し、それ以外の合否判断が曖昧な候補者を人間が判断するようなハイブリッドな運用を行うケースが多い。以上により、自動化に成功した読者の方は「AIがもたらすマッチングの進化 ~「外部人事データ」と「内部人事データ」の自然言語解析とは~」を参考にしつつ、ぜひ、次の事例に取り組んでもらえれば幸いである。